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ST3年目までの方へ!誤嚥性肺炎を予防するための重要な3つの要因について②

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誤嚥性肺炎を予防する3つの要因【嚥下能力】【咳嗽力】【抵抗力】に重なる1つの要素『疾患』。

注意すべき『疾患』はたくさんあるため1つずつ見ていきましょう。

【嚥下能力】に関わる『疾患』:脳卒中

脳内で梗塞、出血が起こると、障害部位によって頬・唇・舌の運動能力が低下したり、喉の感覚閾値が上がることで嚥下反射が起こりにくくなります。そのため誤嚥、ムセへとつながってしまいますね。

脳卒中と他疾患が絡むことで嚥下障害が重症化してしまうケースがたくさんあります。高齢者は多数の疾患を併発してしまうことが多いので他疾患を知っていく必要があります。

【嚥下能力】に関わる『疾患』:神経病変

・ALS(筋萎縮性側索硬化症)
・SCD(脊髄小脳変性症)
・MSA(多系統萎縮症) 
・PD(パーキンソン病) 
・ギランバレー症候群 
・ワレンベルグ症候群 etc
などなど、重症化すると頸部や嚥下の筋肉に影響を及ぼす神経病変があります。さらにワレンベルグ症候群以外は進行性であるため、その人の嚥下能力に合わせた食形態を常にモニタリングしていく必要があります。

【嚥下能力】に関わる『疾患』:ガン

ガンも見逃せない疾患の1つですね。
抗がん剤治療によって唾液の分泌が少なくなり嚥下障害となってしまうケースがとても多いです。
加えて、ガンが舌や喉頭に転移してしまって切除すると、器質的に飲み込むことが困難になります。

【嚥下能力】に関わる『疾患』:自己免疫疾患

・重症筋無力症
・膠原病:関節リウマチ etc

重症筋無力症は、神経と筋肉をつなぐ部分が破壊されてうまく筋肉を動かせなくなってしまう病気ですが、重症化してくると、唇や舌の筋肉にも影響を及ぼしてしまいます。

膠原病の1つ関節リウマチでは、関節を破壊してしまう疾患のため、頸椎に影響を及ぼしてしまうと、舌下神経への影響が考えられ舌の異常(筋委縮や筋攣縮)を起こしてしまう可能性がありますので注意が必要です。

ほかに、バセドウ病などは全身状態に影響し、加えてバセドウ病の薬の副作用によって「白血球数の低下」が起こってしまうなど、【抵抗力】にも深くかかわってきます。

【嚥下能力】に関わる『疾患』:筋ジストロフィー

骨格筋を破壊・再生を繰り返す遺伝性の疾患で、頸部を保てなくなり伸展してしまうと喉頭挙上が不十分となり誤嚥してしまうケースが多いです。

【嚥下能力】に関わる『疾患』:内分泌疾患

内分泌を司る部位の1つに甲状腺があります。
甲状腺の疾患に「甲状腺中毒性ミオパチー」というものがあり、これが嚥下に関わる筋肉に影響を及ぼすことが報告されています。
正確には内分泌疾患ではないかもしれませんが、「先天性銅代謝異常」のウィルソン病(Wilson病)も嚥下障害を呈することで知られています。

【咳嗽力】に関わる『疾患』:肺疾患

・COPD(慢性閉塞性肺疾患)
・間質性肺炎

これらは呼吸機能が低下することで咳嗽力が低下してしまう恐れのある疾患です。
次の「心疾患」でも説明しますが、呼吸機能が低下することで常に呼吸優位になってしまいます。「嚥下」の瞬間はどうしても息が止まってしまうのでその瞬間ですら、肺/心疾患の方は辛いのです。食事中は何百回と嚥下反射を繰り返すので辛さが積もり積もって食事が進まないということが多いです。
そのため、30分の食事ですらしんどくなってしまい食事量が低下してしまいます。

【咳嗽力】に関わる『疾患』:心疾患

・心不全
・心臓手術後

上記の通り、心臓と肺は2つで1セットのところがあります。心臓が悪くなると次第に肺が悪くなり、肺が悪くなると次第に心臓も悪くなってしまいます。
また、不整脈でも倦怠感が強く出てしまったり、呼吸数が増えてしまうケースも認めます。そうなると、咳を出すタイミングが遅れてしまったり、次第に弱くなってしまうこともあります。

心疾患は運動耐性にも影響を及ぼすため【抵抗力】低下にもつながります。

運動してすぐに心臓がバクバクと音を立ててしまったら長時間の運動が出来なくなってしまいますね。そのためどんどん運動量が減り、少しずつ運動耐性が落ちてしまうのです。そうなると、本格的に【抵抗力】が低下してしまいます。

【抵抗力】に関わる『疾患』:消化器疾患

・胃腸炎
・腸閉塞

直接嚥下とは関係がありませんが、栄養が入りにくくなるため【抵抗力】が著しく低下する病気になります。
また「逆流」/「食欲」という面でも低下が認められることから消化器疾患も見逃せません。

【抵抗力】に関わる『疾患』:感染症

・covid-19(新型コロナウィルス)
・尿路感染症
・感冒
・敗血症

感染症になり「発熱」「呼吸変化」「倦怠感」「頭痛」「関節痛」「筋肉痛」などが症状としてあらわれ、体の抵抗力がぐっと下がってしまいます。そんな中で誤嚥してしまうと、誤嚥性肺炎も合併してしまうこともあります。

敗血症となると多臓器不全にもつながり亡くなられてしまう危険性もあります。

まとめ

上記以外にも様々な疾患があり、すべてを網羅するにこしたことはありません。たくさんの知識を得てどのようにカテゴライズするかが鍵となります。

どんどん知識をためて活用していきましょう!それでは!

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