リカコリリックナンバーワン03:16のくろ【ウツシヨの映す夜、第六夜】

ごきげんよう。ココロとかシンクとか名乗っている者です。
まずはこちらをご覧ください。
四の五の言わずに。

大阪を中心に活躍中!“時代遅れの激情ロックバンド”、「ウツシヨ」の素晴らしい楽曲を紹介していこうと思う本コーナー、その名も「リカコリリックナンバーワン」。
また書いていきますね。
お初の方もいたらいいなの思いも込めて、この記事を書くうえでのスタンスについて、まずはお話しておきますね。

※ウツシヨのボーカル、“リカふぃ”ことリカコさんの書く素敵で無敵な歌詞世界を“リカコリリック”と(勝手に)称しています。

***

好きな歌がありまして。
その歌の歌詞とか、そこに込められた物語、そんなのに思いを巡らすのが好きです。
考察、なんて大したもんじゃあございませんが。

「このワードってココと掛かってない?」
とか、
「何てことないと思って通り過ぎたフレーズにこんな意味が!」
なんて。
深読みしたり浅読みしたりして、発見があるとウキウキしちゃいます。
ぜんぜん的外れなことを言ったりもするけどね。

そうして考えた結果は、必ずしも正解ではないのだけど。
何度も何度も繰り返し聴いたり、歌詞を読み込んだりするうち、自分の中でその歌の物語・世界観に対する“解像度”が上がっていきます。
そしてもっと好きになっちゃう。
好きなものの良さを“簡潔に”伝えるのがあまり得意でない自分としては、その“スキ”を言語化出来るのもイイですね。

とはいえ、基本的には、
「※個人の感想です」
というスタンスでやらせてもらっています。

前述した“正解”ってものは、その世界の創造主であるアーティストご本人が持っているのであって。そのひとが「いや、全然そんな意図無いけど?」と言うのなら、「ヘヘッやっぱそうッスよね~(揉み手揉み手)」で覆します。

公式はの言うことはー?
せーの、「絶対!」(ぜったい!)
(※王様ゲームの感じで)
なんです。(なんです?)

***

さて、リカコリリックナンバーワン。
第3回は『16のくろ』の話です。
(2nd single『ウイスキーグラス』収録)

正直、この歌で記事を書くのはかなりの覚悟が要りました。歌のテーマがテーマだけに、冗談半分では書けないなって。
(これまで冗談半分で書いてたんかジブン)

思い出させて 忘れないでいて 僕をどうか

そんな歌い出しで始まるこの曲。これまで紹介してきた楽曲と少し雰囲気が違ってきています。
“報われない恋愛をする女”を主人公に据えたストーリーの歌が多いウツシヨ楽曲の中、“僕”という一人称でこの歌は始まりました。

“長い間一緒に息をしてきたね 帰ったら必ず君がいてさ”
“夜の散歩遠くまで歩いたね 後ろからライトに照らされてさ”

穏やかに、ふたりで過ごした想い出を振り返るような歌詞が続きます。歌声もメロディラインも、とても優しくて。
ところが…

初めての花束をここに置いておこう

このフレーズに入るところで、急速にギターの音色が激しくなります。
それはさながら、無情にも訪れた残酷な現実を刻むような。
ただ、この時点ではふたりに何が訪れたのか、それははっきりとは描かれていません。
だから一聴する分には、「ちょっと曲の雰囲気変わった?」くらいにしか感じないと思われます。

続きいきます。

目が覚めた君はどんな顔をするだろう
眠る背中にこっそりキスをしよう
目が覚めるほどの声で泣いてしまおう

引き続きのジャギジャギギターサウンドに乗せての想いの吐露。
どうやら“君”は、眠っているようす。
なーんだ、それを隣りで眺めているような、微笑ましい光景なんじゃないか。

――ん?「泣いてしまおう」??
ここでようやく、泣くような何かがあったことを知るのです。
そしてソレは歌の中で直接的な言及が無いながら、どうやら“永遠の別離”であろうことが伺えます。
(もしかしたらMVに引っ張られて理解した気になっているのかもしれませんが)
“ソレ”を理解した上で、もういちど先程の歌詞を見てみましょう。

初めての花束をここに置いておこう
目が覚めた君はどんな顔をするだろう
眠る背中にこっそりキスをしよう
目が覚めるほどの声で泣いてしまおう

“初めての花束”の意味。
→これってプレゼントとかじゃなくそういう…!

“目が覚めた君はどんな顔をするだろう”
“目が覚めるほどの声で泣いてしまおう”
→目は覚めないんだ…という残酷な現実。目が覚めないことを頭では分かっていての思いなんだって理解すると、一気に泣けてくるんだよね。

“目が覚める”という言葉を、畳み掛けるように2つの意味で使っているのも印象的です。しれっとこういうワザを組み込んでくるリカコリリック大好き。

そして理解してから、改めてAメロの“想い出振り返りパート”を聴き直してみると…また新たな感情・感傷が湧き上がってきます。

穏やかなふたりの日々。
…いや、穏やかだった日々、もう帰ってこない時間、なんです。
ねえちょっと!もう!泣くんだけど!

●突然ですが、ウツシヨこぼれ話

以前に、別の曲の感想を上げた時、ウツシヨのDr.のりちゃんがこんなコメントをくれました。

作詞者・作曲者の意図を汲んで表現するのが演奏する側の役割だとも思いますので。

「初めての花束〜」のところから大きく動き出すこの歌の物語。それをしかと感じさせてくれるのは、演奏のチカラによるものが大きいなと思ったのです。
16のくろに限った話ではないけど、演奏と詞がうまいこと噛み合ってお互いを盛り立てているの、最高に気持ちがいいですよね。

●残酷な現実、その正体

贈った花は枯れても君はこんなにも綺麗なままなんて
信じてみても受け入れてみても僕の気持ちはまだ ただ

「贈った花は枯れても君はこんなにも綺麗なまま」
“贈った花”は供花。
“(その花が枯れても)こんなにも綺麗な君”は写真の中の姿。
ひととおり歌を聴いたり、歌詞を読むだけだと、この部分でようやく“残酷な現実”の意味に確信を持てるようになっています。
(勘の良い人は察せるかもしれないけど)

歌詞表現もそうだけど、驚きや深みも相まって。
“物語”の在り方として本当に優勝だと思います。

「明日晴れたら」と言った朝の君にもう一度だけ会いたい

君にはもう会えないこと。
そして今日、“その日”の朝までは会えて話も出来ていたこと。
別離は本当に急に訪れたこと。
たったこの一行で、この歌に込められた悲しみが全部詰まっている。泣きそう。泣いた。

●“16のくろ”、その意味

16は16歳?
くろは黒…喪服という解釈で合ってるかな。

16歳の少年、或いは少女に訪れた突然すぎる悲しい別れ。それを時に激しく、時に優しく歌い上げた名曲です。

そういえば序盤でも触れましたが、女性ヴォーカルで“僕”一人称なのは、男性が聴いても共感出来るような曲を書こうとしてのことなのかな、となんとなく思ったりしました。

俺“報われない恋愛をする女”の歌でもすげぇ共感しながら聴いてっけどな!!(何のアピールだ)

***

いかがだったでしょうか?
『16のくろ』の歌詞は、ウツシヨOfficialWebサイト・Lyricにて閲覧可能です。

また、ウツシヨYouTubeチャンネルではMVも絶賛公開中!歌詞や演奏を噛み締めながら見ると、また新たな感動がありますよ!

楽曲も各種音楽配信サービスで聴くことが出来るので、よかったら聴いてみてください。

***

ウツシヨちゃんの記事、他にも書いています。こちらもよかったら!

第一夜:ワンマンライブを配信で観た話

第二夜:お嬢と若い衆の話

第三夜:初のライブ参加!in岡山!

第四夜:リカコリリックナンバーワン01『時雨』

第五夜:リカコリリックナンバーワン02『秘密のサタデイ』


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