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最近のステーブルコインの動向について ①法定通貨担保型

はじめに


最近、ステーブルコインの種類が多すぎて割とついていけなくなってるFFFです。USDT・USDC・BUSDくらいしかわからない人が最近のステーブルコインが何となくわかるくらいのレベルに落とすためのnoteです。(自分用でもある)
本当はここに書いてあるステーブルコイン全てをこのnoteだけで紹介しようと思ったのですが、分量が長くなりすぎたので分けます。残りは気力が湧いたら書きます。

●ステーブルコインのざっくりとしたパターン分け


①法定通貨担保型
USDT・USDC・BUSD
②仮想通貨担保型
DAI
③アルゴリズム(無担保)型
UST
④仮想通貨担保型+無担保型(②と③の中間)
FRAX・oneBTC(など)・MIM

図1:主要ステーブルコインの位置付け


ちなみにFRAXやoneBTCなどは80%以上USDCが担保してるので図1では仮想通貨担保型と無担保型の中間よりも左寄せ。MIMは40%〜50%程度、USTが担保しているので右寄せにしています。

他にも色々なステーブルコインがあるのですが、挙げるとキリがないので主要な通貨に限って紹介しています。他にも気になる人はCoinMarketCapなどで調べてみてください。


●何となくわかる用(3分で理解できる用)


USDT:Tether社が発行。2015年2月から発行していて歴史が長い。時価総額が最も大きい。担保の扱いなど信頼性に問題があった。

USDC:Circle社が発行。2018年9月から発行。アメリカではほぼUSDと同等の価値で扱われている。Coinbaseも管理しているため信頼性が高い。

BUSD:Paxos社とBinanceが発行。2019年9月から発行。現金または現金相当物の割合が高い。

DAI:MakarDAOが発行。2017年12月から発行。1ドル相当のDAIを発行する際、ETHなどの仮想通貨を1.5倍担保にすることで価値を保っている。

UST:Terraform Labsが発行。2020年9月から発行。同社で発行している仮想通貨LUNAを使用して、供給量を調節して1ドルに保っている。

MIM:Abracadabra Moneyが発行。2021年5月から発行。主にUSTを担保にしてMIMを発行している。

FRAX:Frax Financeが発行。2020年12月から発行。USDCと部分的にFXSを担保にして1ドルに保っている。ちなみによく聞くTITANはこのモデルを派生させたもの。

oneBTC(など):ICHIが発行。2020年11月から発行。FRAXの派生でUSDCと部分的にさまざまなアルトコインを担保にして1ドルに保っている。oneDODO、oneUNIなどが有名。


●ステーブルコインの背景も踏まえたしっかりとした説明

USDT:


(歴史)
2015年からある老舗なのですが、2018年のビットコイン低迷期にある疑惑が浮上します。TetherがUSDTを発行する際に担保としている米ドルを保有していないのではという疑惑です。加えて、Tether社がビットコインの価格を操作しているのではないかという疑惑も浮上しました。
そして、2019年4月にNY司法当局からTether社また関連取引所のBitfinexが提訴されました。そこから2年ほど監査が入り、最終的な判決は2021年2月に出ました。
「常にUSDTが米ドルに1:1で裏付けられているというのは虚偽だった。しかし、Tether社が裏付けなしにUSDTを発行した点や、仮想通貨の価格を操作するために発行した点を証明することはできなかった。」として2社は1850万ドルを支払い、現在はこの問題は解決したという扱いになっています。

また、2021年9月には恒大集団(エバーグランデ)がデフォルト(債務不履行)の危機に際した時、コマーシャルペーパー(CP)を保有しているのではないかという懸念がされたが、実際には保有しておらずデフォルトも免れたため杞憂に終わりました。

(通貨)
主にCEXで現物取引や無期限先物の証拠金として扱われていて、ステーブルコインの中では最も利用される頻度が大きいです。

次に、USDTの担保準備金について説明します。2022年4月(執筆時)現在、USDTが現金で保有している資産は5.3%です。2021年3月時点では短期社債のコマーシャルペーパーが準備金の半分を占めていましたが、現在では米国財務省短期証券(償還期間1年以内の米国債)がおよそ半分を占めており、リスクは抑えめになっているという認識です。

図2:テザー社のUSDTの裏付けとなる準備金(2021年12月時点)

図3:テザー社のUSDTの裏付けとなる準備金(2021年3月時点)



USDC:

(歴史)
2018年に「銀行口座のドルに裏付けされている」としてCircle社とCoinbaseがCENTREを創設し、発行したものです。Coinbaseが関わっているため比較的透明性が高いとされています。
しかし、2021年5月に初めて裏付け資産を公開した際「米ドルを1:1で担保資産とするステーブルコイン」ではあるが、「銀行口座のドルに裏付けされている」ではない点から物議を醸しました(後述)。
現在、USDCの準備金は主にBNY Mellonというアメリカの大手信託銀行で保管・管理されています。

(通貨)
主にDeFiで利用されており、Ethereumネットワーク上ではUSDTよりも発行されていて、Uniswapの流動性もUSDTよりも大きくなっています。

図4:Ethereumネットワーク上のUniswapの流動性および出来高

また、米ドルの銀行口座を持っている人は1USDCを1USDとして交換できるためか1ドルよりも下の価格で市場では流通していることが多いです。

次に、USDCの担保準備金について説明します。2022年4月(執筆時)現在、USDCが現金および現金同等物で保有している資産は100%です。ちなみに現金同等物というのは償還期間が3ヶ月の米国財務省短期証券のことを指しています。
しかし、準備金を公開した2021年5月当初は現金および現金同等物は60.9%としていて、残りは他の金融商品で運用されていました。そのため、2021年9月までに現金および現金同等物を100%にすると声明が発表され、実現されました。

図5:Circle社のUSDCの裏付けとなる準備金(2021年10月時点)
図6:Circle社のUSDCの裏付けとなる準備金(2021年5月時点)



BUSD:


(歴史)
2019年9月、BinanceとPaxosが共同して発行しました。発行当初から現在まで毎月、裏付け資産を公開していて比較的クリーンな印象を受けるステーブルコインです。

2021年7月にはUSDCやUSDTなどの裏付け資産が明らかになった際、Paxos公式のブログでBUSDやPAX(現在のUSDP)の準備金の現金比率の高さをアピールしています。


(通貨)
主にBinanceで利用されている。BUSDペアの現物取引とマージン取引のメイカー手数料無料キャンペーンやBUSDペアのステーブルコイン取引手数料無料などのキャンペーンを行なっています。
また、BNB Smart Chain (BSC) (旧 Binance Smart Chain)上で流通しているステーブルコインの一つで、BSCで最も仮想通貨の預け入れが多いPancakeSwapの流動性はUSDTを凌ぐほどです。

図7:BNB Smart Chain上のPancakeSwapの流動性および出来高

次に、BUSDの担保準備金について説明します。(歴史)でも説明した通り現金および現金同等物の比率が元から高く、Binanceの売買機能やOTCデスクを使ったりPaxosプラットフォームを使うことで米ドルで出金することが可能です。

図8:Paxos社のBUSDの裏付けとなる準備金(2021年6月時点)



さいごに

以上が法定通貨担保型のステーブルコインです。
調べる前は、BUSDぐらいしか担保が100%現金ではないと思っていましたが、USDTとUSDCもだいぶ裏付けがあるように変わっていったんだなあと驚きました。

もし、誤り等発見した方は気軽にリプください。

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