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万物理論:神の知の探究

松田語録:ウルフラムの物理プロジェクト~「万物の理論」を作る!! - YouTube

 「万物理論」は、松田先生が草思社の『サイエンス・マスターズ4宇宙が始まるとき』を訳されたJ.D.バローも出版していました(林一訳、みすず書房)。上智の柳瀬睦男神父様もG.コイン等の『宇宙理解の統一をめざしてー物理学・哲学・神学からの考察 』南窓社 の翻訳や解説もされ、ご自身も探求されていらっしゃいました。保田先生が指摘なさった「大統一理論」を探求して、現在、ウルフラムが示すところまで進んだという理解ができないのでしょうか?  
 松田先生がレックス・フリードマンや瀧雅人先生が示されているとされた思考法ならば、人間個体脳の進化に並行して進化した社会脳、即ち存在・生命の多様化に始まり、多脳化、多意識化で、集合集積知形成現象を、先に進めた状況を観ていると思います。  
 ブラフマン‐アートマン・モデルと表現できますが、宇宙進化は情報進化(展開)過程であり、人間脳の情報認識様態は、個体脳をエージェントにしたコミュニケーション・ネットワークで拡張して社会脳を形成し、さらにそのエージェントをAI、AGIへと進めいっそう存在様態を拡張して、能力を高めて、働きを強化する。そうした様態の知性に至れば、「万物理論」を完成理解できる。こうした思考法になっていると思います。  
 つまり古来から求められた「神の知」の理解になるわけですが、それを知るのに「律速限界」があるところを、現行人間存在を超える様態を先ず、構築しようというわけでしょう。このことは、古代・中世では「働きの様態は存在の様態に従う」という原理で、自然本性の限界を認め、そこから中世のトマスは、存在のオーダー階層に眼を向けました。即ち、人間を超える天使様態の分析でした。この天使の無限性や、その様態=一個が普遍(種)であるという基礎が、ライプニッツやカントールの思考法に展開したと考えられます(この研究が少ないです)。  

 要するに(不可約でしたね・・)、宇宙、世界を完全に記述・認識している知性においては、すべてを離散的なエネルギー様態にしているということでしょうか?  
 やはりJ.ホイーラーの「単一電子仮説」とシュレーディンガーが依拠した「単一知性説」との相関を思い浮かべてしまいます。  
 そしてその極にアリストテレスが残した古代からの思考法、「思惟の思惟」、即ち完全(純粋)現実態エネルゲイアの自己認識に到りつく気がします・・・。


帰納バイアスとAIモデルの未来:汎用AIの設計における新たな視点 | AGIRobots Blog

上記について松田先生へ問われた問題を考察する。

 お邪魔して申し訳ありません。当該の記事に「超知能を目指す研究は、より帰納バイアスを下げる方向で研究が進むでしょう。一方で、汎用人工知能を実用化する研究は、帰納バイアスを高くする方向に進むと考えます」とありました。今回の動画で松田先生がウルフラム等の見解が離散化を進めて宇宙の基礎理論を観るというのにも、符合すると理解してよいでしょうか?  「帰納バイアス」と表現されている観点は、古くからの論理立てならアリストテレスのアパゴーゲー ἀπαγωγήで、現代にアブダクションabductionとC.S.パースがした推論の方法ではないでしょうか?  
 それなら確かに、生物、少なくとも人間はこのバイアスの有効性を獲得してきたと思います。要は(また縮約ですが)試行錯誤を、ただ1対1因果で実行するのではなく、成功確率を上げるために予測仮定(仮説)を置いて試行する。この成功例が、適応進化したと思います。  
 AI開発でも上の記事のように、無限を完全に記述認識する「神の知」(本当は「神」は人間社会で発生した「統治者」を表現する語なので、「神」でなく「純粋現実態エネルゲイア」と言うべきなのですが)を目指すなら一切を離散的に扱うように(その様態で)、超知能を開発する方向になると思われます。しかし人間的に働く汎用人工知能の実用性を求めれば、帰納バイアス、おそらくアブダクションのアルゴリズムを用いたプログラム開発になるのではないでしょうか?R.ブルックスのsubsumption architectureをベースにして池上高志先生が進める「構成論的アプローチ」の手法はこれになるのでしょうか?  
 お邪魔してすみませんでしたが、これらの理解が正しいか否か、またお教えください。

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