脳下垂体腺腫闘病記

ものづくりのツボから離れますが、先日受けた自身の脳下垂体腺腫摘出手術の退院するまで闘病記録です。

ここ数年、目の見え方が悪くなり、霞んでよく見えないことが増えました。
視野が狭い感じがしてましたが加齢の為?かなと思いあまり気にしていませんでした。

しかし、今年の健康診断で視力がかなり悪くなっていたという結果を受け、眼科で検査を行いました。
白内障か?と思ってましたが、全く心配はないということでしたが、念のために脳のMRIを受けましょう。ということで紹介された脳外科で検査を受けました。
結果、脳下垂体腺腫の摘出が必要と診断されました。

脳下垂体腺腫とは、下垂体の腫瘍(良性)のことです。
小さな間は問題ありませんが、私の場合、大きく成長し、視覚神経部を圧迫し、失明の恐れがあるため、摘出手術を行うことになりました。

他にもホルモンバランスの乱れによる病状が出るとのことですが、術前の血液検査では特にホルモンの数値に問題はありませんでした。
時間をかけ大きくなっていたようで23mm程の大きさになっていました。
(写真の赤い部分です。頭の左横から見た断面です。左が顔です。)

画像1

手術は、経鼻手術と言って両方の鼻の穴、上唇をめくって歯茎から内視鏡等の機器を入れ頭蓋骨の底に穴を開け、この腫瘍を摘出するというものです。

手術2日前に入院し、検査、点滴を受けました。前日、夕食からは飲まず食わずとなりました。

当日は朝8時30分手術室入り、9時ごろから手術開始でした。
すぐに、麻酔が入り意識はありませんでした。

私を呼ぶ声が聞こえ、不意に起こされたような気がして目を開けました。
すると両目が明るく見えました。
「あっ、手術は終わったんだ。」と意識でき、部屋の時計を見ると午後3時でした。

その後すぐに、口の中が術後の血で溢れ、肺に入りそうになりましたが吸引と痰だしで落ち着きました。
しかし、以降2日間は血のまじった痰出しをひっきりなしに行いました。

麻酔の後なので、眠気があり、ぼーとしてましたが、確実に手術は成功したんだと実感できました。

執刀医からは腫瘍を綺麗に摘出できたことと過去に私が副鼻腔を広げる手術をしていたため鼻の中で固着しているとこらがあり、そこを開けるのに時間がかかったがもう大丈夫である。という旨を聞き、ひどく安心しました。

しかし、術後が大変でした。
両鼻の穴にチューブが差し込まれ、鼻呼吸ができない状態(酸素吸入あり)、上唇に傷と腫れ、右太ももに縫い跡、尿道にチューブ、点滴は2本入った状態でした。
両鼻の穴に差し込まれたチューブは抜いた時に知ったのですが20cm超の長さがありました。(傷口の出血や粘液を外に出すためのものだそうです)
右太ももの傷はここから脂肪を摘出し、頭蓋骨に空いた穴を塞ぐためのものだそうです。
尿管チューブは下垂体を触った影響で尿調整ができず、尿がダダ漏れになるためです。術後、徐々に元に戻るので、尿量を管理するためのものです。

こういう状態なので術後、2日間はICU(集中治療室)でした。
寝返りも打てず、身動きもままならず、水分補給は16時間後にOKとなりました。
何より、鼻呼吸ができないことが辛く、睡眠も満足に取れませんでした。

余談ですが、ICUでの経験は壮絶でした。
両隣に患者さんがいて、肺からの痰の吸入を行なっているようでした。
特に右隣の人は、今にも亡くなるような状態でしたが一晩中、医師と看護師さんの懸命の治療により翌朝にはしゃべるまで回復していました。
正直、すごいと思いました。医師や看護師さんの努力に感激しました。
夜分に看護師さんがうるさくてすいません、寝れまいですね、と声をかけてくれましたが、鼻にチューブがなくても寝れないわ、と苦笑しました。

さて、術後2日目に一般病室(4人部屋)に移りました。
そして両鼻に入っていたチューブを抜きました。
前述した通り、20cmを超える長さのチューブと抗生剤を含ませた長〜いガーゼが入っていました。
ガーゼを抜いた後、同じく止血と化膿止め(抗生剤を含ませた)ガーゼをかなり入れました。もちろん鼻からは一切息はできません。
チューブの時の方が少なからずチューブを通して息ができたので、まだマシでした。口呼吸だけではほとんど眠れず、睡眠薬をもらったりし、3時間程寝ることができました。
この状態が3日間続きました。
さらに、3日目にははなの奥から変な匂いのようなものがし、気分が悪く、2度ほど嘔吐しました。嘔吐が終わると、鼻につめたガーゼが抜けてきて少し楽になりました。
術後のこの5日間が最も辛い時期でした。

5日目以降、鼻のガーせを交換しました。今までより少ないガーゼ量で鼻呼吸も少しはでき、楽になりました。
しかし、尿量が減らず下垂体ホルモンの点滴は続きました。4時間毎に尿の量を測り、多ければホルモン量を増やし、少なければホルモン量を減らし、安定するか見ます。

一進一退を繰り返しなかなか安定しませんでした。体は元気なんだけど、退院できない状況が続きました。

術後、18日目に鼻からの点鼻薬を併用すると尿量も落ち着きました。
鼻の粘膜が傷ついた状態で、点鼻薬ができなかったこともあり、長引いたようですが尿量が落ち着いたことに安堵しました。

20日目についに退院OKとなりました。

結局、3週間の入院でした。予定より1週間ほどおおくかかりました。
精神的にも肉体的にも辛い部分はありましたが、目が明るくなったことが希望となりました。
もし、手術をしなかったらもっと視界が悪くなり、行動が制限されていたと思います。また、頭の底がジーンとする感じも無くなりました。
手術をしてよかったと思います。

脳のMRIを勧めてくれた眼科の先生、手術の先生方・スタッフの皆さん、ICU、一般病棟のスタッフの皆さんには感謝しかありません。
特にリハビリのスタッフには助けられました。
体力の回復だけでなく気分転換の効用が大きくメンタル面で楽になりました。

皆さんありがとうございました。

最後に検診の大事さ、再検査の重要性をつくづく感じました。
自分の体は自分で守り、人生100年を目指し、健康でありたいと思います。







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