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電子だけ売れてるマンガなんてもうないよ

定期的に話題になりますね。

「電子書籍の売り上げが連載継続に反映されない」問題。

今日はあんまりそういうことしても効果ないかもしれない、いやない、という話を書きます。

まずそもそも電子書籍の売上って分かってないの?というところから。これはですね、そうとも言えるしそうじゃないとも言えますね。

電子書店からの数字の報告が遅くなる、というのは本当で、だいたい1〜2ヶ月前の売上が報告されてくるというパターンが多く、それを何書店も集計してだいたい2、3ヶ月後くらいには社内でまとめられるかなーという出版社が多いんじゃないでしょうか。毎日リアルタイムで売上のわかる紙よりはだいぶのんびりですね。

ただ、おそらくほとんどの出版社が電子書籍書店さんと定例会をやっていて、速報という形で前月や至近の売上ランキングやまとめをもらっています。そこで目立った売上の作品は話題になるので、もし紙で売れてないのに電子ですごく動いてるようなものはここでピックアップされます。発売がだいぶ昔だけどバズったとか書店さんに推してもらって急に売れだしたみたいな既刊もここで拾い上げられる感じですね。

で、ここで俎上に上がらなかった作品はだいたい一般的な紙と電子の割合の通り売れていることがほとんどです。初速1ヶ月目においては紙の10ー30%くらいのどこかに収まることがほとんどですね。(後で書くジャンル群は除きます)

なので、重版判断はともかく、連載判断は電子にトピックとなるような動きがあれば反映されてるんじゃないかなあ。でも、そもそも「電子だけ特に売れてる」作品って見かけなくなってるんですよね……電子が売れてるものは紙も売れるし、その逆もそうで……。

あ、BLとかTLとかアダルト要素を含む作品はまったく別で、紙より電子書籍がはるかに売れてる作品が多々あります(それでも電子でヒットすると紙もちゃんと売れるんですけどね)。これらのジャンルは逆に紙の数字見てなかったりすることもあるんじゃないかな。継続判断は電子の数字だけ見てたり。

あと、そういうアダルト要素などの刺激的なエッセンスか、すごい出オチでバズりそうな、バズったネタを持つ作品中心に、なんとなく電子で特に売れそうなタイプの作品って事前にわかるんですよね。そういった要素のない一般的なジャンルの作品で電子だけ売れるって昔はチラホラあったかもだけど最近ではとんと見ないですね……。そして「電子で売れている」ことを理由に紙の書店さんでも販促がかかって結局売れていくという。

そしてそもそもなんですけど、どうしても作家さんや読者さんから見ると出版社は連載を打ち切りたがっているように見えるかもしれませんが、基本的にはなるべく多くの連載を長く続けていきたいんですよ出版社は。だって出版社の経営は連載作品数が支えてるわけで。KPIでもあるわけで。

それでも連載を続けられない、というのは、どうしても続けるに足る良い数字が見つけられなかったということで……。

ただ、昔と大きく変わったのは、連載が紙の雑誌ベースではなくページが無限なwebベースになっているので、他の作品との比較ではなくて単純に採算分岐点を超えていれば連載継続と判断されるのが今だと思います。ですので昔より遥かに連載継続のハードルは下がっているはずだから、作家さんも編集も頑張って良い作品を作って買っていってもらうしかない、その原則を揺るがすハックなんてないんだ、とぼくは思います。

もしハックがあるとすればAma○nさんのランキングは実は売上だけでできているんじゃなくてアクセス数や勢い、コメントのつき方なども加味されているので(ぼくが思っているだけで嘘かもしれませんが)、とにかく買ってくれなくてもいいから作品ページだけでも見ていって(しかもそこでの滞在時間が長いとより良いと思われる)、とやるとランキングが向上する、という誘導が有効、みたいなハックとかはあるかもしれませんね。

かも、ですよ。かも。

かもですからね!

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