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[エッセイ]想い出はモノクローム 色を点けてくれ

もう1年半も前にTV放送されたアニメなんですが、『かくしごと』というアニメがありました。

ストーリーは、子供向けの『下ネタ漫画家』、後藤 可久士ごとう かくし が、自分が漫画家であることを、10歳の娘、後藤 姫ごとう ひめ にバレないように奮闘するシチュエーション・コメディ。

原作はこれもアニメになった『絶望先生』などの作品で有名な久米田康治くめた こうじさんです。

久米田康治くめた こうじさんが原作かー、シュールなティストを漂わせつつあるコメディアニメだろうな、と思って第1話を見たのですが、最後の最後で、びっくり仰天しました。

何がそんなに驚いたかといえば、アニメのED主題歌に、大瀧詠一さん不朽の名曲『君は天然色』を使用さてれいたからです。

え、これ大瀧詠一さんの声ですやん!Σ(・□・ )

いくら名曲とはいえ、アニメ作品の内容とは接点がないのになんの意図でED主題歌に?と思いました。
もしや「君は天然色」を収録したアルバム「A LONG VACATION」40th記念のタイアップ?(。-`ω-) ンー

とはいえ、アニメはそれなりに面白いし(出演してる声優陣も人気・実力ともにある方ばかりでしたし)、EDで「君は天然色」を聞けるから、ということで、ほぼ毎回録画してみていました。

アニメはワンクールで終わるから、原作の途中くらいまでのアニメ化かな。
Blu-rayディスクのセールスがよければ、第2期の制作もあるかな、と思っていたら、なんと原作がアニメ放送終了とほぼ同時期に連載終了予定ということを知りました。

え、アニメ化されて認知度がアップしてますから、まだまだ連載を伸ばしたらもっと単行本が売れますやん。
なんでまた・・・まさかの打ち切り? (|||O⌓O;)

それで、どんな風に終わってるのか、原作コミックの最終巻を購入してみました。

なんと、シチュエーション・コメディ作品かと思ったら、本編が終わったあとのエピローグ。
カラーページの最後の4ページで、おもわずほろりとするエピソードが描かれてました。

ああ、これが『君は天然色』をEDに使った理由だったのかぁ・・・と、納得すると同時に、本当に失礼ながら、久米田康治くめた こうじさんはこういう作品も描かれるんだ、と感心した次第です^^;。

想い出はモノクローム 色をけてくれ
 
もう一度そばに来て はなやいで

美しのColor Girl

君は天然色 作詞:松本隆

かって大瀧詠一さんと「はっぴぃえんど」という伝説のバンドを組んでいた、松本隆さんが作詞した「君は天然色」を、別れた恋人との想い出を語っている歌詞だと、ボクはずっと思っていました。

ですが、そうではなく。

これは松本隆さんの妹さんが若くして亡くなられて、そのショックで「好きな喫茶店、レコード店が並ぶ渋谷を歩いていると、目の前の光景が白黒に見えた」という状態だった時に、大瀧詠一さんから作詞を依頼され、他の作詞家に依頼してほしいと断っても、アルバム発表を遅らせてもいいから松本に書いて欲しいといわれて、書きあげた詞が「君は天然色」なのだそうです。

「君は天然色」は松本隆さんが妹さんに捧げる詩でした。

松本さんの心に最初に浮かんだフレーズが、想い出はモノクローム だったそうです。

「その時のことを書き残すことは、妹のためにも大事だと思った。つくりものじゃなく、正直に。僕にしかできないことだから」

「人が死ぬと風景は色を失う。だから何色でもいい。染めてほしいとの願いだった」

松本隆 https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202005/0013381007.shtml

TV版「かくしごと」では原作のラストエピソードまでは描かれてませんでしたが、映画版「かくしごと」では、原作のラストエピソードをほぼアニメ化しています。
もし機会があればぜひ映画版「かくしごと」を見ていただきたいです。

大瀧詠一さんはすでに亡くなられましたが、「君は天然色」は、これからも多くの人に口ずさみ続けられる名曲だとボクは思っています。

想い出はモノクローム 色をけてくれ

松本隆

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