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special-ordinary 5 seconds


ガーナ滞在最終日の朝、宿から歩いて数分の海へ。


特別素晴らしく美しい海…とは言えないけど、私には国ごとに海にもキャラクターがあるように思えるから、どこに行っても海を見るのはとても好きなことの一つ。海は全部つながってるはずなのに不思議だ。

(今まで一番美しくて果てしないと思ったのはマルタで見た海。
ある意味 典型的ど真ん中な美しさで、圧倒的で、堂々としていた。)


私は浜辺にちらほら転がるゴミが気になって、拾おうかとも思いながらも流木に座ったまま海ではしゃぐ人たちを見ていた。

だんだんと日が登り始めると共に姿を現しだす現地の人たち。その中に1人少年もいて、妹らしき子とゴミ拾いをしだした。

「あー、ありがたいな。私も思った時にやらなきゃな。」なんて思って見ていた時、その少年がゴミ拾いの手を止めて真っ直ぐ立ち、5秒ばかり朝日を見た。(それがヘッダーの写真)

そのわずかな数秒がなぜか妙に私の心を掴んで、本能的に「残したい」と思い、とにかく急いでシャッターをきった。


なぜか  朝陽を見るなんてよくある光景がどこか違って見えて、

顔も見えない彼のその行動が美しく思えた。

「きれい」と思ったのかな?「また1日が始まる」と、憂鬱になったのかな?

何を考えていたのかなんて 分かるわけないけど

何を考えていたのか 想像してみたくなった。


名前も顔も全く知らない数十メートル先の存在を、5年経った今も私はたまに思い出す。思い出して、また何か美しいものに5秒でもいいから浸ろうと周りを見渡す。

そういうことを思い出す時間って、時が止まった感覚でなんだか気持ちがいい。永遠にわかることのない、わかりたくない、再現できない美しいものが心にあるっていいものだ。"わからない" って私にとっては美しさのひとつなんだと思う。

誰のどんな姿が どう記憶に残るかというのは予測不可能で、コントロールできなくて、理由なんてなくて…なんとも面白いものだなあ。と、自分の中で切り取られたそんなシーンを思い出してはたまに思う。

とるに足らない、なんてことない、誰も知らない特別な5秒間。


photo by me, in Ghana


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