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日本保守党の研究 13 山口敬之 「総理」 (2016,2017)

日本保守党は、百田さんや有本さんの活躍により、保守政党としての理念や政策を産み出していってくれると思いますが、その理念や政策を実行する議員たち、実行部隊を育てていくことが必要ですし、安倍晋三さんのように、政党を束ね、力強く推進する中心的な政治家を育てることが必要です。

そういう意味でも、安倍さんの遺言書のような安倍晋三回顧録だけでなく、安倍さんの業績を正しく伝えてくれる本を何冊か、バイブルのように読みこむことが必要です。

 その一冊として、山口敬之さんのこの本を推薦します。

 山口さんは、本書を書いた理由を「まえがき」で、このように語ります。
15頁
 これから本編で書こうとするものは、私が2000年に政治記者となった直後から見てきた安倍晋三氏と彼を取り巻く人間模様である。初めて安倍氏と会ったのは小泉純一郎内閣の安倍官房副長官番、いわゆる「番記者」という立場の時であった。安倍氏と私は一回り違いの午年(うまどし)で、出会った当初からウマが合った。時には政策を議論し、時には政局を語り合い、時には山に登ったりゴルフに興じたりした。・・・
16頁
 今、巷には長期政権を維持している安倍政権に対する批判と賞賛が交錯している。特に護憲・反原発といったリベラル勢力からは「アベ政治を許さない」などというキャッチフレーズを伴って辛辣な政権批判が繰り返されている。しかし、こうした反安倍勢力も、あるいは親安倍勢力も、安倍政権がどのように国家運営に向き合い、何を悩み何を目標としているのかをほとんど知らず、知ろうともしない人が大多数である。・・・・
17頁
 本書を執筆する第一の目的は、私が至近距離で目撃してきた安倍晋三と安倍政権のキーマン達の発言と行動を詳らかにし、読者に「宰相とはどんな仕事か」「安倍晋三とはどんな人物か」「安倍政権はどのように運営されているのか」「宰相にはどのような人物がふさわしいのか」「ポスト安倍に誰を選ぶべきか」を考える一助になればと思う。

 また、「あとがきにかえて」で、さらに、こう語ります。
241頁
「最も総理にしてはいけない人物」
「安倍は人間じゃない。叩き切ってやる」
 これらは酔客の戯言(ざれごと)ではない。れっきとしたテレビキャスターや大学教授による、公の場での安倍に対する発言である。一方、保守層のなかには「安倍以外に総理を任せられる人物はいない」とか、「戦後最も実績を挙げた総理」などという最大級の賛辞を贈る人もいる。立場の左右を超えて、これほど評価が分かれる首相はほかにはいないだろう。そして、安倍への評価は、ポジティブなのもネガティブなものも極めて感情的である。
 一般人の感想ならまだしも、もしジャーナリストや学者を名乗る人物が「最も総理にしてはいけない」と断定するなら、根拠を示す必要がある。
・・・・
242頁
 「アベ政治を許さない」と主張する人の話を聞いてみても、アベもアベ政治も知らないケースが多い。イデオロギーや好悪に基づいて感情的にアベを嫌い、印象論でレッテルを張り、戦略的にアベを貶めようとする人がほとんどだ。現代日本においてカタカナは、主に外来のものや見慣れないものを表現する際に使われる。「アベ政治を許さない」という人々の、安倍知らずを如実に表しているともいえる。

 安倍政権に対する評価が、賛成と反対に大きくわかれるのは、当然の結果です。特に、反対の声が大きいのですが、それは、評価しないという消極的な理由ではなく、安倍政権の成果が、反対派に致命傷を与えるので、一刻もはやく終焉してほしいからです。

 「週刊文春」の編集長である新谷学さんが、文庫版の解説を書いているのですが、山口さんが、週刊文春2015年4月2日号
歴史的スクープ 韓国軍にベトナム人慰安婦がいた!:米機密公文書が暴く朴槿恵の"急所"」という記事を発表し、TBSから出勤停止処分を受けた時のことを語っていますので、上記の私の書評を、ご参照ください

 私は、山口さんが、左派マスコミから嫌われるようになったのは、この記事が原因だったのではないかと思います。

 山口さんは、2016年5月にTBSを退社し、そのすぐ後の6月に、この本を出版して、注目を浴びました。

 山口さんといえば、伊藤詩織事件のことを想起される方も多いと思いまが、この事件が起きたのは、2015年4月なので、警察が、安倍首相に忖度して逮捕をやめたという左派リベラルの主張は、説得力が足りないと思います。
私としては、山口さんは、現役のTBSの記者なので、政治家やマスコミ関係者を、ハニートラップまがいの事件で、逮捕して起訴できなかったときの、マスコミからの反撃を怖れて、逮捕をやめたという説明の方が、もっともらしいと考えています。

 伊藤詩織事件を起こした山口さんの言説を、信用できないと思っておられる方も多いと思いますが、よくご存知ない方は、私がまとめた

を、御覧になってください。

伊藤さんは、2015年4月の事件の直後、6月に、仕事でベルリンに行き、
ベルリンで、山口さんの逮捕に待ったがかかったという連絡をもらい、          イスラエル、パリを経て、帰国します。
2015年08月26日、 事件は、検察へ書類送検
2015年9月     取材で夕張を訪問
2015年12月2~4日、シンガポールのアジアンTVアワードに出席
2016年年明けに、ロンドンに行く
2016年02月23~28日、「夕張国際映画祭」取材
2016年04月14~19日、エチオピア旅行
2016年05月、  スペイン旅行
2016年07月22日、東京地検、嫌疑不十分により不起訴処分
2016年8~9月末、ペルーで、ドキュメンタリー撮影
2016年11月11日、スペインで、人気番組に出場
2017年 ロンドンに拠点を移し、ドキュメンタリー制作会社「Hanashi Films」を共同設立。
2017年04月   コロンビアに取材旅行
2017年05月   週刊新潮が、5月18日号 で、山口-伊藤レイプ事件を掲載
2017年05月29日、検察審議会に審査を申し立て
2017年09月21日、検察審議会、不起訴妥当とする
2017年09月28日、1100万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こす。
2017年10月24日、外国特派員協会で記者会見する。
2017年12月06日、New York Times が、記事を掲載
2018年02月19日、伊藤さん、スカンジナビアのトークショー Skalvan に出演
2018年03月16日、伊藤さん、国連本部で会見
2018年06月28日、BBC、ドキュメンタリー番組「Japan's Secret Shame」

伊藤さんは、本当に活動的な人ですね。びっくりします。

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