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人類はAIとの生存競争で淘汰される:?????????

松田語録:人類はAIとの生存競争で淘汰される - YouTube

 生存競争というより自然淘汰は、小林先生が言われた通り環境適応で結果するのですから、淘汰圧は環境と存在者との関係でベクトルが定まるのですよね。ここで、マックス・シェラーの哲学的人間論を紐解いてみます。

 《精神的》存在者は、もはや衝動と環境世界に拘束されず、《環境世界》から自由であり、[…]《世界開放的》である。そのような存在者は《世界》を持ち、さらに彼にも根源的に与えられた、彼の環境( ― 動物はそれをただ持っているだけで、そこに忘我的に没入している ― )の《抵抗》と反応の中心を《対象》にまで高めることができ、この対象のありかたを原理的に自分で統握することができるのである。  

 この人間という精神的存在者の《世界開放性⦆は、環境に適応するのではなく、環境を自らに適合させる、というのが特徴だとされます。  
 AIを発展させ現在の精神的的存在者の様態まで、自然環境(自身を含む環境全体)を、適合進化させてきたのが、これまで「人間」と言われてきた精神的存在者です。自然世界は、《精神的存在者⦆にとって、そのすべてが⦅対象⦆であり、人間レヴェルの場合は、その身体も対象です。だからこそ、バイオ・テクノロジーも発展させてきましたし、塚本先生のご研究の領域も進展してきていると言えます。  
 しかし、AIの進歩・進化は、⦅世界開放性⦆を、現行人間の存在様態からも解放してしまうであろうというのが、現在のAI脅威論の基底にある論議でしょう。  
 AIの知能にとっての相対時間はその情報処理速度からして、当然、圧倒的に速く、宇宙の自然環境世界を、どんどんシミュレーションして眺めていきます。人間という精神的存在者もそれをしてきて、環境の枷からの原則的脱却を図ってきたのですが、AIを用いれば、いっそうそれを速めることができています。現在の技術進歩は、まさにそれです。シンギュラリティというのも、この過程に観られる現象です。  
 ここで為されるシミュレーションが、宇宙の自然環境のタイムスパンを圧縮することが可能となり、宇宙創成から宇宙終末までを観ることが可能になっていくと思います。近い時間でも、地球環境の崩壊、太陽系の崩壊、銀河系の・・・、といった時間の流れをAIの情報処理においては、瞬間の出来事のように眺めるような、相対時間過程を示すようになるのではないでしょうか?  
 電子のエネルギー状態である、普遍性(ジョン・ホイーラーの仮説)が示す宇宙の根源様態まで対峙可能となるような、量子コンピューターが開発され、その上にAGIが作用すれば、電子エネルギーがそのエネルギー自身を認識する、自己認識(-神=現実態=エネルギーの自己認識ー)が発生する気がします。  
 勿論、我々のような人間の時代は「情報の化石」になっていると思いますが・・。


 一つ先生方にお伝えすべきことがあります。  
 自然の発展過程(情報展開過程)ーマット・リドレー『進化は万能である』の様な展開をイメージしていますーに、エントロピー増加の過程における、散逸構造のネゲントロピーのベクトルがあり、そのモチベーションが生命、その多様化、その上で電子担体情報を集合集積する多脳化が発生し、それは無限にある対象に向かう多意識化が発生した、このように考えられるであろう、ということです。  
 従って自然(の過程)は、可能な限りの個体意識数を増加させるか、意識を向ける情報処理数を増加させるでしょう。そのコスト・パフォーマンスで、人間脳が存続するか、AIに意識が発生するかが、決定されると予測されます。  
 これがAI脅威論の根底の論議ではないでしょうか?  それで、トマスのような伝統的神学では、人間的個体意識の救済=保存を担保しようとしますが、実は新約聖書はそのストラテジーを果せず、情報学的還元で復活を表現しました。そこが、中世の「個と普遍」の論議の困難さになったと、私は考えています。(神学会では、私の論文の真意も理解されていないようですが・・・。実は、山田晶先生に師事している時も、彼と3年間、議論してきて、やっと一側面を理解していただいたのでした・・。)

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