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英文法の小径

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毎回、一つの文法項目について、意の赴くままに説明を試みた散文を掲載中。
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2023年5月の記事一覧

【英文法の小径】現在進行形〈時制〉その十

I’m hoping you can lend me some money.頼みごとをしている文である。hope という動詞は want と同じように、行為や出来事ではなく状態を表す。現在の希望を表すのに、わざわざ〈現在進行形〉にする必要はないのではないか。 もちろん、'I hope you can … ' と〈現在形〉でもかまいません。ただ、依頼文などに〈進行形〉を用いると、丁寧な言い方になります。〈進行形〉には「一時的」や「未完了」といった意味合いが含まれるため、押し付

【英文法の小径】過去形〈時制〉その一

RIchard gets up at six in the morning. ‘Richard’ につづく ‘gets’ は、動詞 get の〈現在形〉。もう少しくわしく言うと、ここでは、動作を表す動詞 get の〈現在形〉。動作動詞の〈現在形〉は、いつも起こること、定期的に繰り返し起こることを表す。今起こっていることを表すのは特別な場合(現在形・その九)だ。冒頭の文は、毎朝6時起床というリチャードの習慣を述べている。 Richard got up at six this

【英文法の小径】過去形〈時制〉その二

I saw Lin last week.'I' につづく 'saw' は see の〈過去形〉。動詞の〈過去形〉はもちろん、過去の事柄を表すのに用いますが、このとき話し手は、過去の特定の時点あるいは期間を心に描いています。冒頭の文では、それが 'last week' という表現で示されていますが、状況や文脈から、それと分かるときには、省かれます。 DId you sleep well? この文で話し手が 'last night' を頭に置いていることは容易に推測できますね。

【英文法の小径】過去形〈時制〉その三

Did you ever ride a horse?乗馬の経験をたずねている。ever を伴って現在までの経験について述べるとき、動詞の形は〈現在完了形〉になるのではなかったか? 英文法には、アメリカ英語とイギリス英語のちがいという問題があります。冒頭の文について言えば、次のようなちがいです。 イギリス英語ならふつう、〈現在完了形〉を用いるような文脈で、アメリカ英語では〈過去形〉(または〈現在完了形〉)を用いる。 なので、冒頭の文は、次の文とおよそ同じ意味を表すと説明さ

【英文法の小径】過去形〈時制〉その四

I tasted [could taste] the garlic in the soup.‘I’ につづく'tasted' は動詞 taste の〈過去形〉。see や hear のように、taste も知覚の意味で用いるときは状態を表し、〈進行形〉では用いないのがふつうだ。今、つまり話をしている時点で見えたり、聞こえたり、味がしたりすることは、〈現在形〉あるいは〈can + 知覚動詞〉の形で表す。 同様に、過去のある時点で生じた(あるいは生じていた)知覚について述べるに

【英文法の小径】過去形〈時制〉その五

John saved enough money. He bought a new bike.貯金ができたことと新しい自転車を購入したこと、過去に起こった2つの出来事を 'saved'、'bought' と〈過去形〉の文で述べている。 ここで大事なのが、文を並べる時の順序。冒頭の文では、出来事が起こった順序で並べています。まず貯金ができて、次に新しい自転車を購入。二つの文を次のように一つにまとめることもできます。 John saved enough money and (th

【英文法の小径】過去進行形〈時制〉その一

What were you doing at 9 o’clock last night?時制には〈現在進行形〉があるように、〈過去進行形〉という形[was/were + -ing]がある。「過去のある時に進行中=継続中だった」ことを表す。 ところで、何かが起こったときに、それとは別のことをしていたということはよくある。「何かが起こった」その何かを中心に考えると、そのときにしていたことはその出来事の背景ということになる。過去の出来事とその背景をまとめて述べるとき、それぞれ動詞

【英文法の小径】過去進行形〈時制〉その二

We cooked all morning. 'cooked' と〈過去形〉が使われている。いつのことかというと、'all morning' とあるので、「午前中ずっと、午前中いっぱい」。〈過去形〉はこのように一定時間継続した行為でも、1回の出来事として扱うので、期間を示す表現と一緒に使うことができます。 We were cooking all morning.今度は 'were cooking'、つまり〈過去進行形〉だ。〈過去形〉を用いた冒頭の文とはどう違うのだろう。

【英文法の小径】過去進行形〈時制〉その三

Emma was wearing a really nice dress.wear という動詞は、服などを身につけている状態を表す。「着る」ではなくて「着ている」。ちなみに、「着る」、つまり服などを身につけるという動作は、put on で表す(その反対の動作は take off) He took off his uniform and put on a suit. wear は状態を表す動詞ですが、居住を意味する live と同じく(現在進行形・その六)、〈進行形〉でもよく

【英文法の小径】過去進行形〈時制〉その四

Richard was going to give up his job.果たしてリチャードは仕事を辞めたのだろうか。 未来表現[be going to do]の用法の一つは、意図について述べること(未来表現・その二)。冒頭の文では ‘was going to give’ とあるので、それが〈過去形〉で使われている。彼が退職の意図を持っていたことは確かなようだ。 過去のある時点で「未来」だったこと、そのときはまだ起こっていなかったことについて話したいときには、未来表現を〈