見出し画像

海洋ごみからの守り方(SDGs14.1その4~海の豊かさの守り方1-1)

便利さを知ってしまった人間にとってプラスチックはなくてはならない存在になってしまいました。その分、プラスチックのゴミは必ず増えていきます。増え続けるプラスチックのゴミをどのように減らすかということがこの海の汚れの守り方になります。

結局、海に流れ着くプラスチックごみはもともとは人間が手にしているものが原因です。「ゴミはゴミ箱に」というのが基本です。決められた場所にちゃんと捨てることが大切です。でも、そんなこと、誰でも知っています。それができないからゴミになるのです。例えば「近くにゴミがなかったから」とか「勝手にどっかに飛んで行っちゃった」こういったゴミが年間800万トンあるということです。これをどのようにすればよいか。様々な取り組みが始まっています。

2012年、当時高校生で18歳だったボイヤン・スラットさん(Boyan Slat ※1)が度肝を抜くプレゼンを行いました。5年で海にあるごみの50%を回収するという内容でした。

海には海流というものがあります。日本では黒潮や親潮、対馬海流、リマン海流などがあります。この海流というのは世界をまたにかけてぐるぐると同じところを回っています。世界の海洋ごみの8割を出し続けているアジアでは太平洋にゴミが流れてしまい、そのほとんどは北太平洋海流という太平洋の北半分を時計回りにぐるっと回る海流に乗ってしまいます。その中で潮だまり(流れなどの調子で海中にある異物がたまりやすい場所)いわれる場所があります。通称太平洋ゴミベルト。ここには北太平洋海流から流れ着いてくるゴミがたまっています。その面積は160平方㎞、日本の5倍の面積にも及びます。この海流のど真ん中に流れを止めるように仕掛けを作ってゴミを集めるというアイデアです。これで海にあるごみを回収していくという計画です。現在もこのプロジェクトは進めており、2040年には海にある90%のプラスチックを回収するように計画している。


オーストラリア在住のアンドリュー タートン(Andrew Turton)さんとピート セグリンスキー(Pete Ceglinski)さんはまた違う方法で海のゴミの回収を考えました。それはサーファーであるタートンのちょっとした思い付きでした。それは「ごみ箱を陸上に置けるなら、海にも置ける」という発想でした。2015年、ボートビルダー仲間のセグリンスキーさんと一緒に「seabin project」(※2)を立ち上げたのです。

彼らの発想はまさに海のゴミ箱。水よりも軽いプラスチックの性質を利用して海の上澄みだけを吸い取るバケツ。よく風呂のオケを沈めて髪の毛とかを集めるのと一緒です。そのバケツの中には水とゴミに分けるこすための網が入っていて、中にたまっていく海水のみをポンプで外へ排出するといった仕組みです。ヨットハーバーやマリーナなどをメインに設置して、このゴミ箱に集まるゴミは毎日3600㎏を越し、2021年5月時点でもすでに2,000トン弱のゴミを回収しているのです。

彼らの共通点は、相手が海洋ごみだろうが大きすぎる問題だろうが関係なく取り組んだその行動力です。できないことをあれこれ考えず、できるためにはどうしたらよいかを考えた結果だと思います。それにもう1つ、やっているプロジェクト自体を楽しんでいるところも共通点です。彼らの動画を見るとその目の輝き、わくわく感が伝わってきます。やりたいことがあればやってみることが最も重要だと思います。

海洋プラスチック問題が世間的に広まってきて、各企業も動き始めています。例えば、船のエンジン会社のスズキも「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」を行い、船を運転しながらマイクロプラスチックを集める装置を2020年に開発しました(※3)。このような開発やアイデアは今後もどんどん出てくるでしょう。

そのほか、ビーチクリーンの活動に参加するのも1つの手です。個人的なものから組織的な団体まで様々な取り組みが行われています。サーファーでも昔から「ワンハンドビーチクリーン」という活動があります。サーフィンをして海から上がるときに、片手にサーフボード、片手にごみをもって帰るという活動です。このように1つ1つの積み重ねも非常に大事なことです。道端を歩いていてゴミを見つけたとき、ちょっと想像してみてください。そのゴミは最終的に海へたどり着き、魚が食べて、結局自分の食卓に並んでいるかもしれない。そう考えると今拾って通りすがりのコンビニのゴミ箱に入れてあげるだけで救える命があるかもしれないです。

何はともあれ、「ゴミはゴミ箱に」を徹底しましょう。


※1 The Ocean Cleanup HP
https://theoceancleanup.com/oceans/
※2 The Seabin Project
https://seabinproject.com/
※3 スズキ、世界初の船外機用マイクロプラスチック回収装置を開発(スズキ プレスリリース)
https://www.suzuki.co.jp/release/c/2020/1001/

参考文献:
海洋ゴミ、最も効果的な対策は?(National Geographic)
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9134/
2人の若者がSEABINを発明 海をきれいにするゴミ(bussola culturale)
https://bussolaculturale.it/due-giovani-inventano-seabin-il-cestino-che-ripulisce-il-mare/



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?