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2. People In The Box『旧市街』【30歳の音楽振り返り】

JAPAN COUNTDOWNという番組があった。
CDの売り上げランキングや、アーティストのインタビューを流す番組だった。
そこで、僕はこの曲に出会った。

この曲は、確かアルバムランキング20位にランクインした、「Family Record」の中の一曲として紹介されていた、と思う。
順位は記憶違いがあるかもしれないが、とにかく、この番組でこの曲と、People In The Boxというバンドを初めて知ったのは間違いない。
このころの自分は、いわゆる「流行り」の曲を聞かないのがカッコいいというか、イケてるというか、そういうことを考えていた高校生だった。
中高生というものはこうなりがちなのだと、きっとそうだと思うことにして、その是非とかについてはあまり考えないことにする。
それで、この曲を聞いた時の感想と言えば、「こんなバンドがあるのか!」だった。
それまでに聞いたことのないタイプの曲だったのもそうだが、その時自分は流れていたMVにとてつもなく惹かれてしまった。

番組が放映されたのが既にこれが投稿されていた後だったのか、前だったのかは忘れてしまったが、制作者の加藤隆さんによりYouTubeにMVが上げられている。
サムネイルの時点で、一目見ただけでも印象に残る絵である。
そして、歌詞から感じられるイメージを具現化した映像。
もちろん番組で流れたのは一部分であったが、それだけでこの曲とバンドに魅了されるのには十分だった。
この頃自分はiPodを手に入れていたので、すぐにiTunesで曲を購入した。
そしてひたすら聞きまくった。
自分からすれば、「流行り」の曲とはまるで違う、全く新しい世界を見せてくれた曲。今思えば、「流行り」とかなんとか、そういうことではないよなあ、なんてことを思うわけだが、高校生の自分がそう考えていたのは、まあ仕方ないということにする。
そこから、People In The Boxにハマりだすことになる。何故かは忘れてしまったが、「旧市街」が入った「Family Record」ではなく、2ndミニアルバムの「Bird Hotel」のほうにまずハマり、ひたすらに聞きまくっていた。あと、1stミニアルバムの「Rabbit Hole」から「サイレン」を気に入って聞きまくっていた。

People In The Boxのような曲は聞いたことがなかったし、今も、どういうジャンルのバンドだとか、どういうところの影響がみられるとか、そういうことを書けるほど音楽全般に詳しいわけではない。ので、そういう点については既にあるものを紹介するようにしたい。
個人的には、6thアルバム「Kodomo Rengou」のライナーノーツがすごく好きで、近年のピープルを知るには分かりやすいと思っている。

僕がピープルを知ったころの楽曲は、マスロックとか呼ばれるものに近いところもあると思う。あとは、いわゆる「残響系」というのも。
今のピープルは、ライナーノーツに「魅力の言語化しづらさ」とある通りで、とにかく聞いてみて、それで気に入ればとことん気に入るはず。そんなバンドがこのバンドだと思う。

ところで、「旧市街」はメロディに乗せたというよりも語りのような箇所がある。初めに「旧市街」を聞いた時は、そういうのが特徴のバンドなのかな、と思ったりもしていた。実際はそれが大きな特徴というわけではないが、「Bird Hotel」の「ヨーロッパ」を初め、アルバムに一つ、語りのようなものが入る曲が会ったりする。それが悪目立ちしたりせず、自然にこのバンドの世界を作り上げているというのが、またすごいなあ、なんてことを想ったりする。

そして初めの記事で書いたように、People In The Boxのボーカル、波多野裕文さんは、チャットモンチーの橋本絵莉子さんとデュオを組んだこともある。
この2バンドを好きな自分にとって、これはすごく衝撃的なニュースで、なんだか運命じみたものも感じてしまったりもした。
チャットモンチーが好きな人は、きっとPeople In The Boxも好きになるはずなので、もし聞いたことがない方がいれば、ぜひ聞いていただきたい、と僕は思っている。


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