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英文法の小径

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毎回、一つの文法項目について、意の赴くままに説明を試みた散文を掲載中。
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2024年5月の記事一覧

【英文法の小径】will〈助動詞〉その三

That’ll be the postman.例えば、玄関のベルが鳴って誰かしらという場面。屋内からは、玄関ドアの外に立っているのがだれなのかわからないので、これは推測を述べたもの。しかも、will が使われているけれど、現在の事柄に関する推量であって、いわゆる未来の予測ではないことは明らかだ。 a. That must be the postman. b. That might/may/could be the postman. 話し手が、自分の言っていることが事実であ

【英文法の小径】must〈助動詞〉その一

You must be hungry.朝から忙しくて何も口にしていない人に向かっての一言。一般に助動詞の多くは、大きく分けて二つの顔を持っている。ここでの must は、義務/必要性を表す「ねばならない」ではなさそうです。 お腹の事情というのは、本人にしかわからない。だから、本人以外の人には推測することしかできない。ただ、この場合は相手が朝から何も食べていないことを知っているので、相当な自信をもって推論の結果=結論を述べている。このようなときには must を使用する。

【英文法の小径】can〈助動詞〉その二

前回に続き、可能性を表す can の話です。 これは、例えば may を用いた文のように、ここの冬の寒さについて可能性を推測して述べている文なのだろうか? そうではありません。この話し手は自分の経験から、あるいは知識として知っていることを述べているのです。すなわち、当地では冬になると、(いつもというわけではないが)場合によってはかなり寒くなることがある、と。 このように使われる can は一般的な可能性を表すと説明されることがあります。さらには、少なくとも話し手がそうで

【英文法の小径】can〈助動詞〉その一

I’m not sure. He may/might/could be in his office. 例えばジョンの居場所を聞かれて答えている場面。’I’m not sure’ とあるように、話し手には確信がなく、可能性を推測している。こういう場合には may/might/could を用いること、そして can を用いないことは以前に確認した。 それでは、可能性について述べるときに can を用いるのはどんな場合なのだろう? It can’t be John. He’

【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その三

The information might/may not be correct.現在の可能性にせよ、未来の可能性にせよ、可能性の内容は肯定(「〜である/〜する可能性」)とは限らない。否定内容の可能性(「〜でない/〜しない可能性」)について述べるときには may/might の否定形 may not (mayn't) /might not (= mightn’t) を用いる。やはり、話し手に確信はない。おや、could がない? There couldn’t be life

【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その二

It might rain later.外出するときには傘を持っていくように勧めている場面。この話し手は確信を持っているわけではない。もし自信があったら、might ではなく予測を表す will を使って "It will rain later." と言うだろう。 このように、may/might/could は、現在だけでなく未来のことについて可能性を述べるときにも用いることができます。このとき話し手に確信がないのは、現在の可能性について述べるときと同じです。 We ma

【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その一

He may/might/could be having lunch.例えばジョンを探している相手に向かっての一言。話し手は彼が今、どこで何をしているのか、知らない。もし知っていたら、may/might/could を使わないで "He is having lunch." と言うだろう。 この話し手はジョンの居場所について推測している(確信はない)、つまり、この文が表しているのは現在の可能性だ。それなのに、might や could という過去形でもいいのだろうか? 現在