『こっち向いてよ向井くん』をおすすめします
初めまして。ただの大学生です。
気圧のせいか、頭が痛いです……。
今回は、LINEマンガで読める分だけ読み倒した、ねむようこさんの『こっち向いてよ向井くん』をレビューします。
絵柄が良い
リアルな恋愛で、先の展開が読めない
ビターとスイートのバランスが良い
1.絵柄について
ねむようこさんの作品はこちらが初めてですが、絵が好みです。
ムダな線がないという印象です。画面が常にスッキリしていて、でも細かいところを手抜きしているわけでもなく、絶妙に読みやすい。
LINEマンガではカラーの絵も見られますが、1枚あまりに素敵なのがあって、スクショして待ち受けにしてしまいました。
本買いなさいよ!
って怒られそうですが。すみません。
とにかく、絵柄が安定していて、安心して読めます。
細かいとこですが、キャラが小さく描かれるときの、縦長の点目が可愛らしいです。
髪型や服装にもこだわっていて、キャラがきちんと描き分けられているので、沢山登場人物がいてもごちゃごちゃしません。
後半に出てくる女性キャラの口元のホクロとか、うわ〜いいわ〜と思いました。
この女性の役割にピッタリなほくろの付け方ですね(変な感想……)。
2.リアルな恋愛
ストーリーは、主人公「向井くん」(35歳)の、ままならない恋模様を追いかけるものです。
恋愛漫画ですが、「2人」を描くのではなく、「向井くん」のドキュメンタリーのようになっているのが面白い点。
ヒーローとヒロインがくっつくかくっつかないか、とか、くっついたあとどうなる、とか、そこが問題では無さそうなお話。
向井くんには、別れが消化できずにいる過去の恋人が1人いる。
男らしさを出そうと、「守る」と宣言をしたところ、彼女に「守る」って何? と言われてしまい、別れてしまったのでした。
それから10年。
偶然出会った女性に、「守るって言われたら、なんか下に見られている感じがする」と指摘された向井くん。
「守るなんて甲斐性もないのに見栄を張ったように感じさせたこと」が別れの原因ではなく、「彼女🟰守るもの、という固定観念が受け入れがたかったこと」が別れの原因だったのか?
とショックを受ける向井くん。
自分は元カノのことを理解していなかったのではないか。
そのショックから、向井くんが恋愛についてイロイロ考え、女性と出会い別れる物語。
上手くいきそう、と思ったら勘違いだったり。
距離感が掴みきれずに逃してしまったり。
中々、向井くんは無様です。
しかし、彼には友人もいますし、居場所もあるので、暗い話ではありません。
男女ってなんだろう?
恋ってなんだろう?
結婚はなんのためにするの?
幸せって?
という、普遍的なテーマを、向井くんとその周りの人々を通して考えさせられる漫画です。
向井くん自身が「?」だらけなので、明確なゴールというものはありません。
しかし、だからこそ先の展開が読めず、ついつい読んでしまいます。
3.ビターとスイートのバランス
向井くんの恋は、長続きしません。
それは、向井くんが浮気症だからとか、女の子を大事にできない、酷い人だから、ではありません。
「恋はしないかなー」と女の子に判断されてしまう存在、それが向井くん。
人間としてダメという訳では無いけれど、恋愛において何かが違う。
その何かってなんなの?
というのがなかなか掴めず、向井くんは失敗を繰り返すのです。
よって、ほろ苦い展開も多々あります。
が、向井くんと女の子の交流は見ていて楽しく、ときに甘く、きちんと恋愛漫画的なエンタメが入っています。
ここが凄く絶妙。
向井くんのザンネンなところを暴くだけなら、なんだか暗い気持ちになってしまうし、恋愛の浮ついた気持ちだけ描かれてもつまらないし。
一見良さげな恋の展開で、向井くんと一緒にスイートを体験し、失敗したときに向井くんと一緒に悩む。
このパターンがテンポよく、飽きません。
そして、ここぞというシーンで表れるタイトルのキーワード「こっち向いて」が効果的で、かなりセンスを感じます。
ネタバレになるので詳しく書けませんが。
向井くんの「振り向く」動作に関するシーンがとても素敵で、印象に残ります。
おわりに
『こっち向いてよ向井くん』は、男女や年齢に関係なく読める、普遍的なテーマを扱った漫画です。哲学的でありつつ、ライトな雰囲気とさりげなくこだわりをみせる絵柄で、読む人を飽きさせることがありません。
続きが読みたいので、バイト頑張って漫画買います。
ねむようこさん、応援してます!
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