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奏一夏
2024年4月11日 02:07
春風が眠る夜に、泣かないようにと抱きしめる。地元の桜が咲く頃、この街の桜は、所々に青を潜めていた。鮮やかに移り変わっていく足元の景色に心をときめかせる四月。地元を離れ、この街で生活を始めて早半年が経つ。染めたての髪を、花を愛でるように撫でてくれた彼と、ふたりで季節を巡る日々。何年経っても好きになれない夏が、今年は少しだけ待ち遠しい。きっと彼は、夏の暑さも味方にしてキラキラと輝くだろう。ああ