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Thatness and Thereness 坂本龍一さんはいまも


Thatness and Thereness

とても冷静ではいられない。覚悟はしていたけれど、いざこの時を迎えると喪失感が想像を越えるほど大きい。
いまの自分の文化的人格形成に多大なる影響を及ぼした、NHKーFMのサウンド・ストリート火曜日。
トシ矢嶋を迎えてのクラウトロック特集の衝撃から栗本慎一郎、島本修二らゲストとの論議に垣間見せた活動家崩れの片鱗、加藤登紀子とのオペレッタなどなど。。。文化系高校生にとって、深夜のラジオから聞こえるアカデミズムの刺激に知性が揺さぶられたような気になっていた若気も懐かしい。

10年くらい前に咽頭がんを罹患して以来、白くなる髪も痩せ衰えこける頬もカサつく膚も一切隠すことなく、老いにも抗わずストイックに音楽に向かう姿は人生の晩秋そのもので、正直見ていて辛かった。

命運、には人生は勝てないのだ、と。

そして迎えた今夜突然の訃報。

メディアは挙って彼の功績と才能を称えることだろう。無論、音楽家としての世界の坂本の偉大さ否定しない。

が、YMOの裏でジョン・ルーリーのJazzを嘲笑うようにコルトレーンを気取っていた「千のナイフ」とフライング・リザーズとブレードランナーを心底悔しがった「B-2ユニット」が、僕が贈る最高のレクイエムだ。

革命の失敗をクルトワイルが三文オペラにしたようなテクノバラッド「thatness and thereness」が脳のなかでリピートしている😢

心より哀悼の意を捧げます。

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