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【お悩み相談 裏回答… 004】「人を頼ることができません。」

<お悩み>
40代、バツイチの会社員です。子どもの頃から親も含め他人に自分の要求を伝える方法がわからないでいます。
30すぎになって初めて付き合った男性だった夫にも、うまく要望を伝えられず、いつしか母と息子のようないびつな関係性に陥り、最後は浮気されて離婚しました。 もともと他人同士が暮らすのだから、うるさいことを言わないようにと思い、まるで独身のように自由に暮らす夫を放任していたら、いつしか私は家事や世話をするだけの便利な母親になってしまったようです。誕生日プレゼントなどがもらえたのも最初の2年くらいで、明らかに途中からは女扱いもしてもらえていなかったです。
他人にうまく甘える、こうしてほしいと言えるかわいい女性にずっと憧れていたのですが、いまさら性格も変わらないようで、こうして一人でなんでも解決しながらずっと生きていくのかなと思うと寂しいです。うまく他人を頼る方法についてアドバイスをいただけませんか?
(相談者:つばめ/女性、43歳会社員)

※本裏回答は、下記に記した方針で勝手に回答した記事となっています。リンク元のサイトとは関係ありません。リンク元サイトの回答に敬意を表した上での、裏回答です。ご了承ください。

一人でなんでも解決していく、と言う生き方

なるほど… 生活はなんとかしているけど、ちょっとお疲れな心持ちがよく伝わってきます。
ちょっと、自分を変えたい、と言う意思すらあるのに、今さらどうしたらいいのか、分からない、と言うところでしょうか。
お気持ち、お察しいたします。

とは言え、まずは「こうして一人でなんでも解決しながらずっと生きていくのかなと思うと寂しいです」とのこと。まずは、「なんでも」解決しながら生きてきたあなたの人生の壮絶さ、それゆえの偉大さ、を読者のみなさまに知ってもらうためにも、一人でなんでも解決していく、と言う生き方について、振り返って見たいと思います。

人に頼らない豚骨ラーメン

例えば、お昼に、「ああ、お腹すいたなぁ、ちょっと豚骨ラーメン食べたいなぁ」という願望がわき上がってきたとします。

ところが、なんでも一人で解決してしまうあなたは、ここでも人を頼ることをしません。
つまり、安易に、駅前商店街で評判のいいラーメン屋に出向いたりはしないでしょう。
とうぜん、ラーメンも自前で作りますし、そのためにも、まずは、原材料となる、豚骨(ゲンコツ)・背脂・白ネギ・生姜・麺・チャーシュー・醤油・マー油・だし・煮卵・メンマ・塩の自家調達から入ります。
今回の味の決め手はなんと言っても、豚骨でしょう。

数々の困難

何事も誰にも頼らないあなたは、スーパーで豚骨を購入する、ということすらしません。まず、野生の豚を狩に出向くか、豚の飼育を決意します。そもそも豚は、イノシシを家畜化したものである、と言う事実を知ったあなたは、いっそ、野生のイノシシを狩り、猪(しし)骨ラーメンにオーダーを変更することも頭をよぎりますが、真面目な性格がそうはさせません。一度、豚骨、と決めたからには、目標を変えるなど邪道です。

養豚場に出向き、生まれたばかりの子豚を、買い取り、100kgを超えるほどに大きくなるまで育てるのに半年ほど。
その頃には、すっかり情が移ってしまい、もしかすると、名前さえつけ、毎日仕事から帰ると、「ハーイ、マイケル、寂しくなかった?」と頬擦りしているかもしれません。

半年間、我慢してきた豚骨ラーメンを完成させるためには、なんとしても越えなくてはならない、殺生と言う、理不尽な業。人類が生き延びるために、何千年と繰り返していた歴史ではあるが、この自らの手でその歴史を追体験するとは…
あなたは、この試練を乗り越えことの意味を知るために、仏門をたたくかもしれません。

なんとか、決意し、生きていくために「いのち」を頂きながら生かしてもらているのだ、との壮絶な覚悟を決めたのち、はたと、「ラーメンのスープを作るために骨は使うが、はて、残りの肉はどうしたものか…」と思案します。
大量の、ロース、バラ肉、モモ、ヒレ、豚トロ、ホルモン、レバー、ガツ、ハツ、ミミ、トンソク、などが取得される訳で、自炊生活派のあなたとしては夢のような材料ですが、適切な保存方法を学び、業務用冷蔵庫を購入するか、急遽、友人親戚一同を招いて、焼肉パーティでも開催しないと消費しきれません…

更なる試練の日々

途方にくれる中、ふとあなたの頭の中に、別の疑問がよぎります。

「今まで、私ったら、ラーメンのタイトルが示す『豚骨』ばかりに心を奪われていたけど、麺はどうしよう…」

豚骨も自家製にこだわるあなたは、当然、小麦も、人に頼らず、一人で栽培することを決意します。
ところが、小麦には育てるための季節が重要。気づく季節にもよりますが、万が一、準備・種まきのシーズンである9月、10月を過ぎた頃に初めて麺についての考えに至った場合、残念ながら、あと一年以上先の収穫期である7月まで待つ必要があるのです…

とは言え、懸命なあなたのことです、もうお気づきでしょう。そう、残りの、ネギ・しょうゆ作りのための大豆・煮卵を作るための鶏・メンマ・合わせだしをとるための昆布と煮干し・塩、などなど、栽培・飼育の準備も多角的に進める必要があるのです。

辿り着いた一杯…

材料調達だけで、ここまでの試練を乗り越えれば、後の、製粉・製麺などとるにたらず、豚骨を12時間ほど寸胴鍋で煮込むことぐらい、瞬間芸でしょう。
斯くして、ある日の職場でのお昼時、「ああ、お腹すいたなぁ、ちょっと豚骨ラーメン食べたいなぁ」と思い立ってあら数年後、ようやく食することになる、豚骨ラーメンの美味しいこと、間違いありません。

芽を出した頃にやってきた台風が心配で一人で見に行った真夜中の小麦畑、注射を怖がって鳴き叫ぶマイケルを抱きしめてやったあの豚用ウイルスワクチン摂取の日、塩作りのために借りた塩田ごしに見えた美しい瀬戸内海の風景などなど、数々の思い出が走馬灯のようによぎり、思わず目頭が熱くなるでしょう。

なかなか便利に出来ている社会のシステム

そんな、数年に及ぶ、苦難を乗り越え食するに至った、このラーメン一杯。
あまりのうまさに思わず箸が止まらず、一気に10分で完食…

この1年を超える壮絶な苦労が10分で終了っすか、マジっすか…
うーむ、明日のランチは、多少、準備が簡単なものにしよう…

とまあ、妥協することも手です。
あまりにも、完璧を目指すと、人生、必要以上な苦労が増えて大変です。
考えてみれば、材料は全て、ひとりで手配したとの自負があっても、豚骨を煮込んだ寸胴鍋は誰かが作ってくれたものを、Amazonに発注して、誰かが届けてくれたものだし、調理するときに使ったガスコンロにガスが供給できるシステムは、インフラとして、誰かが計画的に整備されたもの。
ラーメンをすすってるどんぶりや、はし、レンゲも、正直、ダイソーで揃えたものだし、正直言うと自分で一から作ったものでは無い。

誤解しないで下さい、私がつばめさんを、「あなたは、言うほど、なんでも一人で解決して生きてきた訳では無いんじゃ無いですか?」と疑っている訳ではありません。

だから、今までの自分の人生に対するプライドが引き裂かれた、金輪際、自炊はするものか、と自暴自棄になる必要もありません。

そうではなく、社会の中で生きていく、現に生きている、ということは、誰だって知らない間に、数多くの人に頼って生きている、ということでもある、ということなのです。

逆に、そういうふうに、実は、社会というものは進化してきており、知らないうちに、持ちつ持たれつ、高度にシステム化されているということでもあります。
実際、上記のような、ぶたの養育、小麦の栽培を考えただけで、いや、考えるまでもなく、そこまでのプロセスを端折って適当な価格で提供されるラーメン屋を訪れるか、インスタントラーメンにお湯を注ぐ人が大半な世の中になっている訳です。

知らない間にいろんな人に頼っている

というわけで、まずはご安心下さい。
あなたは、「いまさら性格も変わらないようで、こうして一人でなんでも解決しながらずっと生きていくのかなと思うと寂しいです」と書かれてはいますが、おそらく察するに、性格を変える必要もなく、既に実に多くのいろんな他人(養豚業者、飼料栽培業者、屠畜場、豚用ワクチン製造業者、寸胴鍋制作金物屋、小麦栽培業者、天気予報を可能にする気象衛星、Amazon、ダイソー、ガス・上下水道などのインフラ供給会社、ラーメン屋などなど数えきれないほどの人々)にしっかり頼りながら生きている訳で、そう思えば、寂しさも一瞬で吹き飛ぶことでしょう。

また、そう意識することで、つばめさんも、あんまり、完璧主義を目指さず、ゆるーく、適当に社会のシステムに流されながら生きて良いのでは無いでしょうか。

意中の相手に何かをして欲しい

ただ、もしかするとあなたの真のお悩みは違うところにあるのかもしれません。
つまり、意中の人、旦那さんなど、あなたのそばにいる人、いてほしい人に、例えば、本当はプレゼントが欲しいんだけど、欲しいって言えない。
本当は、もっと優しくして欲しいのです。

それも、察するに、「今度の誕生日、前から私、ペットにキリンが欲しいんだけど、Amazonで注文しといてくれる? もちろん、絶滅危惧種のキリンだと手続きが面倒でしょうから、比較的、絶滅の危惧の低いと思われるアンゴラキリンかマサイキリンがいいわね。でも、日本の動物愛護管理法では、2019年6月にキリンも特定動物に指定されちゃったから、きっとあらかじめ都道府県知事または政令指定都市の長の許可が必要じゃ無いかしら。ワシントン条約上は、特に規定はないと思うけど、それも要確認よ、わかってる?」と正面切って聞くのは、無粋と思われてるのでしょう。

「つばめちゃん、なんだか、さいきんねぇ、くび〜のなが〜い動物さんが欲しくなっちゃったの… ダーリン、なんとかならない?」と、甘く囁いてみたい…

全く疾しいことでも可笑しなことでもありません。

身近な人に頼れない理由

では、具体的にどうすれば良いか。

そのヒントは、なぜに、あなたは、豚骨ラーメンを豚の飼育から始める代わりに、潔くラーメン屋にその準備を頼むことはできるのに、一方で、だんなさんにプレゼントを依頼することが出来ないのか、にあります。

つまり、赤の他人なら、お金と交換という大義名分があるし、相手がその筋の専門家だから「なんだってぇ? 俺さまにラーメンを作れってのかい、お嬢さん、随分いい度胸してんじゃねぇかい、ああ?」などと逆ギレされない安心感がある。
それに引き換え、旦那さんや両親などには、親しくしているがゆえに、慣れていないお願いをすることで相手に迷惑をかけやしないか、という、恐れがある訳です。相手をあまりにも思いやるが上での慮り。

なんという優しさでしょう。
そして、その優しさがあだとなった訳です。あなた自身、「いつしか私は家事や世話をするだけの便利な母親になってしまった」と書かれている。

身内も所詮、赤の他人と割り切る…

そこまで分かれば、自ずと答えも見えてくるのでは無いでしょうか。

つまり、優しさなどかなぐり捨て、身近な旦那や、意中の恋人、両親、親族と言えども、まずは、赤の他人と思えば良いのです。あなたの、親しい人を思いやる優しさを封印する。

例えば、最初は、難しいでしょうが、旦那さん、意中の人を前に「いい、つばめ、今私の前にいるのは、ただのAmazonのコールセンターのオペレーターよ」と自分に言い聞かせるのです。

案外、他人に話かける方が丁寧な言葉使いをするものです。上記のように自己暗示をかけるだけで、先程のプレゼント依頼も自然と、「今度の誕生日にですね、前から欲しいなぁて思ってた、ペットとしてキリンが欲しいなぁ、て思ってるんですけどぉ、お願いできますでしょうか? 動物愛護管理法とか、ワシントン条約とか、つばめ、よく分からないから、できるだけ手続きが簡単な奴がいいなぁ。え、プレゼント包装ですか。包装紙はシンプルな白と黒のストライプパターンで。それじゃ、シマウマじゃ無いかって、ヤダァ…」と、優しく、かつスムーズにオーダー、じゃなくてプレゼント依頼をできるようになります。

優しすぎるが故に欲しいものが貰えなかった。だとしたら、一度逆に自分が思い込んでいた「優しさ」を捨て去ってみる。

他人同士だからこそ、うるさいことを言わないのではなく、他人同士だからこそ、必要なことは遠慮せずにいうことができる、という側面もある訳です。

心配することはありません。根が優しすぎるあなたのようなタイプであれば、捨て去ろうとしても違うタイプの「優しさ」を身に纏ってしまうものなのです。

対価の支払い

流石に、「支払いは、PayPayでいいですか?」と聞くと、相手に、訝しがられますし、あなたとしても、「だから、そんなお金とかで解決したいのじゃ無いんです。むしろ、お金じゃない形の気持ちが欲しいだけなんです…」とおっしゃるかもしれません。

もしかすると、そこがポイントかも知れません。プレゼントを欲しいなら、相手にもプレゼントをあげる。甘えたければ、甘えてもらう。こうして欲しい、というには、ああして欲しいことをしてあげる。

具体的には、「あなたの誕生日には、カバを探しておくから」と伝えるか「今夜はサービスしちゃおうかな…」と、頬を染めながら俯くなど、お金以外の対価を提案すれば良いでしょう。

留意点

ただ、あなたは、かつての旦那さんに、母親のような世話、という対価を先払いでかなり支払っていたにも関わらず、要望していたサービスが受け取れなかった、と訴えている筋合いもあります。

その場合は、それはあなたの接し方の問題ではなく、単なる、悪徳業者に引っかかった可能性が高いですから、さっさと、消費者庁のホームページに記載されている消費生活センターなどに苦情を伝えると同時に、即座に取引を停止、契約を解消するのが筋であり、離婚ずみのあなたの選択は正しかったと言えるでしょう。

あえて言うならば、先払いの対価に対して、サービスを受け取れていないクレームや、契約不履行を盾に家事や世話を中止するなどの対応を、早めにしておけば、違う展開があった可能性は否定できません。

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