ドイツ語圏国外相協議会 Treffen der Außenminister der deutschsprachigen Länder (トrレフェン デア アウセン・ミニスター デア ドイチュ・シュプラーヒゲン レンダー)
この「ドイツ語圏国外相協議会」が先週の金曜日、2021年4月16日に、もうすっかり春めいた南スイスのLugano (ルガーノ) で開かれたと言うので、今日はこのことについて書く。
今回は、いつもと違い、ドイツ語の方から説明する。まずは、最後の言葉 Länderであるが、これは、das Landから来ている言葉の複数形である。Landは、文脈でいくつかの意味になりえ、例えば、ドイツ連邦の州の意味にもなる。ここでは、「国」と訳した。
次の言葉、deutschsprachigenであるが、これは、deutschと-sprachigとの合成語である。-sprachigは、die Sprache (シュプラーヘ) から来ている形容詞で、ch音は、例の通り、は行音、-igのコンビネーションは、21年4月19日の投稿で説明した通り、「イヒ」と発音するが、ここでは、語形変化があって、-igenとなるので、「イゲン」となる。以上、ここでは、これを「ドイツ語圏」と訳した。
Außenministerも合成語で、これは、außenとder Ministerの言葉からなっている。Ministerの説明はここでは必要ではないと思うが、außenは、もともとは副詞で「外側に」という意味で、それで、「外相」の意味になる。ßの文字が珍しいと思うが、これは、ドイツ語独特の文字で、「エス・ツェット」という。つまり、sとzの合成文字で、昔の古い手書きの小文字をくっつけて書いたところから来ている。なお、außenの反対語が innen (イネン) なので、これを合成すると、der Innenminister (イネン・ミニスター) となり、「内相」となる。ちなみに、ドイツでは、日本とは違い、内務省はあるが、戦後の占領政策の絡みで、国レベルの文科省はない。
das Treffenは、動詞を名詞化して作った言葉であり、つまりは、「会うこと」なのであるが、ここでは、意訳して、「協議会」と訳した。
さて、それでは、「ドイツ語圏国」はいくつあるであろうか。もちろん、まずはドイツ国、それに「東方の帝国」オーストリア、Liechtenstein (リーヒテンシュタイン) 公国はすぐに挙げられるであろう。
さらに、これにスイスが入る。スイスには四つの公用語があるが、首都Bern(ベルン)と並ぶ都市Zürich (ツューリヒ) がドイツ語圏で、やはり、スイスで政治・経済上キャリアになるためにはドイツ語を話せる能力がないと駄目だと言われる。フランス語系スイス人は、高地ドイツ語を習うためにわざわざドイツの語学学校に行くほどだと言われている。
最後に、ドイツ語圏に入るのが、Luxemburg (ルクセンブルク) 大公国である。ヨーロッパの「税金天国」といわれるこの国の公用語は、フランス語、ドイツ語、そして、ルクセンブルク語である。
ルクセンブルク語?この言葉を母語にしている人には少々失礼だが、ドイツ語の「方言」と言っていいくらいの言葉である。私事で恐縮だが、一度あるドイツの大学の、外国人のためのドイツ語講座に参加したことがあり、そこにルクセンブルク人が一緒に参加していた。最初は彼がルクセンブルクから来ているとは知らず、なぜこんなにぺらぺらとドイツ語が話せるのに、この講座に参加しているのか、いぶかしくも思い、また、妬ましくも思われたものである。後で、ルクセンブルク人と知り、また、彼とも個人的に話しもして、それで、彼がルクセンブルク語を母語とする人だと分り、それでなるほどあんなにドイツ語がぺらぺらと話せたのだと、納得もし、また「安心」もした次第であった。