楽屋で、幕の内。|聞き書き損ねたじいちゃんの話 May.5
この前の年始の話である。父に会ったら確認しようと思っていたことがあった。父の父、つまり私の祖父は戦時中、南の島へ行っていたと聞いたが具体的にどの島だったのか。第二次大戦の本や資料に触れる機会は何度もあったのに、身近に体験者がいる事実を私は受け止められないまま大人になった。子どもの頃は恐ろしくて戦争に目を向けられなかったのである。しかし林芙美子の『浮雲』や寺尾紗穂さんの『南洋と私』を繰り返し読むうち、私も向き合わなくてはと思うようになってきたということもある。
そして親戚一同