見出し画像

第8話 『スタート』

船の修理の話
ヨットのある休日の過ごし方の話
単独で海外へ行く話

話は全然尽きなかった…

「まずはヨットをもつことだな」
と”おやびん”が切り出した

「よ、ヨットっすか?
そんな高い買い物なんて僕にはできないっすよ」

と尻込みをついている僕に”のっぽのアニキ”が
「中古でも1000万ってとこかな…」
なんてぼそっとつぶやいている。

”のっぽのアニキ”とは…
海の仲間の1人で、
たまに核をつくいいアドバイスをくれる
めちゃめちゃ頭が切れるタイプ
とはいえ、話の九分九厘は冗談なんだか本気なんだか
読めないタイプでもある

(ですよね。。。
僕とは全く縁のない話だ…)

と僕の尻込みは床にまでめり込むほど
追い打ちをかけられた。


そんな僕の不安をよそに”おやびん”の話は続く
「ま、船はおいといてだ」

(いやいや、そこはおいておく話なんですか?)

「とりあえず、月5万、払える余裕はあるか?」
と”おやびん”が聞いてきた…

「精一杯で3万までしか余裕はないっす」
僕のお財布事情というか、家庭の給料制を
包み隠さず話をした。

「じゃ、もう1、2人仲間がいれば、この場所は借りれるな」
と”おやびん”

その話に”出会いの紳士”が
「でも、船のオーナーは一人じゃなないと
必ずもめるよ。絶対1人があとあといいって」

と合いの手をいれてくる

”のっぽのアニキ”は
「1000万…1000万」
とにたにた笑って腕組みしている

”出会いの紳士”の言葉を受けて”おやびん”が
「おっ、そうそう!オーナーが一人じゃないと
必ずもめるってもんだ」

「1000万…1000万」
と”のっぽのアニキ”は満面の笑みを
浮かべながらつぶやいている

「でも(だぁ~かぁ~らぁ!!))
船持つのに1000万も払えないですよ」

というと、”のっぽのアニキ”が
「じゃ、500万でいいよ」
とまけてくれた・・・

すると”出会いの紳士”が相手の手を入れる。

「そういって、吹っかけてくる中古屋から買うか
友達つたいで20万で譲ってもらうかは
自由だけどね」

(えっ!?20万??っすか?)
キョトンとする僕に”おやびん”が補足するには

「あたりめぇだろ
こんなご時勢、船なんて持っていたら
金がかかってしょうがねぇ
ただで引き取ってもらいたいやつなど
ゴマンといるさ」

とのこと。
”のっぽのアニキ”はいよいよ
口に手を当てて、下を向いてくすくす肩を震わせている。
”おやびん”の話はまだ続く、

「ま、20万ならぼろぼろだけどな
でも、自分で修理していけば、船つくるときの勉強にもなるだろ
ちょうどいいじゃねぇか」

「ちょうどいいじゃないですか!
修理とかなら”おやびん”に聞けば大丈夫
俺も自分で船をなおせるなんて思っていなかったからね
全部、”おやびん”に教えてもらったんだよ」
と”出会いの紳士”も乗り出してきた。

”おやびん”は話をさえぎって、
「よし、じゃ、まとめてみっか
まずは
1、小型船舶操縦士1級をとること
2、ヨットを学ぶこと
3、このマリーナに船を持つこと
ってとこかな?
そこから始めるか」
と勝手に僕の目標を設定した。

なんだかんだで
こんな感じで、僕は
夢へのスタートを切ったのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?