8月某日 雨ですね

 梅雨の間、降って困るような大雨がないなあと思っていた。今や盛夏をなかったものにし、暮らしを脅かすほどの雨が降り続いている。辟易を通り越して、恐ろしい。被害にあわれた方にお見舞いを申し上げます。
 未曾有の雨は子どもたちの笑い声や日焼けなど夏の体験を奪った。憎いのは感染症もである。管理者たちによる制約がかかるから(ありがたいことなのだけど)、余計にままならない。普段自由に生きているように見えて、実際は管理下にある真実に気づいてしまう。しんどい。
 外に出られないし、プールも閉鎖されているから、せめて自宅のベランダや小さな庭で簡易プールでもと、考えた親御さんも多いのではないか。そんな針の穴に糸を通すように(大げさ)考えた夏のプランを大雨は吹っ飛ばした。寒いからダメよと諭される子らの顔には諦観が滲む。
 しかしそんな恨み節ばかりを言って、気を逸らしていてはウイルスに負けてしまう。気を緩めてはいけない。あちらも生き残りをかけているのだから、こちらはそれ以上の決意をもって臨まなくてはいけない、というのをマイケル・ルイス著『最悪の予感 パンデミックとの戦い』(早川書房)を読んで強くしたばかりなのだけれど、やはり息を深く吐きたくなる。
 先日2歳の男の子が「幽霊から好きだといわれた」と明かしてくれた。本当は怖いらしいが、好かれているから自分のところには出ないということらしい。両手を顔の前に出して幽霊の仕草をしてみせるので、こちらも真似をした。すると急に怖くなったのか、不機嫌になって困った。幽霊もこの夏は出番が少なかっただろう。

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