【英文法の小径】過去完了形〈時制〉その七
I had hoped to catch the 9.30 train.
果たして、この話し手は9時30分の列車に乗ることができたのだろうか?
動詞の hope があるので、この文が話し手の希望について述べていることは確かだ。ただ、それが ‘had hoped’ と〈過去完了形〉で用いられている。〈過去完了形〉は、過去のある時点までの期間に起こっていたこと、あるいは、その時点まで続いていたことを表す。それでは、冒頭の文で過去のある時点とはいつなのだろう?
それは、目当ての列車がすでに発車してしまっていることが分かった時。そして、その時までその列車に乗ろうと思っていたので、’had hoped’ と〈過去完了形〉を使っているのです。
I hoped to catch the 8.30 train.
この文のように、単に〈過去形〉を用いた場合は、文脈がなければ、実際にその列車に乗ることができたのかどうかは不明です。
このようなわけで、一般的に希望や期待を表す動詞の〈過去完了形〉は、それが実現しなかったことを表すと説明されます。
A: Have you heard that John is leaving the company?
B: No, I hadn’t.
ここで頭の体操を一つ。この会話で返答の方(B)が、No, I haven’t. と〈現在完了形〉でないのはどうしてだろう?
ここで No, I haven’t. と答えると、今(=この発言をしている時点)までその話は聞いたことがないことになります。ところが、返答をする時点では、相手(A)の質問によって、ジョンが会社を辞めることはすでに知っているはず。なので、相手が教えてくれる(直前のことであっても、それが基準となる過去のある時点)まで、その話は聞いていなかった(知らなかった)ということを伝えるためには〈過去完了形〉を使わなければならないのです。
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