才能を超えるもの

私が今まで見た中で最も才能に溢れる方は元欅坂46の平手友梨奈さんに他ならない。あの一瞬で人を魅了できる、釘付けにできる表現力、目つき、繊細な動き、言動、考え。全て凄かった。

そんな彼女に出会ったのは彼女率いる欅坂46が4thシングル「不協和音」を出したころだった。アイドルに無縁で乃木坂46も誰一人知らなかった私がたまたま見た音楽番組の「不協和音」

一瞬で心を射抜かれた。そこから私は欅坂46を見出した。時間ができたタイミングがバッチリで、3rdアニラ大阪、武道館、2019欅共和国、東京ドームを見ることができた。人生初めてのライブがアイドルとは思ってもいなかった。

私は欅坂46全員が好きだ。だが一人別格がいた。私にとって平手さんは表現に関して、天賦の才を持っており、類まれな憑依力で欅坂の音楽の主人公「僕」になることができる唯一の人だと思っていた。

平手さんの体調等で代理センターを他の人がやっても、全力で応援していたし、マイナスな思いは出てこないが、結局、平手さんセンターが一番だという思いが何処かにあった。

そんな中、平手さんとしても、欅坂46としても限界を迎え、平手友梨奈さんは今年1月に脱退した。

頭がすごく重くなった文章だが、ここからが本題である。

「才能を超えるもの」があると、今回初めて理解した気がする。

超えるものそれは「努力と信念」である

10月12・13日にオンラインで開催された欅坂46The Last Live。これで欅坂46が終わる。寂しい思いで見始めたが、今、脳裏で思い返すだけでも、凄かった。

ラストライブの後、時間があり、ベストアルバムの特典映像を視聴。欅坂46の伝説の場面が多くあった。その中心に平手さんが君臨していた。

でも今の私にはラストライブの彼女たちの方が眩しかった。心を揺さぶった。これまでずっと平手さんの亡霊と常に比較されていきた彼女たちのためにあえて比較しても、彼女たちの光量は負けていなかった。

小林さんセンターのサイレントマジョリティー、菅井さんの不協和音、渡邉理佐さんの月曜の朝、スカートを切られた、小池さんの二人セゾン、アンビバレント。他にも多くの曲が彼女たちの力で心に響いてきた。そこに平手さんの面影を感じる隙間を与えなかった。

小林さんは過去にドキュメンタリー映画の中で、「平手にある才能が私にはない」と涙を流していたが、このライブでの彼女のモーゼを通る姿はいつもより大きく見えた。眼力も強かった。

メンバーの皆さんがこれまで人生の多くの時間を費やし、ここまで辿りついたのだと涙が出た。「才能」を超える「努力と信念」を感じざるを得なかった。

小池美波さんは最初、可愛いキャラでやってきていたように思えるが、ガラスを割れくらいから、ダンスのしなやかさに加え、心の強さがパフォーマンスに現れているように思う。二人セゾンのフロント経験やアンビバレントでの2018年末の緊急フロント対応が活きているのかもしれない。彼女の影での努力がパフォーマンスの変化に垣間見れる。

菅井友香さんは最初は親しみ深いどこかおちょこちょいでみんなで支えるキャプテンというイメージだったが、今はパフォーマンスでも中心、他の仕事でも前に出て、何かあるたびに発言しないといけない立場として欅を支え続けた。彼女の背中に背負っている重圧は計り知れない。彼女の欅坂46を支えるという信念は誰よりも強くファンに伝わっている。そんな彼女の放つ、不協和音「僕は嫌だ」はどこか彼女の叫びに聞こえる。平手さんの叫びが「僕」の代弁だとしたら、彼女の叫びは彼女自身の心の叫びだと思える。

渡邉理佐さんは最初は人気メンながら端で見るタイプの方だったが、いつからだろうか、志田さんが卒業したあたりだろうか、常に中心のすぐそばで欅を支えるようになった。時には平手さんを、また時には菅井さん、鈴本さんを支えた。彼女の性格からしてもセンターには向いていないかもしれない。でも彼女の強い信念は欅坂に響き、皆を支えている。今や彼女のいないグループは考えられない大きな幹である。

小林由依さんはサイレントマジョリティーからフロントとして活躍、平手さんがいなくなった時も代理センターをすぐにでき、しっかりとしたパフォーマンスを見せれる彼女は、素晴らしい才能の持ち主だと思う。その中でも、彼女の努力と信念でパフォーマンスは常にアップデートされている。センターでどしったした風格すら出てきた。曲を自分のものとして手なづけたように見える。ラストライブのサイレントマジョリティーのモーゼに平手さんの姿は全く見えなかった。

そんな一期生(ここで言及できなかった一期生もみんな本当に素晴らしかった特に齋藤さん、あなたの欅坂46への影の貢献度は計り知れないです)とともにライブでパフォーマンスした二期生。前の改名発表のオンラインライブからまた成長していた。

森田さんの憑依したかのような表情の切り替え、田村さんのしなやかでダイナミックなダンス、井上さんのどの曲へも染まれる順応性、関さんの努力が目に見えたパフォーマンス、松平さんの隠れ持った信念、松田さんのもはやグループの中心の歌唱力、藤吉さんの儚さ、山﨑さんの気持ちの強さ、武元さんのバキバキのダンスと笑顔。皆、もうプロの顔だった。欅坂(櫻坂)46を支えるという信念が伝わった。

最後に、

欅坂46は幕を閉じた。伝説となった。これで平手さんもより力強く前を向けるだろうし、もちろん櫻坂46は坂を登り続ける。「才能」というのは有る無しがはっきりしていて、生まれ持ったものでどうしようもないところだ。だがそれを超えるものがあるというのを彼女たちに教えてもらった。これからの櫻坂46も「努力と信念」で欅坂46を超えるグループになるだろうし、彼女たちにパワーをもらいながら私も進もうと決めた。そんなライブだった。

ありがとう欅坂46

咲け、櫻坂46

徒然なるままに、つらつらと、あったこと、感じたこと、考えたことを言語化する練習