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歯科医のアイデンティティを崩壊させた、意外な歯ブラシ
先日、筆者にとって最も身近でハンディな歯科医師(以下: 主治医)が「こういう系の歯ブラシにはずっと懐疑的で、今まで使ってみようと思ったことすら無かったんだどね」と突然歯ブラシの話を始めた。
実はこの「主治医」とは生まれた時から共に育ってきたので、お互いのことで知らない事はないくらいに、これまで様々な会話をしてきた。
しかし、普段とても饒舌な主治医であるが、プライベートで仕事の話をすることを好まないらしく、筆者の前で歯やそれに関する話をすることは稀である。
「歯科医師としてお勧めしたい歯ブラシがある」というよりは、「個人的に興味深い経験をしたのでシェアしたい」と言ったモチベーションにより始められた会話だったように見えたので、筆者の興味は強く掻き立てられた。
主治医は、そもそも市販の歯ブラシを信用していなかった
主治医が曰く、スーパーやドラッグストアなどに売っている多機能なハブラシ(ex. ヤマギリ、ネックがくねくね曲がる、ネックに角度がついている etc)を好きにはなれなかったらしい。
自分で使う気にもなれなかったし、患者に勧める気にもなれなかった。
歯ブラシという、とてもベーシックな道具を無理やり多機能にさせようとした結果、むしろ操作性が低下し、それに伴い清掃性が損なわれてしまうからだそうだ。
歯科医院でクリーニングの際に処方されるような、特別な形状や機能が付与されていない、なんの変哲もない普通の歯ブラシが一番いい。
なんなら、なんの変哲もない普通の歯ブラシなら100均一でも全く問題ないと個人的には思っている、と言っていた。
主治医が推す唯一の市販の歯ブラシ
しかし、そんな主治医が今現在愛用しているハブラシはスーパーやドラッグストアで購入できる、ゴリゴリの市販のハブラシ(ライオン社製 クリニカのNEXT STAGEハブラシ)だそうだ。
初めてこの商品のテレビCMを見た時、主治医は「またいつもの余計な機能をつけた歯ブラシか」と、やはり懐疑的に見ていたらしい。
その後、程なくして勤務先に届いこの歯ブラシのサンプルを実際に使ってみて考えが変わったそうだ。
歯磨き中、力が入りすぎてしまうとカチッと音が鳴る
この製品の最大の特徴は、歯磨き中にブラシを歯や歯茎に強く押し付けすぎてしまった時にカチッと音を鳴らして教えてくれることである。
まさにこれが、主治医が「またいつもの余計な」と思った機能だったそうだが、この機能が予想を超えて役に立つものだったらしい。
歯ブラシの圧は歯や歯茎の健康にとって超重要
主治医によると、歯ブラシを強圧で歯や歯茎に押し当てることは非常に良くないことらしい。
強圧で摩擦を続けることで歯はすり減り、歯茎は傷つき下がってしまう。
これにより知覚過敏や歯肉炎などの症状を引き起こしてしまうことあるそうだ。
このような不利益を引き起こさないためにも、歯ブラシを正しい圧で使用することは非常に大事だと主治医は珍しく熱弁していた。
しかしながら、「正しい圧がどれくらいかを患者さんに理解してもらうのは簡単ではない」らしい。
たとえクリニックで説明を受け、理解したとしても、自宅でそれを再現することは非常に困難だと非常に多くの患者さんから言われてきたそうだ。
そのため、この歯ブラシのカチッと鳴って強圧を知らせてくれる機能は一つの指標となり、使用者に気づきを与え、圧力を調整させるのにとても役に立つ。
この「カチッ」は歯科医師自身にとってもありがたい機能である
さらに驚くべきことに、この歯ブラシを使用している主治医自身も、この「カチッ」に助けられているという。
主治医が学部生だった時、歯ブラシを歯や歯茎に当てるときの圧に関して、かなり厳しい教育を受けていたらしい。
そのため自分自身の日々の歯ブラシの中でも歯ブラシの圧にはかなり気を遣っているそうだが、どうしても疲れてしまっていたり、何かを考えていたりすると無意識のうちに力が入って強圧になってしまうそうだ。
そんな時にこの「カチッ」が知らせてくれて、我に返るそうだ。
主治医はこの歯ブラシを他の歯科医師にも勧めている
主治医のご両親もまた歯科医師をしているのだが、主治医はこの歯科医師の先輩であるご両親にこの歯ブラシを勧めたそうだ。
その理由は、ご両親がかなりの強圧で歯磨きをしていること以前から知っていたからである。
「その強圧ぶりを客観的に知れるように」とこの歯ブラシの使用を勧めたと言っていた。
歯科医師が、さらにベテランの歯科医師に勧める歯ブラシ、恐るべしである。
(完全に余談だが、歯科医師は歯ブラシ中のシャカシャカ音で個人を特定できるらしい。つまり「あ、この音は◯◯さんだな」と言った具合である)
最後に
市販の歯ブラシに懐疑的であった主治医が初めて「これはいい!」と思った市販の歯ブラシは、ライオン社製 クリニカのNEXT STAGEハブラシだった。
そして、その理由は歯ブラシをかける際の圧だった。
歯科医師であっても無意識に強圧を歯ブラシにかけてしまうほど、歯ブラシの圧力というのは業が深い問題のようである。
プロに「有難い」とすら思わせる便利なツールならば、一度くらい試してみるのも悪くないかもしれない。
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