血液と唾液が混ざったもの

大して好きではない、いや、厳密には消去法で一番好きな男に「どうして付き合ってくれないの?」と泣き縋る夢を見た。主演が私の映画をみているみたいな夢だった。俯瞰の私が「いや、そこまでして一緒にいるような男じゃねーだろ」と、笑ったら目が覚めた。本当にその通りだ。

いい夢だ。昨日の夜、私はどこか様子がおかしかったし、それをリセットするには丁度いい塩梅の哀れっぽい夢だった。しょうもない男如きで泣くなよと現実に生きる私は嘲笑するし、夢の中の男もなんやかんやうんうんと話を聞いてくれていたような気がする。夢の中でも多大な(胡散臭い)優しさをどうもありがとう。君は一生夢でも現実でもその感じでいればいいよ。

さて、資格をとろうと思っている。またか。つい3日前まで資格勉強に追われて死にかけていたのにやめておけ、と言いたくもなるが次はちゃんと将来のことを考えた資格を取ろうかと思う。

今思えば大学生の時に教職を取らなかったのは完全に間違いだったかもしれない。私はちっとも努力などしたくないし、目上の人間に頭を下げるのもしたくないし、とにかく怠惰に生きたいのだ。怠惰に生きて、適当に遊んで、酒を飲んで一人で笑っていたい。アダルトビデオを見て泣きたいし、恋愛ドラマを見て怒り、戦争映画で笑いたい。流石に、そんなに器用に生きられないし、上手くはいかないか。

そんなちぐはぐに器用に感情をコントロールできなくても、せめて毎日風呂に入って、歯磨きとフロスをして、髪を乾かして、着替えて……そういうことが普通にしたい。どうしてできないのかなんてのも考えたくない。病院は嫌いだし、薬も嫌い。愛の証の根性焼きと、もぎ取られた羽根のスカリフィケーションは考えるだけで貧血で。友人のオーバードーズをやんわり止めたら偽善だと怒られ、躁で飛んだ亡霊からも怒られ。"君"には人望がないと言われ、その口で君は私を好きだと言った。イカれているのはきっと私ではないか。

歯茎から血液が出る。血液と唾液が混ざったものが口内から溢れ出し、唇を赤く染めた。まるで口紅みたいに鮮やかで、美しい。

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