【社長ブログ】ブラインドタッチをやらない理由
ある経営者と打合せをしていたときに、「キーボードを打つのが早いね。
資料とか早く作れそうだね」と言われました。
そのあとすぐに、その人は
「私はブラインドタッチをできるようにならない。
全部自分でやってしまおうとなってしまうでしょう?
ブラインドタッチができないと資料を作るのが面倒だ。だから、どんな簡単な提案書でも社員に作らせる。
概要を説明したり、流れを説明して、あとは社員に資料は作らせる。
資料を作ることで、社員は本当に内容を理解し、身についてくる。
だから私はやらないようにしているんだ」
と話していました。
ブラインドタッチができるから仕事を部下に任せられない。
これはまた面白い発想です。
経営者に限らず、部下に仕事が任せられない上司がいると思います。
私もそうで、思わず自分でやってしまおうと考えてしまいます。
これは部下の能力に問題があって任せられないのではなく、たとえ優秀な部下でも任せられないのです。
なぜかというと、部下が「自分」じゃないからです。
部下が「自分」だったらすぐにでも任せるのでしょうが、
「自分」じゃないから任せられないのです。
「自分」だったら能力も考え方もすべてわかっているので、何も考えずに任せられます。
しかし、「自分」でなければ、任せるのにもコストがかかり、任せた後もチェックをしなければならない。
それが本当に大変だと感じてしまいます。
といっても、「自分」のコピーなんてできませんよね。
だから任せるしかないのです。
それを頭で理解して任せようとしても、なかなかできない。
思わず自分でやってしまうことがあります。
「これくらいだったら自分でやってしまったほうが早いか」
「ここはまだ自分でやったほうがいいだろう」
こういった気持ちがどこからともなく湧いてくるのです。
ある種の誘惑でしょうか。
そして結局自分でやってしまう。
いつまでたっても部下に仕事を任せられない。
これが会社の成長スピードと器を決めてしまっているのですよね。
この状況を変えるために、環境が大事になってくるのです。
よく何か新しいことをやろうとしたり、
何かをやり続けるには、まずやれる環境を創ったらいいということはよく聞きます。
意思だけでは難しいので、やらざるを得ない環境を作る。
部下に仕事を任せる仕組みを作り、仕組みで回せるようにする。
普通はこのように考えるのでしょうが、
冒頭の経営者の発想は実にユニークでした。
というように、仕組みではなく思考の流れを作ったのです。
本当に面白いと思いました!
発想ですよね。
仕組みだけでなく、思考の流れを作ってしまうのも
何かをやり遂げるうえでうまいやり方だと思いました。
私も決めました!
何でも自分でやってしまわないように、やれない環境にします。
パソコンを打てない環境にしたらいいのです!
ということで、私のパソコンのキーボードを捨ててやろうかと思います。
仕事自体ができなくなってしまいますか(笑)