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【web3企業】シード期の資金調達に関して

こんにちは、UnUniFi Protocol co-founderのTakeru Shimojimaです。
本日無事にUnUniFi Protocolシードラウンド資金調達のアナウンスを出すことができました。

今回の資金調達に関して、クロスボーダーで、かつ途中でmarket crashが起きるなど苦労もありましたが、だからこそ知見も溜めることができました。日本発web3企業で資金調達をした企業数は増えてきましたが、またまだ資金調達に関する記事(特に日本語記事)は少なく自分もかなり苦労したので、微力ながら調達中の気付きや学びを以下に記していきます。
※これから初めて資金調達を行うシード期以前のweb3企業を想定読者としております。なお、私は弁護士ではなく、法律上の助言ではない前提で読んで頂ければ幸いです。

web3企業の投資形式に関して

まずは投資家との投資の形式に関して。Cooley社が公開したバージョンのSAFTはTelegramなどで裁判が起き、少なくとも米国では利用されなくなりつつあります。従って、SAFE+Token warrantでの調達を選択しました。SAFE+Token warrantは、SAFEの契約に加え、サイドレターとしてToken Warrantを締結し、「もし発行体が今後トークンを発行したら、投資家はそのトークンをもらえる」とするものです。また、Token warrantに関してはCompany Allocation/Fully Diluted Supply/Conversion Rateなど種類があるので、この点は要交渉です。

投資の形式に関しては、下記のような素晴らしい記事やTweetが既にあります。

VCへのアプローチ

前提
まずは良いリード投資家を探すべきです。web3の資金調達ではどういったVCが入っているかが非常に重要です。著名VCのInvestorと話したときも、「シードラウンドはバリュエーションを下げてでもリードに良いVCを入れた方が良い」と言われました。「あのVCが入っているから自分達も入る」というVCが多数います。そのため、良いリード投資家を見つけた後に、「~がリードで入っていて、$~の枠が空いております。いかがでしょうか?」とフォローで入るVCに交渉していくのが効果的です。また、toC向けの場合、コアターゲットでありかつエンジェルに大勢に入ってもらうケースも散見されます。(パーティラウンドなど)

では、具体的なVCへのアプローチ方法ですが、我々はcrypto系のVCとのコネクションを事前にあまり持っていなかったので、Crunchbaseを使って投資家の連絡先を確認し、cold mailをA/Bテストをしながら合計300通くらい送りました。なおかつcrypto系の知人やVC、アドバイザーを通して紹介してもらいました。今だとcrypto系VCのリストを作ってTwitterなどで公開している人もいるので、それを参考にしても良いと思います。ここで重要なのが、誰が決裁権を握っているのか、ポートフォリオ、投資チケットサイズなどを調査しておくと、ミーティング時に戦術が立てやすくなります。

振り返って思うこととしては、資金調達は、必要になったから投資家にアポイントを取るよりも、資金調達をした時にさっと終えることができるように常に投資家とのコミュニケーションはしておくべきということです。なので、イベントなどで出会ったVCとはTelegramでやり取りをしつつアップデート報告は常に行うなどの動きは必要です。

VCとのミーティング

資金調達中はピッチ用の資料と、数式など含む詳細なシステム構造が書かれた資料の二つを持って進めました。事前共有、もしくはミーティング後にフォローアップとして送ります。どの投資家がどこまで読んだのかとかをモニタリングできるDocsendは必須でした。

また、web3の資金調達とはいえ、大体質問内容は似通ってくるので、最初は練習も兼ねて優先順位の低い投資家からミーティングを設定し、ある程度どのような質問がくるのかを事前に知っておくことが大事です。英語に慣れていなくとも、何度も回答してくると自然とかつ即答できるようになってきます。
また、UnUniFi Protocolはシステム構造自体の反応は非常に良かったのですが、まだコア機能であるNFTFiを実装できておりませんでした。つまりプロダクトがない状況です。この状況で調達に励むスタートアップも少なくないと思いますが、pitch deckで使用感をイメージさせる必要があります。ピッチdeckの作り込みは、VCとのミーティングを踏まえて反応が薄いところ、正確に伝わっていない部分を検証し、何度もアップデートしていくべきです。

ミーティング後のフォロー

ミーティング後は、Telegram上で使用した資料、調達希望額とバリュエーション、回答期限、過去の質問回答まとめなどをVCに送ってました。検討の上、コミットメントを得られない場合は、別のVCを紹介してもらったりしてました。「このVCがこのProtocolに合う」と向こうから提案してくれたこともありました。切り替えて貪欲にアタックしていくべきです。
出資のコミットメントが得られたら、事前に準備しておいた契約書を投資家に送ります。契約書の内容に関しては、しっかりリード投資家と調整した上で、フォローで入る投資家にも契約を進めていくことが大事です。

契約に関して

今回、運営拠点やToken発行体、VCの拠点などが国を跨ぐため、クロスボーダーな契約書の締結が求められました。crypto関連の契約は、法律と技術と税制が国によって異なる上に複雑に絡み合っており、ここに非常に工数がかかりました。割と勢いでやってしまう企業も多そうですが、ファイナンスは後々一発アウトになることが多いので、めちゃくちゃ慎重にやりました。とにかくcryptoの法律に詳しい士業の方に色々質問して理解をしながら進めることが必須です。自分達の勝手な判断で進めていると手戻りが発生するし、将来的に一発アウトになる可能性が高いです。

※tokenomics

tokenomicsは必ずVCから聞かれるので、下記のTweetのような質問事項は予めまとめておくべきです。

最後に

資金調達の中で、色々なアドバイスを複数人から貰いますが、市況に応じた自分達のペースを守りつつ悲観的になりすぎず、淡々とアタックしていくことが求められます。まだまだ冬の時代が続くので、「2年間生き残れるだけの調達をするべき」と言われているように、自分達に必要だと思う額を適切に調達していくことが大事だと思います。

今回のラウンドでUnUniFi Protocolに出資してくださった方々、資金調達に協力してくださった方々に感謝し、恩を返せるように事業推進していきます。

Twitter Takeru Shimojima
簡単なまとめ程度の記事なので、詳細内容に関して質問などあれば遠慮なくDMください!


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