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海洋科学の10年「7つの海 編」(SDGs14.a その3)

「One Planet,One Ocean」
これは海洋科学の10年のスローガンです。それなりに訳せば「1つの地球に海は1つ」という意味です。つまり、海を守るためには世界中の国々が一丸となって守らなくてはいけないという意味が込められています。10000年にも及ぶ海の研究を今こそリアルな海の現場に活かす10年が2021年1月1日から始まったわけです。

IOCはこの10年で行う目標を7つ掲げました。

  1. きれいな海

  2. 健全かつ回復力の高い海

  3. 生産的な海

  4. 予測できる海

  5. 安全な海

  6. 開かれた海

  7. 夢のある魅力的な海

です。通称「7つの海」と呼ばれています。この理想的な海である「7つの海」を実現することで、人類にとって大切な海を守ることができるのです。そのために世界中の人が必死に取り組むべき10年間こそ、「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」というわけです。ではそれぞれどんな海(目標)を目指しているのか見てみましょう

1.きれいな海(A clean ocean)

海はブラックホールじゃありません。人は海を色々汚してきました。生活排水からプラスチックなど、そんな人間が出す汚れたものや1つのペットボトルなんて大きな海にしてみればたいしたことないよと言わんばかり毎日何十億人の人間が海を汚してきました。そのしっぺ返しがやってくる瀬戸際にいる状況です。その汚れたものが生まれる仕組みも含めてどうすればなくせるかを実際に計画して実行に移すことが「きれいな海」の目標です。

2.健全かつ回復力の高い海(A healthy and resilient ocean)

海にも万能ではありません。海の生き物が減っているのは人間の出す汚ればかりではありません。異常気象や地殻変動もその1つです。さまざまな負荷がかかっていて海の生き物は数を減らしているのです。人間が先端技術を使ってそのような負荷を減らす取り組みをすることによって地球本来の自然回復力をアップさせることが「健全かつ回復力の高い海」の目標です。

3.生産的な海(A productive ocean)

海は無限ではありません。世界中の安いものが手に入るようになって、エネルギーも世界中にいきわたるようになってきました。すべて海がもたらす恩恵です。その中でも手軽に手に入り、食糧危機の救世主でもあり、世界で最も取引されているのが魚です。しかし計画なしに獲りたいだけ獲ってしまっては魚もいなくなってしまいます。科学的な分析を使って獲っていい量の魚を管理して未来でも変わらず自然の恵みである魚を獲れる世界にするのが「生産的な海」の目標です。

4.予測できる海(A predicted ocean)

同じ波は二度とこない。44億年前からある海で絶え間なく続く波もいまだに予測不能です。さまざま自然現象が解明されている中、海という資源現象を解明はまだ1%にも及びません。海が広いからわからないと言っている時代はもう終わりです。海との共存が必要条件である人間だからこそ解決していかなくてはいけない問題です。先端技術を駆使して解明不可能であった海の仕組みを理解することが「予測できる海」の目標です。

5.安全な海(A safe ocean)

海は怖いモノです。航海中に海に落ちてしまえばほぼ助からないし、海の中では人間は呼吸すらできないのです。そればかりか魚を死滅させてしまう赤潮から人の命にも関わる津波まで、海には恐ろしい面もあります。このような海での危険を教育や情報発信などで危険な海を味方にすることが「安全な海」の目標です。

6.開かれた海(An accessible ocean)

海はみんなのモノです。だからと言って人の庭にまで入ってものを盗むということも問題です。海の利用価値を知らない国に対して、その価値を教えもせずいいように食いつぶしてしまう国がいたりします。そういったことが起きないよう海の知恵を地球みんなで共有して、みんなでうまく海の恩恵を受けましょうというのが「開かれた海」の目標です。

7.夢のある魅力的な海(An inspiring and engaging ocean)

海は最後のフロンティア。海にはまだまだ解き明かされていない謎がたくさんあります。というよりもその謎さえ見つかっていないような状況です。そんな魅力あふれる海を、広く社会全般に伝えることが未来の海を担ってくれる人を増やすことへとつながるのです。そのような海を知る機会を増やしていくことが「夢のある魅力的な海」の目標です。

この理想の「7つの海」の目標が達成したとき、人間にとっても、海の生物にとっても、地球にとっても理想的な海となると定義したのです。そして何としてもこの理想の「7つの海」を手に入れるため、IOCは具体的な10この挑戦課題を立てたのです。

持続可能な開発のための国連海洋科学の10年パンフレット(JAMSTEC作成)https://www.mext.go.jp/content/20210216-mxt_koktou02-000012822_5.pdf

参考
持続可能な開発のための国連海洋科学の10年
https://www.oceandecade.org/
海洋科学の10年(日本)
https://oceandecade.jp/ja/
海洋科学の10年の経緯
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/viewer.html?pdfurl=https%3A%2F%2Fwww.jstage.jst.go.jp%2Farticle%2Ftits%2F26%2F1%2F26_1_12%2F_pdf%2F-char%2Fja&clen=257279
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