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海の世界の入り方(14.C その5~海の豊かさの守り方C-1)

今まで見てきた通り、海には魚も仕事も可能性もたくさんあります。海は生物にとっても商売にとっても環境対策にとっても宝の山です。とはいえ、簡単に「海」といってもいろんな問題があって、その問題が複雑にからんでいます。しかも質が悪いことにそれぞれが秘密組織のように業界の中でどんなことが起きているのかさえみえません。海は日本人にとって身近な存在ですが、遠い別世界です。どうすれば海が本当に意味で身近な存在になるのでしょうか?その答えはそんなに難しいことではありません。単に「海を知ればいい」のです。

海の世界を知ることは意外と簡単です。海に関するシンポジウムやフォーラムといったイベントはいくらでもあります。1つググってみるとたくさん出てきます。しかもほとんど無料でしかも最近ではオンラインで聞くことができます。海の世界を知ってみたいと思っているなら、大体どの入り口でもウェルカムな感じです。というのも海の産業はどこでも人手不足が問題になっています。興味を持って聞いてくれる人をムゲにはしません。とはいえ、その海の入り口は見つけにくいし、とっつきにくいものです。なぜ海の世界が見つけにくいのでしょうか?答えは簡単。「海が広い」からです。海と言っても漁業なのか海運業なのか海洋環境なのかレジャーなのかで全くと言っていいほど違う業界です。それぞれが全く異なる仕組みになっていて、しかも違う言葉を使います。結局わからない世界にはなかなか手を付けられず、「知らなくても別にいいっか」と面倒くさくなってしまいます。でもこれって、海という大秘宝がはいっている宝箱が目の前にあるのに、開けずに素通りしているだけなのです。ではどうすれば海の世界に入れるのか?おすすめの海の世界の入り方について3つ紹介してみます。

ターゲットを絞ってググる

インターネットで「海 課題」と調べても環境問題がでてきたり、海洋酸性化や漁業調整規則といった小難しい言葉が並んできて萎えてきます。最近では「SDGs」や「海の豊かさを守ろう」、「海洋プラスチック」がわらわらと出てきてしまいます。確かにSDGsから海の世界に入っいくのも手ですが、それでは海洋環境だけの情報に片寄ってきてしまいます。それはそれでいいのですが、せっかくなら海に対してほとんど知識がないというのであれば、いろいろな海の世界を見てみることもいいものです。同じ「海の課題」を知りたいのであれば、もう少しターゲットを絞って調べてみましょう。例えば「漁師 課題」「海運 採用」「釣り おすすめ」というように絞っていくといいと思います。絞ってみれば自分が知りたかったところに一気に近いところまで行けます。もっと漠然に海を知りたいと思っている人におすすめの検索方法は、自分の仕事や気になることの前に「海」と入れてみるといいです。例えば「海 DX」とか「海 エシカル」とか「海 靴」とか「海 カレー」とかです。海は広いだけあってほとんどの産業があります。いうなれば海は陸のパラレルワールド的な存在です。いつもググっているのは「(陸) 〇〇」と調べているようなものです。それを「海 〇〇」とするだけでいいのです。そうすると何かしらヒットしてきます。そこから少しづつ紐解いていけばいいと思います。逆に調べてもなかなかヒットしてこないのであれbあ、そのキーワードが海の世界にはまだ生まれていない可能性があります。つまり事業化するにはチャンスということです。海は全体の1%も開発されていません。地球に残された最後のフロンティアです。それがお宝になるかどうかは検索する時にちょっと「海」をつけたしてみるといいと思います。

めげないで聞いてみる

海の世界は独特の言葉を使います。例えば「おもて」「とも」という言葉があります。「おもて(艏)」というのは舳先(へさき)のことで、船の先端の方のことをいいます。「とも(艫、通常は舟へんに尾)」というのは船尾(せんび)のことで、船のうしろの方のことをいいます。それが転じて「おもて」といえば正面側、「とも」といえばうしろ側といった意味合いで使われていたりします。でもこれも海の業界が違えば全く通じないこともあったりします。同じ海でもあまりにも違いがありすぎて、あきらめてしまうかもしれません。でもこれって海に限ったことではありません。陸でも同じです。例えば転職したとします。同じ業界であったとしても違う会社に入れば使われている標準語は違うものです。同じような言葉だとしてもちょっとずれていたりもします。でもその世界や会社にいるうちに自分もその標準語を使えるようになっていくものです。陸でも海でも新しい世界に入れば知らなかった言葉であふれているものです。海の世界だからわからないのではなく、単に今まで入ったことのない世界なのでわからないだけなのです。知らなくて当たり前です。それよりも気にはなっていた知らない海の世界に勇気を出して踏み込んだこと自体が一番の壁です。そしていつの間にかその世界の言葉を聞いてもわかってきて、使えるようにさえなってくるものです。新しい世界で1つ1つ言葉を覚えていくのもなんとなくうれしかったりさえします。何事もいっぺんにわかるなんて都合のいいことなんてありません。最初は誰もが初心者です。80歳のベテラン漁師も最初は初心者だったのです。1つ1つ焦らずに耳を傾けてみてください。

ちょっと覗いてみよう

ググってみるといろんな海の活動をやっていることに気づいてくると思います。シンポジウムやフォーラムといったカチカチ系のモノもあれば、「明日ビーチクリーンしまぁ~す」とか「来週マグロ祭やります」とか「海のフォトコン募集中です」とか意外と海の情報は飛び交っています。そりゃそうです。日本は海に囲まれた国だからです。なのでちょっと意識してみると意外と目にとまってきます。あとはそのイベントや活動をのぞいてみてください。参加するというよりもYou Tube感覚で覗いてみる程度で十分です。その業界にいる人たちの中にいるのが海の世界を知るには一番簡単で早いです。ともあれ、どんな世界が広がっているのか試しにのぞいてみてください。それがとっつきにくかったら、You Tubeでもいいかもしれません。意外と海関係のユーチューバーも最近は増えてきましたし、一番お手軽かもしれません。海側の人間も自分たちを普通の世界じゃないと思い込んでいるところもあります。なので海を語る人はシャイな人が多いものです。話しかけるまではムスッとして拒否されるかもしれません。でもそれも最初の1歩だけです。基本的に熱い人たちが多いので、2歩目を踏み込むとぐいぐい来てしまうかもしれません。

この3つの海の世界の入り方は、やり方というよりも心構え的なものです。海の業界に入ってみれば意外とあっけなく受け入れてくれることが多いです。別に専門的知識が必要なことはありません。例えばビーチクリーンをしている人だって、全員が海洋環境研究家で何かの団体に入っているわけではありません。ほとんどの人はただ単にそこにゴミがあったから拾っているだけです。海のフォトグラファーもしっかりしたカメラを持っていなくだめというルールがあるわけではありません。ほとんどの人はたまたまきれいだなと思ったからスマホでパシャっとしただけです。釣りだってサーフィンだって、わからなければ「おしえて」と言えばいいだけです。教えたがっている人がめちゃくちゃいます。なにはともあれ、海をどう知ればいいのかとか海って何なのかとか哲学的なことなんて考える必要はありません。そんな答え自体出てくるわけがありません。なぜならば海は大きいからです。そんなひとくくりで答えられるほど海は小さくありません。それよりもどんどん海に出かけてみてください。そこには誰もいないかもしれません。太古の昔から変わらず必ず海は待っています。打ち寄せる波、波の音、遠くまで広がる青。ずっとあなたを待ち続けています。1分でも2分でも構いません。もしかすると思いがけない素晴らしい宝物に出会えるかもしれません。それが海を知る第1歩です。

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