しゃおぴの歌世界2 (ちょこはちくんを語りたい ep.17)
真っ黒な髪を明るく染めたら
憧れた何かになれると思ってた
ーー「明日、隕石とともに」より
こんなにもキレイで、無駄の無い書き出しがあるだろうか(反語)。
この2行に詰まった情報を整理してみましょう。
“真っ黒な髪”という書き方から、地味めで内向的なキャラクターが想像できます。(あくまでパブリックイメージ的な話)
同時に、今の自分に対するネガティブな感情もうかがえますね。
そして見た目だけでも自分と真逆の姿になることで、変わりたいと思い描いている。
ただ、憧れているのは“何か”。それが何なのか、何になりたいのかは、自分でもわかってはいないの。
さらに、“なれると思ってた”。つまりなれなかったということ。
たった2行で、この物語の主人公の見た目と性格がだいぶ掴めたような気がします。
歌としてだけじゃなく、ストーリーの導入として非常に秀逸な書き出しだ、と思ったのです。
この導入だけでもう、短篇小説の一本でも書けそうなくらいイマジネーションが刺激されます。
すごいぞ、しゃおぴちゃん。
***
唐突な歌詞引用からの書き出し失礼しました。
ごきげんよう。タイトルどおり、今回もちょこはちくん(chocol8 syndrome)の記事です。まだまだ語りたいが終わらない。
さて、ほぼ全曲のひとくち感想を書き終えて、改めて思ったことがあります。
やっぱり僕は、しゃおぴ(chocol8 syndromeヴォーカル・作詞のしゃおんちゃんの愛称)の書く歌詞がとても好みだということ。
というわけで。ここで再度、彼女の書く詞にスポットを当ててみたいと思います。
再度?
そうです、サブタイトルからお察しいただけるかと思いますが、このテーマ2回目です。
↓↓ 1回目はこちら ↓↓
【しゃおぴの歌世界 (ちょこはちくんを語りたい ep.6)】
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さて、これは単なる持論ですが、歌の歌詞というのは、概ね3つのタイプに大別出来ると考えています。
1.作詞者自身の気持ちを綴った詞
2.“物語”を歌にしたもの
3.それ以外
“作詞者本人が歌っている歌が好き”と公言して憚らない僕ですが、「1」のタイプが一番好きなんでしょうね、と今更の客観視。
“作詞者”と“歌い手”がイコールで結ばれることで、歌が“歌っているその人自身の言葉”として響いてくるのです。なるほど。(自分で言うのか)
とはいえ、実際には純粋な「1」タイプの歌っていうのは世間でもおそらく少なくて。「2」との複合で書かれる/歌われるものが多いんじゃないかと思います。
ひとことで言うと、「“物語”の登場人物に作詞者の気持ちをのせた歌」ということですね。
この2つのタイプのバランスがね、しゃおぴさんの歌詞は絶妙なんです。そこにいるリアルな人物が描けている、というか。
ちなみにオールでPPPはそれ以外。
(1だったらそれはそれでおもしろいね)
***
ワードセンスがピカピカしてる
●君と私とメタモルフォーゼ
2ndアルバム「脱法またたびロック」の収録タイトル「君と私とメタモルフォーゼ」。この曲の中にとても感銘を受けた表現・フレーズがありますのでご紹介したいと思います。
胸を刺す黒い影は飛び散って
涙虹色 絶えず光る午前零時
ーーわかります?
“涙虹色(なみだにじいろ)”ってワードです。
“涙”。泣いちゃったんだなってわかります。ただ、そこに“虹”の色が入ってくる。
虹って、雨上がりの晴れた空に架かるもんですよね。
つまり、涙を流してしまうけど、その悲しみだか何だかが明けて、晴れになる。そんな情景までをたった七文字で表現してしまっているのです。
これ、オリジナルの言葉だよね?商標登録とかした方がよくない?(笑)
後半で出てくる“無色透明の極彩”というフレーズも好きです。本当に、魔法みたいにキラキラ輝いてる歌です。
●夜に咲いて
Twitterひとくち感想でも書きましたが、今のしゃおぴさんの作詞力の集大成のように感じる歌。
歌に流れる物語の、ワンシーンごとの描写がうつくしくて思わず溜め息が出ます。
刹那に消える歌は 眩しく咲き乱れて別れる命の音
刹那を刻む歌は 愛する誰かのために燃やす命の音
刹那を繋ぐ歌は 愛する君と僕を照らし出す道標
歌詞をぶつ切りで書くという、ややもすると失礼なアレですが平にご容赦。
いわゆる1番、2番、3番と物語が展開していく中での、心情の変化・展開がほんっとにきれいなんです。
こんな感じで、歌詞表現が秀逸だな、と思ったタイトルと歌詞の一部をさくっと紹介したいと思います。
●手と手
空に咽ぶ
●ミラクルにロマンス
なんだって どうして どうやって
目を合わすの夢の中なら
甘いものが溶けるように
何もかもがひとつになる
●桜の泪
吐息も吐く白さも別れの台詞も溶かし浮かべて
●オールでPPP
眠気は飛ばしてけ
痛いのは飛んでけ
他にも一杯あるけれど、キリがないのでこのへんで。
ちなみに名曲「ミラクルにロマンス」は、好きすぎて一記事にまとめてしまったものもありますので、そちらもよかったら。
【テーマソングってことにして。(ちょこはちくんを語りたい ep.5)】
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これからの君に
前述・「1」のタイプの歌作りを得意とするアーティストは、自分の心の動きや成長がそのまま作品作りの土台になります。
しゃおぴさん、年齢非公表ですが、えーと、二十代前半くらいですよね。
まだまだこれから色々な経験をしていって、表現の幅がどんどん広がっていくんだろうな。
そう考えると、彼女のこれからが楽しみで仕方ありません。誰目線だよ、って話ではありますが。
(ちょっときもちがわるいね、ごめんね)
chocol8 syndromeは終わってしまったけれど、その経験もまた、彼女が次に紡ぎだす歌をより輝かせることになるんじゃないかなと考えています。
まずは“次”のしゃおぴさんの書く歌詞がとてもとても楽しみです。絶対聴くぞ。待ってるぞ。
*
締めになってしまいますが、そんな歌詞を音に出して届けてくれる、圧倒的なヴォーカル力!!
かっこいい曲はかっこよく、切ない曲は切なく、可愛らしい曲は可愛らしく、面白い曲は面白く、歌い上げます。“伝わり”ます。
改めて作詞者/ヴォーカリスト:しゃおんのパワーと魅力を実感した日々でした。これからも推していくぞ。
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