二と二十 zweiundzwanzig (ツヴァイ・ウント・ツヴァンツィヒ)

 二は、zweiで、ドイツ語では、w音は英語で言うv音で発音する。undは前述したように接続詞で、ここでは日本語で言う助詞の「と」に当たる。二十に相当するzwanzigの言葉の成り立ちは、zwan-zigで、この-zigが基本的に20から90台(ただし30台を除く)の十の桁を表す。
 
 まずは、g音の発音に注意!gと書いてあるが、ここは-igのコンビネーションなので、は行音で発音する。という訳で、語尾に出てくる-ig音は、「-イヒ」と発音し、「ヒ」音は十二分に息を口内を摩擦させるように吐き出す感じである。

 問題はこれからである。ドイツ語では、21から99までの数字を、まずは一桁から言い、それから十桁を言うのである。しかも、一桁と十桁の間にundを挿入するのである。フランス語の数字で、91を、4 x 20 plus 11と言うように、それほどまでにドイツ語の数字は複雑ではないが、それでも以上の問題はなかなか頭を悩ませる。つい慣れたつもりで気を許すと、34を43と言ってしまうケースがよくある。しかも、これで、例えば7桁の電話番号を、この調子で、頭から二桁ずつ取って、それをいちいち例の通り、一桁と十桁をひっくり返して言われると、かなりの頭の体操になるのである。

 フランス語同様、1から12まではそれぞれ独自の単語になる。かつての12進法の伝統が効いているのであろう。13から19までは、少々発音の仕方が変わるが、基本的には3から9の数字に、10、すなわちzehn(ツェーン;ここのh字は長音を示す記号)を付ける。9はドイツ語のneun (ノイン) なので、「ノイン・ツェーン」という具合である。

 さて、逆にドイツ人に日本語の数字を教えてみると、日本語の数字体系がいかに簡単かが分かる。1から10まで教えると、もうすぐに99まで数えらえるからである。とりわけ、8をすぐ覚えてくれる。HachiをHatschiと書き換えると、これが、「ハチー」となり、ドイツ語のくしゃみの擬音語に当たるからである。ドイツでは、大きく「ハクショーン」とやってはいけないので、大男でも「クシュン」とくしゃみをする。

 その代わり、鼻をかむのは盛大にやっても構わない。それを茶化して、trompeten(トrロンぺーテン;トランペットを吹くように大きく音を立てて鼻をかむ)と言う。Die Trompeteが名詞で、それにnを付けると動詞になる訳で、このn字は、日本語の「-る」と同様の機能を持つのである。例えば、「学校をサボる」の中に出てくる「る」である。こんなところにわずかだが、ドイツ語と日本語の文法の共通項が見えて、面白い。


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