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英文法の小径

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毎回、一つの文法項目について、意の赴くままに説明を試みた散文を掲載中。
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2024年6月の記事一覧

【英文法の小径】should〈助動詞〉その四

She should have arrived at the station by now. 現在の事柄ではなく、過去の事柄について should を使って推量を表すには[should have + 過去分詞]という形式を用いる。must ほど確信度が強くないのは[should + 原形]のときと同じ。「もう駅に着いているはずだ」 She should have arrived here by now, but she hasn’t. ’but she hasn’t’

【英文法の小径】must〈助動詞〉その三

I must have been a bore.例えば、共同生活の解消を提案された話し手のつぶやき。may/might/could ではなく must に[have + 過去分詞]を続けた[must have + 過去分詞]は、過去の事柄について確信的な推量(推断)を表す。相手にとって「きっと退屈な人間だったのだろう」と自分を省みている。 That must have been fun.先月、ヨーロッパ周遊ツアーに参加してきたという相手への一言。‘That must be

【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その五

Someone could have been injured or killed.事件や事故を伝える記事で時々見かける一文。この[could have + 過去分詞]は[may/might have + 過去分詞]とともに、過去の出来事等に関する不確かな推量を表すことは前回(may/might/could・その四)、確認したけれど、ここもそうなのだろうか? もしそうだとすると、「確かなことはわからないが、死傷者が出た可能性もある(可能性はそれほど高くない)」といった意味に

【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その四

You may/might/could have left it in the restaurant.家中、どこを探しても傘が見つからないという相手への一言。 It may be in the car. 同じ場面での答えとして、例えば、こう言ってもいい。これは、今=話をしている時点で、問題の傘がどこにあるのかを推測して述べている。ただ、話し手に自信はない。 それに対して、いや、昨日訪れたレストランに置き忘れてきた、ということも考えられる(確信はない)。この場合は、現在の

【英文法の小径】should〈助動詞〉その三

They should be home by now.should のもう一つの顔は案外、見落とされがちだ。should が使われるとき、それは「〜すべき」を意味するとはかぎらない。 should にも、must と同じように、推量を表す用法がある。「〜のはずだ」という must と同じような訳語を与えられることが多いけれど、ちがいはないのだろうか? 推量したことを述べるのに should を用いるのは、それが正しい確率は高いけれど、話し手が must を使うほどの自信が

【英文法の小径】must/have to〈助動詞〉その四

There has [There’s got] to be a reason.共通の知人が仕事を辞めたと聞いて一言。[have (got) to]が must と同じように義務/必要性を表すことは知っているけれど、それでは、この文は「理由がなければならない」という意味なのだろうか? 実は、[have (got) to]も must と同様に、「ちがいない/はずだ」という訳語が当てられることの多い確信的な推量(「推断」)を述べるときに用いることができます。これは、主にアメリカ

【英文法の小径】must〈助動詞〉その二

Paul must pass the exam. ポールの、これまでの勉強ぶりを見てきて知っている話し手が、彼の合格を確信してこう言ったとしよう。さて、これで言いたいことは正しく伝わるのだろうか? must =「ちがいない/はずだ」だから、「合格するにちがいない/きっと合格するはずだ」は ‘must pass the exam’ でいいのではないか。 残念ながら、冒頭の文は「合格するにちがいない」ではなく、「合格しなければならない」という意味に、つまり、ここでの mus