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腕立て伏せで寿命がわかる!?について

50歳の大台を超えたこともあり、健康情報に敏感な筆者ですが、最近、ちょっと気になる情報を目にしました。

なんと、腕立て伏せが多くできると、心血管疾患のリスクが大幅に減る、というのです。
少し拡大解釈気味に、タイトルが「腕立て伏せで寿命がわかる」、あるいは「寿命が長くなる」的になっているWebページもあります。


そうかそうか、と流してもいいのですが、二度見すると、ちょっと不思議じゃないですか?

何故、腕力が強いと、心臓や血管の病気が減るのか。

Google先生に相談して、いくつか、この情報に言及しているWebページを見てみましたが、その因果関係について解説しているものは見当たりませんでした。(探し方が悪いのかもしれませんが)

ので、自分なりの解釈を書いてみたいと思います。


筆者が知らないだけで、あまりにも当たり前のことだから、どのWebページにも解説が書いてないのかな、という気もするので「当たり前のことをわざわざ書いている」とか「的外れのことを書いている」ということになってしまいそうな恐怖を感じながら、ツラツラ書いてみます。

研究の概要

まず研究の概要です。
いくつかのWebページの情報をまとめると、以下の通りです。


アメリカはマサチューセッツ州ボストンにあるハーバード大学などの研究
「the Harvard T.H Chan School of Public Health」が発表

研究対象は、米インディアナ州で収集された18歳以上の男性消防士1104人のデータ (平均年齢39.6歳、平均体格指数(BMI)28.7)

腕立て伏せ能力(可能回数)を以下のルールでテスト

メトロノームを80bpmにセット
メトロノームに合わせて腕立て伏せをする
メトロノームが3つ鳴る間に腕立て伏せができなかったらゲームオーバー

全員に限界まで腕立てをしてもらったうえで、

10回以下しかできなかった人
11~20回までできた人
21~30回までできた人
31~40回までできた人
41回以上できた人

の5グループに分類し、そこから全員を追跡調査

2000年から2010年までの10年間の追跡期間中、37件の心血管疾患が発生

分析の結果、
・研究開始時に、腕立て伏せが10回以下しかできなかった男性と比べ、41回以上できた男性の心血管疾患の発症リスクは、96%低いことが判明
・腕立て伏せの回数が多ければ多いほど、心血管疾患リスクのリスクは低い


なお、この研究は、身体活動のレベルが高い30~40代を中心とした男性の集団を対象としたものなので、女性や、もっと年齢が高い、または若い、あるいは身体活動量がもっと低い男性には当てはまらないかもしれない、ということです。

何故、腕立て伏せが心血管疾患リスクと関連するのか

さて、冒頭の疑問です。
腕立て伏せが多くできる、すなわち腕で体を押し上げる動き(重いものを前に押し出す動き、引っ張りこむのでなく)が回数多くできる、
ということが心臓や血管の健康と高く相関している、何故???

①体幹も強い
腕立て伏せは腕力だけが関係するわけではありません。

もちろん、腕を曲げ伸ばしすることによる、押し上げる動き、押し出す動きの強さ・持久力が一番大事な要素だと思いますが、関係するのはそれだけではないと思います。

何かというと、
一時、一世を風靡した(サッカーの長友さんなんかが本だしてましたね、あと青山学院の駅伝とか)体幹の強さです。

試しに、腕立て伏せの最初のポーズをとって、そのまま腕の曲げ伸ばしを行わずにいるとわかりますが、このポーズをずっと維持するのは結構大変です。腕の疲れもありますが、体を真っすぐにキープするのも大変ですよね。体幹トレーニングのように肘で支えるよりは楽だと思いますが、それでも結構きますね。

それは、腹筋と背筋(あと、それ以外の関係する筋肉たち)で、ポーズを支える必要があるから、だと思われます。

腕立て伏せを長くできる、ということは、そのポーズを長く維持できる、ということでもあり、腕だけでなく体幹も丈夫、ということです。

②体重が適正
どんなに腕力が強くても、体重が凄く重かったら腕立て伏せをたくさんするのは難しいです。

今現在、41回以上できる、という方も、あと体重が10キロ重かったら、20キロ重かったら、と想像していただけると分かりますね。

腕立て伏せがたくさんできる、ということは、体重がそれなりに適正な範囲に収まっている、腕力との関係でバランスがとれている、ということだと思います。

そのためには、食生活や、筋トレ以外の有酸素運動など、普段の生活習慣・運動習慣がしっかりしていて、健康的な生活を送っている可能性が高い、ということではないでしょうか。

③継続的な鍛錬・運動習慣
筆者は、BMIが22くらい、体脂肪率13%くらいですが、それでも腕立て伏せを41回以上やるのは大変です。
鍛錬が足りない、ということかもしれませんが、せいぜい30~35回くらいで、40回を超えるのは結構大変、という感じです。
(もちろん、下につく手の幅、どこまで体を下げるか、などやり方にもよりますが)

なので、41回以上できる、ということは、相当程度以上に筋トレなどの鍛錬をしていないとできないと思われます。

これは、「①体幹も強い」も同じで、それなり以上に体幹が強い、ということも、何もしなければ実現できず、やはりトレーニングしていると考えられます。
また、「②体重が適正」も同様で、ちゃんと運動しているからこそ、体重が抑制されている、という可能性が高いです。
(もちろん、ほとんど運動しなくても、食生活の節制で体重を抑制することもできますが)


まとめると、腕立て伏せがたくさんできる人、というのは、腕力が強いだけではなくて、

継続的に筋肉を鍛えるような活動をしていて、
食生活の節制や有酸素運動を通じて体重も健康な範囲に維持できている、
腕力のみならず体幹もしっかりしている人、

ということができそうです。

こうなってくると、心臓や血管も健康なんだろうな、というイメージが出てきますね。

そして、研究結果を踏まえると、
腕立て伏せの回数は、これらのような「心臓・血管の健康に資する生活」がしっかりできているかどうか、の指標として有効である、ということになります。

ということで、ちょっと腹落ち、納得できるようになりました。

筆者も、腕立て伏せに励み、体重をもう少し減らして、安定的に41回以上できる腕立てマンを目指したいと思います。


最後に
ところで、死亡リスクや心疾患リスクを把握する方法として、「握力」もあるそうです。
これは解釈がもっと難しいですね~、機会があればこれも解釈にチャレンジしてみたいと思います。


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