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北野詠一先生の『片喰と黄金』の5巻を読む。

発売されたのが3月18日なのでかなり遅れてのレビューではあるけれど、やはり面白い作品というモノは紹介したくなるのである。

19世紀に起こったアイルランド飢饉で農場主の娘アメリアとその従僕コナーはアメリカ西海岸に起こったゴールドラッシュの噂を聞きつけてアメリカ大陸へと渡る。

タイトルにある『片喰』とはなんぞや? という人は下にある4巻のレビューを見て。

前回の4巻のレビューはこちら。


西海岸を目指す旅の途中、その仲間に出逢っていく。

ジョン万次郎や『大陸横断鉄道の父』と呼ばれるセオドア・ジュダなど、歴史にもその名を残す実在の人物も登場したりと、歴史好きにも楽しめる。

この巻では、前巻からの巻き込まれた事件によって負傷したアメリアは長く連れ添ってきたコナーと別行動になり、奇異なる人物イザヤとの2人道中になる。

イザヤもかなり突飛な言動の多いキャラなので、道中安心とは言い難い。

その最中、立ち寄ったシンシナティの街で、同じくゴールドラッシュを目指すエリ・ブルームフィールドという実直な常識人と出逢う。

どれくらい常識人かというと、ゴールドラッシュに沸くカリフォルニアへ向かう食べに準備するモノとかをリストアップしていたり、まだ少女のアメリアがカリフォルニアに行くのを「危ないからやめるべきだ!」と止めようとしたり、いきなり仲間に勧誘したら、見ず知らずの人間を信用しちゃいけないと諭したり……。

ああ、今までこのマンガ常識人が少なかったんだな、って改めて思える程にまともな人が出てきて、読者も安心出来るかと思いきや!

そのエリをゴールドラッシュに向かわせまいと家族が連れ戻しに来たのだ!

旅のお供に絶対にエリが欲しいアメリア達は一計を案じ賭けに出る?!

…………。

というところでヒキ。

6巻に続く!

のである。


19世紀のアメリカの文化や、時代背景、そして避けて通れない人種差別の問題……。

それらをアイルランド難民であるアメリアの目を通して描かれているのが大変に興味深い。

そして、道連れではないものの、道中出逢った人々と、いずれどこかで、どんな形で再会を果たすことになるのかも、とても楽しみなのだ。(再会しないかもしれないけど)

私が今、最も続刊を待ち望む作品である。

是非最後まで描き切ってもらいたい。


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