見出し画像

海の守り方(14.C その7~海の豊かさの守り方C-2)

複雑で、4次元的で、リアルパラレルワールド的な不思議な世界「海」。様々な利害関係を考えるだけでも頭がこんがらがっていきます。海の問題を解決するためにはどこからどうすればいいのかといったことを考えてしまうと袋小路に迷い込んでしまい、結局、「このままでいいっか」とめんどくさくて現状維持となってしまいます。これでは今までの持続不可能な海となんら変わりようもありません。ではどうするべきか?やっぱり同じ海で活躍する海のプロたちが手を組めばいいのです。そんなのは所詮理想論で、絵に描いた餅だとお話ししましたがはたして本当に無理なことなのでしょうか?

確かにお互い意識はしているものの積極的には関係を持っていないのが実際のところです。でも、逆を言えば様子見するほど意識しているとも言えるのです。そりゃそうです。同じところで同じく海の恵みに感謝しているものというところは同じだから否が応でも意識はしてしまいます。例えば、漁師にとってはせっかくのビーチクリーンならそこのゴミじゃなくてこっちのごみを拾ってくれればもっと助かるのにと思っているかもしれません。とはいえ、ビーチクリーンをしている人にとっては「関係者以外立ち入り禁止」という立札をみれば、そう簡単に漁港には近づくことなんてできず、離れたところで細々とゴミ拾いせざるを得なくなっているのかもしれません。同じ業界でもよくあります。ある町の漁師が隣町の漁師を見て、あっちの方が魚がいるのかなと思ったりしているかもしれません。でも当の隣町の漁師はここの仕掛けはどうして取れないんだと悩んでいるかもしれません。さらに「あっちの漁師がいっつもこっちばかり見ているんだよな。どうせあんな取れない場所でよく漁をしてよな、とバカにしているんだろう。」と思っているかもしれません。お互い勝手にこういうやつだと決めつけて、勝手に避けているだけなのです。でもお互いどんなことをやっているのかは気にはなっているのです。あえて教えてやるほどの義理はないが、向こうが教えてくださいと言うならば教えてあげるとさえ思っているものです。でもなにかきっかけがあれば一気に距離は縮まり、それぞれの誤解が解けて、新たな解決方法が思いつくかもしれないのです。

なにも手を組めとか親友になれなんていっているわけではありません。ちょっと知り合う程度で十分です。もともと海を恵みに感謝する者同士、仲良くなれない理由なんてありません。単にアプローチが違うだけで思いは一緒なのです。知り合いさえすれば孤立している海の人間同士、話も馬も合うはずです。要はそのきっかけがあればいいのです。例えば、町内会の集まりでもいいですし、のど自慢大会でもいいですし、居酒屋でもなんでもいいのです。ちょっと話をしてみることです。そういう面でも必要になるのがやっぱりコミュニケーションです。今ではオンラインでいつでもどこでもつながることができますが、そんなデジタルツールなんて難しいという方はいまだに結構います。そう考えると一番手っ取り早いのが地元の居酒屋や公民館といった社交場です。しかもできるだけいろんな人種がいるようなところが一番ベストです。いつものメンバーでいつもの問題をいつものように話し合っていてはいつもと同じ解決に結びつかない答えしか出てきません。全く違う年齢や職種の人と交わるからこそ、新しい解決方法が生まれてくるものです。海を知らない人こそ現場に行けと言ったのですが、さらに現場にいる人こそどんどん外に出て行くべきです。そして自分の現場の悩みを話してみてくだ愛。独り言のように話しても構いません。でもその一言で思わぬアイデアや助けがやってくるかもしれません。もちろん来ないかもしれません。でも指をくわえて先細りの未来を見ているくらいなら外に目を向けてはいかがでしょうか?

結局人は1人では何もできません。いつもの仲間は大切です。そしていつもの仲間以外の人も大切なのです。現場の人こそ外に出て、いろんな人と話をしてみてください。海の現場の話は思っている以上に人の興味をそそります。海の現場の方が日頃何気なく手に取っている道具や言葉も、他の人にとって不思議な道具でしかありません。日頃やっている現場の日常の話でさえ、他の人にとっては全くわからない異次元の面白話になってしまいます。魚の群れを見つけるのにカモメを探したりする話、船乗りが4時間3交代制で24時間365日休まず運航する話、海洋ゴミがアートになって数万円で売ったことがある話、サーフィンで膝くらいの波に巻かれておぼれそうになった話。みな違う業界の人にとっては面白体験記でしかないのです。

今こそ日本の海の底力が試させられている時です。是非あなたの話を聞かせてあげてください。それが海を守る大きな一歩になるのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?