【英文法の小径】過去完了形〈時制〉その六
She had hardly sat down to eat when the phone rang.
この[hardly … when]というのは、「…するとすぐに〜した」という日本語訳に相当する時間構文として学習する人が多いのかもしれない。その際、when をはさんで前半では〈過去完了形〉、後半では〈過去形〉を用いると覚える。hardly は準否定語と呼ばれ「ほとんど〜ない」。でも、この構文、どうして「するとすぐに」になるのだろう?
hardly は英語でいうと almost not という意味、つまり「ほぼ not」「not に近い」といったところ。なので、hardly ではなく not を使った文から考えてみることにする。
She hadn’t sat down to eat when the phone rang.
〈過去完了形〉の基本的な用法は、過去のある時点までの期間に起こっていたこと(あるいは起こっていなかったこと)を表わすというもの。この文で過去のある時点とは「電話が鳴った」時のことで、その時までに「腰を下ろす」という行為が完了していなかった、つまり、彼女が腰を下ろしてしまわないうちに電話が鳴ったということをこの文は伝えている。
ここで not ではなく hardly を使った冒頭の文に戻ってみると、(実際には彼女が腰を下ろしてから電話が鳴ったのだが)、not を用いた文で述べられた状況に近かった、ほぼそういう状況だったというのが、言わんとするところであることが分かります。それらしい日本語にすると、「腰を下ろした途端に」「腰を下ろしたと思ったら」「腰を下ろすが早いか」「腰を下ろすか下ろさないうちに」などなど。
なお、この構文で使われる動詞の形(時制)の組み合わせは、「過去完了形+過去形」がふつうですが、このほかに「現在完了形+現在形」や「過去形+過去形」、さらに「現在形+現在形」の場合もあるようです。
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