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TN LEAD:生物多様性への事業インパクト評価サービスを開始

株式会社シンク・ネイチャーは、企業や金融機関を対象に、生物多様性への事業インパクトの評価サービス「TN LEAD」ベータ版の提供を開始いたします。

TN LEADとは?

「TN LEAD」は、企業がTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)に準拠した自然関連リスク・機会に関する情報開示を行うため、事業活動の自然へのインパクトを定量的に評価・分析できるサービスです。国内だけでなく、国際的なバリューチェーンを網羅した評価が可能です。「TN LEAD」はTNFDが推奨する評価手順である「LEAPアプローチ」 に準拠して開発されており、2023年9月以降に正式発行されるTNFDフレームワークに沿った情報開示への準備を可能にします。

TN LEADの特徴

「TN LEAD」は、生物多様性への事業インパクトを全産業セクター&グローバルスケールで定量的に評価する、世界初のサービスです。企業・金融機関の皆様は、自社が関わる自然資本を見える化することによって、経営におけるリスクの最小化とビジネス機会の最大化を図ることが可能になります。

世界初の根拠

TNFDデータカタリストメンバーでもあるシンクネイチャーが組織するマクロ生態学・システム化保全計画学の専門家(直近5年間の出版論文のインパクトファクター・スコアが当該分野の国内上位2%以内のトップ研究者チーム)の見解によると、「TN LEAD」の評価データは、 世界中の陸・淡水・海の生物圏と野生生物30万種以上を網羅しており、自然資本の基盤となる生物多様性・生態系サービスの関連指標も100以上に及び、企業活動の自然関連リスク・機会に関する評価データ・ツールとしては、世界最大規模です。

TNFD Tools Catalogueに登録されている全99個のツールを調査したところ、TNFDが推奨するLEAPアプローチに対応した評価データやツールは9つのみで、そのいずれもが特定の産業セクターや領域に限定されます。陸・淡水・海の領域を網羅し、生物多様性に対する事業インパクトを多産業セクターで評価できるツールは、今のところ存在しません(2023年4月時点)。

また、生物多様性評価に対する事業インパクト評価で、最もよく利用されているツールの一つはIBATですが、環境省「生物多様性民間参画ガイドライン(第3版)」(2023年2月)によると、“KBA 対象種リストや IUCN レッドリストに掲載の無い種に関する分布情報や地域で重要としている情報が無く、都道県等の地域特有の重要な種の分布範囲や重要な生物多様性の場の範囲は特定できない“、とあります。また、環境省「ネイチャーポジティブ研究会」(2022年11月)によると、”生物多様性評価にはIBATを使ったが、結局確認できるのは評価地点が自然保護区に入っているかいないかということとニアリーイコールなため、有効性については検討が 必要だと考えている”、との指摘がある(有識者見解)。

これらの既存ツールに比較して、「TN LEAD」は、KBA 対象種や IUCNレッドリスト種のような希少種だけでなく優占種や普通種の分布も網羅的に高解像度で可視化しており、IBATでは評価できない海洋も含めて、ビジネスに関係した評価地点について、高精度の生物多様性評価が可能です。

以上、専門家の見解、自社調べ、及び、客観的情報に基づくと、「TN LEAD」を用いることによって、地球上のあらゆる場所について、企業活動が生物多様性に与えるインパクトをTNFDのLEAPアプローチに準拠して定量でき、陸・河川・海で操業する全産業セクターの自然関連リスク・機会の評価が、世界で初めて可能になりました。

TN LEADの生物多様性ビッグデータについて

「TN LEAD」では、自然史の研究論文や標本情報、リモートセンシング(人工衛星・ドローンデータ)、環境DNA調査、バイオロギング、ハイアマチュア市民調査などで収集された生物関連データ(分布、遺伝子、機能特性、生態特性など)など信頼性の高いデータを学術的な知見に基づいて統合したものを利用しています。データ解析においても、現役の研究者による最新の研究知見を反映しています。

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