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繋がれた鎖とebism100の正体とバタフライエフェクトの話

さて。
太平洋高気圧とチベット高気圧が折り重なって、夏がぼくらを封じ込めにかかっています。ファミえんです。もうすぐファミえんがやってくるのです。すぐそこにサマーですグリッターです。ほぼブラジルです。

でもちょっとまって。
ぼくはファミえんを迎える前に、楽しかったあの春ツアー「私立恵比寿中学 spring tour 2023~100%ebism~」に最後の考察を入れて、お別れを告げておこうと思うのです。題して、ebism100とは何だったのか。あの公演からぼくなりに読み取ったことをまとめておきます。

ここからは思い込みによる自動書記が炸裂しますので、前向きに夏に向かいたい方はいますぐファミえんの特設サイトに飛んで、うーたん村でのムーブの作戦をたてておくと夏が数倍たのしくなりますよ。おすすめです!


夏のいりぐちは ↑ コチラ





そして上記リンクを踏まずにここまで読み進めてしまった方は、とりま諦めてください。以下、さっそく思い込みの垂れ流し開始です。



PANDORAで破られる鉄格子

まずですね。
このツアーのテーマのひとつは、ニューノーマルな時代の檻をぶっこわすというものでしたね。公演1曲目のPANDORAにて、みれいちゃんが監獄セットの錠前をガチャリとするアレです。
声だしOKの公演となって、ぼくらと彼女らの間の世界を隔てる鉄格子が開かれ、ふたつの世界が地続きになった。これが大きなテーマその1。
詳細はツアー開始時にUPしたnoteに軽くまとめてみてありますので、本記事でははぶきます。

こちらの記事では書き忘れてしまったのですが、「ファミリーの声があわさってebismは加速し、完成する」なんてことも言えるんじゃないかなーなんて追記しておきます。



繋がれた鎖は何のために

で。
どちらかといえば、ebism100という公演のキーワードを読み解くカギとしては、もうひとつの大きな演出の側にこそ存在していたと思うのですよ。

つまりそれは、バタフライエフェクトの際にメンバーみんなが繋がれていた鎖のことです。
こちらはわりと解釈がまとまりきっていない人が多いようす。
この曲に続いて披露されるのが自由へ道連れでしたので、「自由に対しての不自由を表わしている」という解釈は見かけたのですが、それならば、そもそもなぜ自由と不自由を対比させる必要があったのでしょうか。
正直ぼくもよくわからなかったんですけれど、千秋楽の公演が終わったときに、おぼろげなんですが見えてきたような気がしたんです。

さてここから思い込みが加速します。医者かカウンセラーを呼ぶならいまのうちだぜ。



・・・全編書き終わってみたら、案の定だいぶクドくなりました。めんどくさい方は上記目次の「バタフライエフェクトの正体とは」まで愛をこめてジャンプしてください。いまだー。

バタフライエフェクトとエビ中の転換期

ええと。
まずバタフライエフェクトといえば、8人体制になって初のシングルです。

当時のエビ中さんのことを思い返してみます。
当時の彼女らは、激動の中にありました。
リリースの約半年前に初のSSA公演を開催。日本人アーティスト最速記録なんていう肩書きまでついて、勢いの感じられる状況にありました。
しかしその公演のほぼ直後、ダンスリーダーと秀才MCとエグゼクティブビジュアルメンという頼りになる3人の仲間が一気に転校。かわりといってはアレですが、ポンコツオブポンコツとまで評されたふたりが転入してくるはこびになりました。

もろもろを恐れずストレートに表現すると…
新体制になって、それまで9人ならば出来ていたはずのことが、8人だとできなくなった。積み上げてここまできたのに、また最初からのやりなおしになってしまった。
誰かが悪いわけではない。転入してきたふたりは短期間で楽曲と振り付けを覚えまくって、精一杯の努力をしている。もとからいるメンバーもそんなふたりを見ている。誰もが懸命にやっている。わかってる。やるしかない。でもできない。

たった半年で天国から地獄。SSAまで駆け上がったメンバーにとって、新しく加入してきたふたりにとって、これがどれだけ辛かったことだろうか。
このときだってメンバー皆さんは本気で活動をしていたわけで、決してきれいごとだけでストンと収まるような気持ちで済んでいたはずがないと思うんですよね。

そんな、飛ぼうとしても羽ばたくことができない状態。それを表わしたものが、ebism100での鎖が巻き付いたメンバーの姿なのです
あのときの一番の当事者だといえる小林歌穂と中山莉子のふたりが、檻の中で絡みつく鎖にもがきながら踊る様子から始まること。そこからもそういったメッセージを読み取ることができるように思えるのです。

バタフライエフェクトに必須であった「鎖」

この公演のセトリにおいて、鎖のついたバタフライエフェクトが重要な意味をもった1曲であったこと。その証明をいれておこうかな。

理由ひとつめは、直前までのメドレーの中にこの曲を入れるのではなく、わざわざ独立させフルサイズで披露していること。
メドレーはエビ中の歴史における重要な曲がたくさんで、メジャーデビュー曲である仮契約、6人体制への転換を司るシンガロンシンガソン、同じく9人スタート曲イヤフォンライオットなどが入っていました。
しかしバタフライエフェクトはそういった楽曲とは別枠の、フルサイズでの取り扱いなのです。
これが、この曲が重要であったと思われる理由ひとつめ。

理由ふたつめ
直前の沖縄2公演にて同曲はセトリから外されたのに、千秋楽公演では復活させられていたこと。そうなのです。沖縄での2公演ではこの曲は歌われていないのです。

沖縄でこの曲がセトリから外れた直接的な理由は、鎖の舞台セットの運搬コストを節約するためだろうとは思うのです。でも、別にセットなんかなくても、オケさえあれば歌うことはできますよね。
それでも沖縄ではセトリから外すという選択をとり、その上で、千秋楽では鎖のセットを復活させこの曲をセトリに戻しています。
つまりこれ、ebism100でのバタフライエフェクトには、鎖がなければ意味がないと考えられていたことの証左ではないでしょうか。

「惚れた!」と「道連れしちゃうぞ!」

それでは、なぜ「鎖つきのバタフライエフェクトに拘ったのか」について、セトリ上で次曲をつとめた自由へ道連れの果たした役割とともに書いてみます。
ぼくは自由へ道連れの役割は、単に曲名の「自由」という言葉からきたわけではないものだと捉えています。


カホリコさん加入当時の話にもどります。
当時の8人のエビ中は、バタフライエフェクトを引っ提げての春ツアー私立恵比寿中学スプリングソニー・ミュージックレーベルズルーキーツアー2014~生まれ変わりちょうちょうボーンとエトセトラ~を完遂します。長い。

Everythingpointでの記録によると、ツアーの最後でまやまさんがカホリコに「エビ中に入ってくれて、ありがとう」という言葉を発しています。ツアーを走り切ったころに巻き付いていた鎖はほとんど消え失せ、未来にむけての希望を取り戻すことができた。そんな彼女らの手応えが伺えます。

同年の秋ツアー私立恵比寿中学オータムソニー・ミュージックレーベルズハヌケツアー2014~どうかせんぱちぱちhahahaん~では、ハイタテキ!!!という新たな武器を携え、メンバーが東奔西走します。長い。

このツアーでは8人体制のエビ中がだんだん機能しだしていきます。
その最たるものが、りったんさんがハイタテキで曲中で放つ「惚れた!」の一言。これは会場はおろかニコニコ動画の向こうの空気まで掌握してしまう、エビ中史上もっともパワーのある言葉のひとつです。全国に何人のりったんさんのお兄さんが生まれたことか。
敢えて大袈裟に言いますが、この一言が彼女らの鎖を完全に断ち切って、8人体制のエビ中の未来をかなり明るいものにしたように思えます。マジで作詞作曲のTAKUYAさん天才ですよ。

ebism100の話に戻します。
当時と今との共通点といえば、エビ中の大きな変革期であるということ。前者は9人から8人へ。後者は一枚岩から姉メン&妹メン体制へ。

今回の演出の意図は、きっとここ。
「当時と同様、いまエビ中は変革の時を迎えているのだ」というメッセージがここにあるのです。
変革前の姿の象徴が、鎖を伴ったバタフライエフェクト。そして、いまその鎖を打ち砕く象徴となるのは、中山莉子が担い続ける「惚れた!」ではなくて、桜木心菜による「道連れしちゃうぞ!」の一言なのです。

アルバム発バム事件を経て自由へ道連れが初披露されたとき。
ブレイクで柏木さんが放った「道連れしちゃうぞ!」の一言も、「惚れた!」にヒケをとらない、有無を言わさぬパワーのあるセリフでした。

そして、そのひとことを柏木さんから受け継いだのは、妹メンである桜木さん。6人時代のエビ中から地続きであった一言を、低学年メンバーがしっかり受け継いで、曲中ブレイクにて空気を一瞬で掌握します。
平たくいうと、ebism100での「道連れしちゃうぞ!」の言葉は、柏木ひなたからのバトンであり、りったんさんへのオマージュであるという、ふたつの役割を果たしている。バタフェと対になっていることで、そう捉えることができると思うのです。

バタフライエフェクトの正体とは

長くなったのでここまでの要点だけ箇条書きにしときます。

1:バタフライエフェクトを出した2014年。9人体制から8人体制に変わった折り、鎖が絡まったかのごとく勢いが失われてしまった。

2:そのごのツアー等を通し、8人体制はしっかり機能をしはじめる。それを象徴するのがハイタテキの「惚れた!」の一声。

3:そして2023年のいま、当時と同じように6人体制から10人体制への変容を迎えている。

4:セトリのバタフライエフェクトは「2014年に新体制に変わった際うまく羽ばたけなくなったメンバーの姿」を、鎖を用いて示している。

5:10人体制はすでに機能しはじめている。それを象徴するのが自由へ道連れの「道連れしちゃうぞ!」の一声である。

つまりebismとは何だったのか

誰一人ここまでたどり着いていないことを自覚しつつ、まとめまーす。

ええと。
前の項までの話であればですね、U-SK先生の演出ってSUGEEEE!!!という話で終わってしまうと思うんですよ。もちろん、メッセージはあるし熱いし楽しいしとても良い演出だと思うのですよ。
でもですね、ぼくはやっぱりメンバーの方が一枚上手で、メンバーの皆さんさらにもうちょっとSUGEEEEEEEEEEE!!!!と思わされてしまうのですよ。

たとえば、安本さんは最後のMCで語りました。
「エビ中で変わらないことは、変わり続けることをやめないこと。」

この言葉は、誰かが書いた台本を暗記したようなものではなく、安本さんがツアーを通して自然と選ぶことになった言葉なのではないかと、ぼくは思います。もしかしたらキーワードくらいは大人が用意したかもしれない。けれど、ツアーを通して体感したであろう本人の気持ちが、しっかりと言葉に載りこんでいたように感じるのです。

公演の中で、たぶん演出家が想定していなかったであろう細かい物事などから、「変容するエビ中」というキーワードがたくさん見えてきました。
例えば、少し前までナナタイムで歌割りをとられて泣いていたみれいちゃんは、ののかまるを抱きしめるようになりました。桜木さんは、先輩のMCにどんどん絡んでいくようになりました。小久保さんはスタミナがUPしたのか、随所でしっかりとエナジーを感じさせるようになりました。少し前まで最年少だった中山さんが、メンバーみんなの真ん中でしっかり構えるようになりました。

そして。
最終日に披露された誰もが待っていたあの曲は、メンバーみんなで新しい歌割りを考えたそうです。大切にしてきた楽曲だからこそ、いまあるべき形にメンバー自身が再構築をした。そうすることで、大切にしてきた部分を壊さずに、より大切なものにしていけるのではないか。その挑戦と実践が凝縮されていたように受け取ることはできないでしょうか。

最後に登場したこの曲は、ebism100の真髄を体現した、最高のプロダクトだったといってもきっと過言ではない。僕はそんな感想です。




理事長はかなり昔のツイートで、ももクロ姐さんとエビ中を比較して、「ももクロは自分で道を作ってゆくスタイル。エビ中は作られたその道をお菓子とか食べながら進んでゆくスタイル」と評しました。
この対比について、ぼくは「なんとなくわかる」くらいの印象でいたのですが、ここにきてだんだんその受け取り方が変わってきました。

2014年当時は、鎖に絡まりながらも、メンバー8人は「エビ中HIらんど」や「グローバル化計画」では決して悲壮感を出すことなく、ぼくらにはたのしげな表情だけを見せながらやっていました。のんきなぼくは、それらをとても楽しく楽しく見ていました。

いま思えば、彼女らはただお菓子を食べながら歩いていたのではなくって、お菓子とか食べてのほほんとしている側面しかぼくらに見せなかっただけなのだなと。その頃から、彼女らはとっても強いコたちだったのだなと。やっとそこに気付いた気がします。そしてその道のりは8人時代を経て、いまの10人時代に受け継がれています。
や、当時の理事長の真意なんて、このさいどうでもいいのです。


ebism。
造語ではありますが、訳すとすれば、エビ中の信念・エビ中の哲学。そういったあたりになりますでしょうか。
安本さんにより言語化されたのが「エビ中で変わらないことは、変わり続けることをやめないこと」というひとこと。変わったものもあった。変わらないものもあった。すべてひっくるめて、演出家やまわりの大人の意図を超えて、強い信念や哲学といえるものがたくさん見つかり、たくさん身に付き、たくさん実践でき、たくさんの人と共有することができたのではないでしょうか。

ぼくはそういう意味合いから、「私立恵比寿中学 spring tour 2023~100%ebism~」というツアーは大成功だったのではないかと結論付けてみたいのです。


ああ、こういう話を「私とエビ中」で書くべきだったのかな。



といったわけで、春ツアーの振り返りおしまい。
おくればせながら、ぼくもいよいよ夏に進もうと思います。
週末はファミえんだ!したくしなきゃ!

それではそろそろ寝ますです。
おやすみなさいグー。





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