睡眠不足とココナッツミルクティー

朝帰りの後、小松宏誠氏の展示会に今日行く予定だったのを思い出した。平日だし閑散としていることを願って行ったのだが、実際は結構人がいた。いつなら人にあまり会わずに済むのだろう。展示会の内容はかなり良かった。それ故に、人が邪魔すぎた。展示会や美術館というものはそういうものか?否、本当にそういうものなのだろう。もしかして人間が存在し、作品の世界観を侵すことを含めて芸術なのかもしれない。そもそも世界観というものはいち個人の解釈でしかなくて、人がいないのを望んでいるのは私だけということもあり得る……ああ、欠陥者である自分自身に狂いそうだ。映えとは何だ。その作品をバックに撮ったお前の不細工な顔に意味はあるのか……水面のように美しく生きる影に映り込むお前のキャップ、ピースサイン、スマートフォンを首から下げる為の紐……煩い女達の笑い声……影と音の死……私はお呼びではないのかもしれない。展示会場の外に出ると誰も群がっていない名前も分からないケースに入った作品がひとつ、展示されていた。私は流行っていない、そもそも誰にも気付かれていないその作品に近付いた。静かに一人ぼっちで日向ぼっこをしているみたい。綺麗で、かわいいね。そこにいてくれてありがとう。

その後私はランボーの詩集を古本で買い、ココナッツミルクティーを飲んで帰った。ランボーについては中原中也が訳したものが家にあることは覚えていたが、必要だと思ったので買った。睡眠不足により、意識はとぎれとぎれだ。ココナッツミルクティーが甘く、優しい味だったことは覚えている。

家に帰ると狩野ハスミの連結方式が届いていた。いわゆるエロ漫画である。あってないようなモザイク処理がいじらしい。私の部屋はどんどんカオスに侵食されていく。本棚が足りていない。衣装ケースも足りていない。物が溢れている。


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