制作の現場において、アクセシビリティを推進・実施することは、社会参加の姿勢を表す。

ウェブサイトの制作依頼の中には、このリニューアルを期にアクセシビリティを考慮したいと考えてるんだけど、という問い合わせがある。制作予算については据え置いた状態で、ちょっと聞いてみたいんだけどなという気軽な感じで問い合わせが来ている場合もある。興味をもってもらい、問い合わせが増えてきているということは喜ばしい。

アクセシビリティには達成ポイントが明確に決められていて、A、AA、AAAのレベルで分類され、それぞれに達成するべき内容が明文化されている。その内容についてはだれでも無料で調べることもできるし、基準についての対応方法も丁寧にアドバイスされた資料も多く存在する。が、これらのドキュメントは、少しばかり言い回しが特殊だったり具体的にでは何をすればいいのかわかりにくい場合もあり、世のウェブ担当者を遠ざけている原因の一つになっている。と、思う。

日本のサイトの傾向では、ウェブサイトの全てのページに、A、AAなどの施策を完全に施すとこは現実的に難しい場合が多い。導入しやすくるために適応範囲をきめてからとりかかる場合がほとんどである。クライアント側も制作会社側もまずはやれる範囲でやってみましょうとしないと、施策を打って出ることが行いにくいのが現状である。

アクセシビリティの質問で聞かれる中には、あくまで少数利用者へのための配慮であって、ターゲットからそれるから過剰に考える必要はないのじゃないの?という意見を聞くことがある。そう思うのもしかたがなく、アクセシビリティを推奨する資料の多くが、その施策内容をわかりやすくするために読み上げ機能への配慮やコントラスト比による視認性の確保などをうたっている。これらは少数者への配慮として繋がりやすい。

落ち着いて、達成項目を読み解いていくと、人とマシンの共存のための施策の側面があることに気が付く。サイトやページの情報構造をわかりやすく整理すること、マシン側にどのような情報かを判断できるようにしマシンがその情報を利用できるようにすること、一貫性のあるナビゲーションにすること、など、ターゲットになる利用者はもとより広く生活者へ有効に使える情報源として成り立たせる施策につながる内容が多く、実は良質なウェブサイトを設計するための方針になっている。

ウェブアクセシビリティ基盤委員会が提供している
JIS X 8341-3:2016達成基準 早見表(レベルA & AA)
https://waic.jp/files/cheatsheet/waic_jis-x-8341-3_cheatsheet_201812.pdf

たとえその時にAを達成するための施策を行わないと決めても、、、デザイナーは4.5:1などのコントラスト比を維持した明瞭なトーン&マナーでページを設計することができるし、ディレクターはサイトストラクチャに応じた構造を整然と整理しラベリングしWFへ反映することができるし、HTMLの設計時に事前に決めておけば、例えば画像のalt属性を適切な使い方で考慮しマークアップすることもできる。いわれなくてもやっておく感じは、ちょっとした世直しのようで心持ちがよい。

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