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人生二度目の映画館に挑んだ父上

※ 面白かったなあと振り返る気持ちで書き始めたのですが、ふたを開けてみると妙に物悲しい文章になってしまいました。物悲しい文章を読む気分じゃない人は飛ばして下さい。  父上はじっと立ち止まることが苦手だ。  家族で買い物に行く時に、その性質が顕著(けんちょ)にあらわれる。  スーパーや百貨店地下などの人の多い空間で、彼は忽然(こつぜん)と姿を消してしまう。  人の波をかき分けるようにして周囲を見回すと、人で出来た壁の向こうに、彼の頭だけが素早く移動しているのが見えるのだ。  

    • 犬に出会うまでの長い長い道

      ※ カクヨムにも同じものを載せています。 ※ この記事にはペットがストレスで死んでしまう話や、共食いで死んでしまう話などが出てきます。苦手な方はご注意ください。「どうしてもペットを、それも犬を飼いたい」とせがむ子どもが実際に色々なペットを飼って、犬を飼うに至るまでの長い話です。六千字。 ***  ウチには小型犬がいた。  いや、「小型犬がいた」なんて他人事な書き方をするべきではない。  私がゴネにゴネてゴネ倒したのち、うちに犬を招いたのだから。  大体の女児は犬やら猫や

      • スウェットにこだわる父上

        ※カクヨムにも同じものを載せています  偉大で尊敬すべき我が父上は、クタクタに着古した綿百パーセントのスウェットが好きだった。  薄いグレーのやつで、一体何年着ていたのか分からない。  ただひとつ分かるのは、そのスウェットの股間付近には穴があいており、いつ股の中が見えてしまうか分からないといった惨状で、一刻も早く買いかえた方がいいということだけだった。  そんな危うい格好なのに、あろうことか彼はそのスウェットを着たまま近所のコンビニまで行ってしまう。  いわゆるワンマイルウ

        • 日記2 爺ちゃんのこと、タマのこと

           ツイッターでこんな話を書いた時があって、ふとこの時のツイートを見て彼のことをつらつらと思い出したので書いておく。  彼が『農家の長男』をやっていたのは主に定年後なのだが、孫だった私は生き生きとHOKKAIDOの都市部で働いていた時代の祖父の姿を一切知らず、農家の長男として本州の山奥の家に縛られていた姿しか知らない。ただ、どう見てもリベラル寄りの思想を持っているのに、まるでとってつけたような女性蔑視発言(ネットに書くと私まで燃えかねないレベル)を繰り返していたのが不思議

          ¥500

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