「お笑い」から遠く離れて~錦鯉の「情熱大陸」を見て

1,イントロダクション

 以前の投稿から、かなり経ってしまった。「お笑いから遠く離れて」すら書くのも、ご無沙汰になった。
 たまたま「情熱大陸」に錦鯉の二人が出ると聞き、やはりM-1グランプリで優勝すると、仕事が舞い込んでくるんだなあ、景色が違うんだなあ、と思った。以前、とんねるずの石橋貴明さんが出た時以来、「情熱大陸」を見るのは、8~9ヶ月ぶりだろう、と改めて感じた(その時の記事は、こちら↓)。

 今回は、錦鯉の「情熱大陸」を見たので、感想と当時自分が新宿あたりにライブに行っていた記憶を交えながら、書いてみようと思う。

2,感想~過去の記憶を想起させながら

 M-1グランプリは、以前の古傷を負ったままで、それがまた開きそうだったから、生で見るのをやめていた。この日は、和田誠展と濱口竜介監督の『偶然と想像』を見て、M-1から遠く離れるように意識していた。詳しくは見てないが、錦鯉の優勝を聞いた時、嬉しさ半分、驚き半分であった。方や50歳、もう一方43歳で優勝し、その年代の人にも感動と期待をもたらしたが、その一方で、才能のない芸人さんが「俺でもまだやれる」という勘違いをさせてしまうのではないか、と我ながら思ってしまった。錦鯉のお二人は、才能と面白さ、あとはキャラクターや人柄の良さがあったから、出ることが出来たのではないか、と思った。

 初の単独ライブ、前日の人力舎のライブ、各々の生活についてや優勝後の様子を密着して映していた。人力舎のライブは、自身もよく行っていた新宿バティオスというライブ会場で、その裏がラブホ街で、懐かしい、と思ってしまった。そこで、よく芸人さんの出待ちをしていたなあ、なんて思った。錦鯉の漫才では、此方もバカバカしくて、分かりやすく単純で、毎回笑っていたなあ、と思いだした。あと、渡辺さんのTシャツが、『新幹線大爆破』と勝新太郎の『座頭市』で驚いた(恐らく、ハードコアチョコレートのやつ)。渡辺さんが実家暮らしで、かつ父親と二人暮らしと知った。部屋が整理されていて、意外と几帳面だった。

 雅紀さんが「小さな希望の光があるから、延命できる、続けていられる」と言ったのと、渡辺さんが「押してよいかわからないボタンは、押せばよい」と言ったのが、印象深かった。この年齢になると、半ば諦めたり、達観してしまうのがあるが、お二人は、もう失うものは何もないから行けるところまで行こう、と思っていたのではないか、と思う。あと、二人とも、年齢が年齢だから、疲労がなかなか抜けないのかな、と心配になった。ソニーのライブ会場、千川びーちぶの近くにある飲み屋で乾杯を交わしていて、「なんか微笑ましいなあ」と思ったり、不思議な関係だけれど、信頼しあっているんだなあ、としみじみ感じた。
 雅紀さんの地元・北海道の放送局で、歓迎されていたのも良かったと思った。当時のことは自分も知らないが、諦めずに一つのことに集中して、ずっと続けていたのも、やはり一つの才能なのだと感じた。

 昔、雅紀さんは、10年ほど前は、北海道時代の同級生である別の相方と「マッサジル」というコンビで活動していたが、少し全国区の番組は出たものの、解散してしまった。3~4年ほど前に元相方が病気で亡くなったと知り、46歳と若いのに、切なく感じてしまった。しかし、雅紀さんは当時の追悼ツイートで、相方の名前を間違えていて、「雅紀さんらしいなあ」と思ってしまったことがある。

 よくよく考えてみたら、錦鯉の漫才も、前回優勝したマヂカルラブリーと構造上は変わっていないのだと気づいた。ボケが一人でバカな行動をやったり、演じたりして、それを見ているツッコミがとやかく言ったり、頭を叩いたりする。昔の錦鯉の漫才は、渡辺さんの叩きやツッコミがキツイ印象があり、多少暴言があったり、傍から見ても「雅紀さん、痛くないのかしら」と思っていたところがあった。最近の漫才を少しであるが見たら、余裕が出てきたのか、暴言が少なくなり、あまり力んでいる印象はなく、むしろ見やすくなったので、それも勝因に繋がったのかな、と個人的に思った。あと、何となくではあるが、キャイ~ンの漫才と似ているなあ、と思ったが、Twitterでも同じことを言っている人がいて、何故かホッとした。ウドさんのバカキャラを暴走させたら雅紀さんになるし、渡辺さんのツッコミも、天野さんがよくする、笑いながら低い声で突っ込む感じが何処か似ている。

 雅紀さんも50歳で、渡辺さんも43歳で、念願の優勝であるが、M-1チャンピオンとしては、相当年齢が行っている。身体にもガタが来ているような気がする。無理せずに、活躍してほしい。まずは歯を治療してほしいし、売れなかった分の贅沢をしてほしい、と心から願っている。

3,最後に

 私は、かつての記事でも書いたことがあるが、以前に少しだけお笑いの活動をしていたことがあった。アマチュアであるが、ライブに出たり、お笑いのオフ会も10回以上も行った。またライブも一度のみではあるが企画し、ナイツの塙さんの本を題材にトークショーをやった。2016年、2017年に、M-1グランプリに、それぞれ別の相方ではあるが、出場したことがある(結果は両方とも、1回戦敗退ではあるが)。その2つの年に偶然ではあるが、錦鯉(特に長谷川雅紀さん)を見かけたり、少しお話をさせていただいたことがある。

 2016年に出場した際、「まあ、ウケたらいいか、アマチュア賞欲しいなあ」と軽い気持ちと、当時は軽い抑うつ状態が続き、休職中で、「だったら好きなことでもやって、どうにでもなれ」と半ば自暴自棄のまま、出場した記憶がある。1回戦の出番前に、扉越しに笑い声が聞こえる、と思い、会場のモニターを見たら、錦鯉の二人が漫才をしていて、ものすごい量の笑いをとっていた。当時は、少し錦鯉の漫才を見ていたが、やはり違うなあ、と驚いた(その年に、初の準決勝進出)。ちなみに、漫才の最中、自分はセリフが出てこなくて、跳び上がり、相方も何もしなかったので、悔しい思いをした。笑いはあったが、笑われた感じがした。あれから5年経ったのかあ、としみじみ思う。

 2017年も出場してダメだった。確か、たかまつななさんと元・エレファントジョンの森枝さんの「M-1に出場してみる」というワークショップにも行った。けれど、相方とのコミュニケーションと練習量の不足、そして自分の才能のなさで見事に敗退した。
 予選も見に行った。3回戦、準々決勝合わせて4回ほど行った。準々決勝の後、お笑い評論家もどきの人がオフ会を行う、とTwitter上で声高らかに言っていたので、どんな人か知りたいと思い、行った記憶がある。その際に、そのお笑い評論家もどきの人が呼んだのか、それとも芸人側が殴り込みに来たのか分からないが、何故か芸人さんが3名ほど来た。その中に、錦鯉の雅紀さんが混じっていた。オフ会は普通の飲み屋で開かれ、座った席の近くに雅紀さんがいたので、少しお話をさせて頂いた。物腰が柔らかく、聞き上手な印象を持った。その前年あたりに頭角を現し、博多華丸・大吉のお二人に「絶対売れるよ!」と太鼓判を押されたが、そのことを聞いてみたら、「逆に売れてないから、申し訳ない気持ち」と謙虚に答えたのが印象深い。アルバイトは水道のメーターを測る業者をやっていたり、自身の悩み(ある意味、恋愛相談)にも乗っていただいた。その後、お笑い評論家もどきの人を批判し、追放されたが、あの時は貴重な経験をしたなあ、と思った。
 あれから数年が経ち、2020年に感染症が蔓延したり、こちら側が失職したり、お笑いで嫌な思いをしたため、お笑いを見ることから遠く離れたが、錦鯉の二人が決勝に行ったのは、小耳に挟んだり、流れていた情報が目に止まったりして驚いた。やっと決勝に行ったか、と少し嬉しくなった。生で見るのさえ躊躇し、映画を見に行ってたが、この年は賛否両論になり、漫才論争も起こったので、見なくて良かった、と思った。しかし、その裏で錦鯉の二人が大躍進し、「CRまさのり」というよくわからないネタをやって、第4位に食い込んで、仕事が舞い込んできたと言い、「やはりM-1ドリームだなあ」と思った。

 今年のラジオを少し聞いたが、昨年は仕事が忙しくてバイトもしなかったらしい。芸人の仕事だけで生活出来ているそうなので、ホっとして、安堵の気持ちが芽生えた。バラエティで活躍するお二人にも期待したいが、無理しない程度に漫才を時々披露してほしい。これからが楽しみです!

 とりとめのない感じになってしまった。
 この辺で終了します。
 それでは、また。

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