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【第二十七回】           何者にもなれなかった50男の物語

理容師の端くれのような奴と組み
カラーリングの専門店を作った

彼は借金だらけで任意整理を
しているような半端者だった

そしてぼくも半端者

お互い似た者通しで最初から失敗
するのは目に見えていた

新しく起こした事業で利益もない
それなのに彼は給料をくれという

会計上給料をのせるのはいいが
数字だけでなく実際に毎月お金が
出て行った

手持ちの金と寝たきりばぁちゃんの
年金貯金を使いまくった

ぼくは無くなってく資金をなんとか
戻そうと何をしたか?

あるランディングページの文句に
惹かれたぼくは見事に養分となる

薄っぺらいノウハウ動画だけで
肝心なことは何一つ教えない

それ以上は更に別料金と言う

ぼくは店に顔も出さず自宅に
こもってひたすらノウハウ動画を
見て実践する毎日

別料金で個別相談をしても上辺
だけの浅いサポート

世間知らずなぼくはそんな初級の
詐欺まがいにすら引っ掛かっていた

顔から火が出るほど恥ずかしい
過去の歴史だと思っている

ガチの経営をするにはやはり簿記
かと思い試験を受けたけど不合格

なんで前のようにうまく軌道に
乗らないのだろうか?

毎日が何とも言えない焦燥感に
押しつぶされそうな毎日が続いた

そのうち寝たきりのばあちゃんは
亡くなって年金は止まった

そして半端な理容師は腰が痛いと
ぼくに訴えて来た

ぼくはどうする?と聞くと彼は
辞めたいと言ってきた

毎月赤字だった事業にぼくも彼も
嫌気がさしていたのだろう

八方ふさがりのなか
固定費ばかりかかる事業に
ぼくは終止符を打った

行動力だけはあったがそこに
信念や継続性は全くなかった

店をたたんだぼくは常連さんの
家に個別訪問しお詫びをした

店に残っていたヘアケア製品を
お渡しして残務整理をした

根本的な問題に気がついてない
この頃のぼくは自分は事業の才能
が無いという結論を出した


そしてバイト生活に入ることと
なるのだが田舎の冬は寒い

ぼくは室内で勤まるバイトを
見つけすぐに応募した

この決断がぼくの人生を大きく
動かすことになるんだけど
そんなこと知るわけもないよね

そこは大型スーパーの2階

室内環境なので快適そのもの

リーダーの女性がぼくに優しく
いつもフォローしてくれていた

ぼくはひたすらに家具展示場に
潜り家具を組み立てていた

一人黙々とやる作業は
はっきりいって楽しかったけど
単調な作業にぼくは飽きていた

お店のサービスカウンターにいた
女性のところでいつもさぼってた

まだ25,6かなぁ?

その女性がのちのちぼくの運命を
変える人となるんだよね

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