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刑事法の特別予防・「犯罪者を犯罪から守る」

私見では、刑法の目的は、人間の尊厳の尊重であり、国家は、政策的な評価に基づいて、多種多様な反社会的行為のうちから、社会が許容せず、しかも刑罰をもって非難すべき行為(当罰的行為)を選び出し、それらを犯罪とすることで、人びとの人権と基本的自由を守っている。同時に、犯罪者の人間としての尊厳も、刑法を適用し、刑罰を執行する上でも、配慮されなければならないはずである。犯罪から基本的人権を守ることと、犯罪者の基本的人権を守ることは、国家の刑罰権の任務である。とりわけ裁判官は、刑罰と犯罪者の更生につき、深い洞察力が求められるのであり、未来の刑法は、刑法の適用と同時に、更生との関係で、刑罰の執行に関し、より議論されなければならない。犯罪者を犯罪から守るのは、来たるべき未来の刑事法の任務である。

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