海の酸性化(SDGs14.3 その2)
ではなんで海が酸性化すると悪いんでしょうか?酸で魚が溶けるから?海に入るとピリッとしそうだから?人間が弱アルカリ性だから?実はここいらの心配はありません。
酸性かアルカリ性かは、phという値で調べます。phは14まであって、真ん中の7を中性として、0側を酸性、14側をアルカリ性と言います。現在の海はph8.1なので、弱アルカリ性ということになります。ちなみに人間も弱アルカリ性と言われていますが、ph7.35〜7.45とほぼ中性です。コーラはph2.2とだいぶ酸性ですが、飲んでも死にません。体に良さそうなアルカリイオン水といってもph8〜9程度で、水道水との違いがあまり分かりません。ph8.1もある海が、ちょっと酸性になったからといって、どうして絶滅にまで追いやられるのか?今回はここいらのお話をしようと思います。
人間は、年間94億トンもの炭素を吐き出しています。その炭素を森林は19億トン 、海は25億トン吸収しています。(※1)海は森林よりも1.3倍も二酸化炭素を吸収してくれていることになります。ではどうやって二酸化炭素を海に吸収しているかというと、単純に海の水に二酸化炭素がとけているだけなのです。二酸化炭素が溶け込んだ水を炭酸水と言います。スポーツで汗がダクダクになったあとに飲みたくなる、あのシュワシュワしている炭酸です。この炭酸はしばらくすると2つのイオンに分かれます。その2つとは、水素イオンと炭酸イオンです。そしてこの水素イオンがいっぱい含まれているものを酸性と言っています。単位のphのhは水素(hydrogen )の略ですしね。(※2)水素イオンが増えると海ももうお腹ががいっぱいということで、二酸化炭素を吸収しなくなっていきます。つまり空気中にある二酸化炭素が増えていきます。そして、温室効果が増して、地球の温暖化がどんどん進んでいくことになります。
でも水素イオンの問題はまだ、序章にしかすぎません。本当の問題はここからです。水素イオンが濃くなると、自然は均衡を保とうと、もう一方の炭酸イオンの濃度を下げていきます。(※3)この炭酸イオンは様々なミネラル(鉱物)とくっつきやすく、小さな生き物にも簡単にミネラルを取り入れやすくしてくれます。その炭酸系のミネラルの中に炭酸カルシウムがあるのです。この海の中の炭酸カルシウムこそがカニの甲羅や魚の骨、貝の殻や珊瑚などを作っています。つまり、炭酸イオンが少なくなれば、海の生き物が骨格が育たなくなり、海の生き物いなくなり、人間も食べるものがなくなる。といった最悪な未来が来るかもしれないのです。
海洋酸性化は、二酸化炭素を吸収してくれるはずの海の機能を壊すばかりではなく、海から生き物の姿さえも消してしまうかもしれないのです。
※1、海のDX 生物のゆりかご(SDGs14.2 その3)
https://note.com/theruleofoceans/n/n6c4385d539d5
※2大日本図書 ph
https://www.dainippon-tosho.co.jp/unit/list/pH.html
※3、ルシャトリエの法則 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86
その他参考文献
気象庁 海洋酸性化
https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/mar_env/knowledge/oa/acidification.html
気象庁 海洋酸性化の影響
https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/mar_env/knowledge/oa/acidification_influence.html
海洋酸性化の現状と影響 ─ 二酸化炭素排出によるもうひとつの地球環境問題
https://www.eic.or.jp/library/pickup/278/
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