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ひとり広告批評

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雑誌「広告批評」が休刊になって15年、創刊者の天野祐吉さんが亡くなって10年が経ちました。 この間、日本の広告業界は停滞した様子を見せています。 その背景には、広告を愛し、ヤジを…
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2024年6月の記事一覧

長らく広告クリエイティブの賞であったカンヌライオンズ。最近はクリエイティビティの祭典を自称している。日本では、クリエイティブを象徴するライオンたちによって戦略プラナー族が駆逐されてしまった。クリエイティブとクリエイティビティ、言葉遊びのようで、そこには大きな隔たりが存在する。

差別化とは何かを考えると、顧客との特別な関係を持つことであり、その固有の関係の意味を定義することではないか。だから信じるべき理由の提示が大事で、顧客を理解するためにベンチマークとしての競争相手がいる。広告表現でいたずらに競合と違うことをすることではない。

広告は顧客との関係において、プロダクトの意味を手渡すことができる。顧客はその意味を味わい、消費し、対価を払う。その意味が消えてなくなるか、プロダクトとともに思い出になるか、顧客がその話を誰かに伝えるかは、広告表現だけでなく、メッセージと出会う場所とその出会い方が大きく影響する。