三時半四分前  vier Minuten vor halb vier (フィーア・ミヌーテン・フォア・ハルプ・フィーア)

 まずは、数字4から行く。vierである。v音は、ドイツ語では、いつもではないが、大体 [f] 音で発音する。ieは、[i:] と長母音で発音し、音節の〆のr音は、例の通り、「ア」で発音したいので、vierは、カタカナで、「フィーア」と表記したい。左から三つ目の言葉vorも同じように、「フォア」と表記したが、この言葉は、前置詞で、「前」という意味になる。「分」に当たる言葉が、die Minuteで、その複数形が、Minutenとなる。

 さて、左から四つ目の言葉 halb であるが、b文字も音節の〆となると、[p] の音で発音する。意味は、「2分の1」で、つまり半分、よって、時間としては30分のことなのだが、考え方が、「四時までにあと半時間」ということになるので、日本語で「三時半」は、halb vierとなる。これは、よく間違えるので、特に気を付けたいものである。

 そして、60分内での、分数(ふんすう)の言い方は、基本的には15分単位と考えた方がいい。ゆえに、60分の「4分の1」ということで、viertel(フィーアテル)という言葉が必要になる。2分の1は、上述した通り、halb、3分の1以降は、大体、該当の数字に-telを付けると、~分の1と表現できる。それで、vier (4) + -tel で、viertelとなる。ワインをグラス単位で注文する時も、0,25l(ドイツでは、小数点は、. ではなく、, で表す)がほしい時には、ein Viertel (アイン・フィーアテル) と言って、注文する。

 こうして、4時15分前は、viertel vor vierというわけである。であるから、「15分ちょっと前」、「15分ちょっとすぎ」という言い方も可能である。同様に、「半時間ちょっと前」、「半時間ちょっとすぎ」とも言えるが、この「半時間」については、表題にある通り、~分前、~分すぎと、分数(ふんすう)を出して言うこともできる。

 ドイツに滞在して間もなく、この言い方をドイツ語の授業で習って、なるほどと思った。習って間もなく、道を歩いていると時間を聞かれたので、さっそく、この面白い言い方の「実験」してみた。まず、「四時までにあと半時間」という「難関」を突破し、さらに、「~分前」をドイツ語で考えだした。そこまでは、よかったが、そのぬか喜びもつかの間、「ハルプ・フィーア・フォア・フィーア・ミヌーテン」と順序を間違えて言ってしまったのである。言われた方は、何だろうと数秒間不思議な顔をしたが、やがて合点がいったのか、“O.K. Danke(どうも)!”と言って、立ち去って行った。これも、小生の数多い失敗談の一つである。

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