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映画「ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党 集結」感想(ちょっとネタバレ込み) ある意味、本来あるべき、中2向けスーパーヒーロー映画

どうも。

見てきましたよ、僕も。これのことです。

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はい。邦題、こういう感じなんですね。「ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党 集結」。これを見てきました。

 これ、もう、制作のきっかけからして、「なんだ、そりゃ?」って感じですよね。だって、

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5年前に一度作ったものが気に入らないからといって、なかったもののようにして、一部のキャスト残して最初から作り直すって(笑)。ちょっと、こういうパターンはあんまり聞かないですね。

 ただ、それでも、その前のヤツ、映画館で見たときの印象、当の僕もすこぶる悪かったのはたしかなんですよね。だか最初、「作り直したよ」と言っても素直に見に行く気になれなかったんです。でも、あまりに評判が良いので行ってみることにしたら

もう、笑うしかなかった(笑)!


いやあ、久しぶりに映画見て爆笑しましたね、これ。もう、痛快そのもの。これは僕もいろんな人に行くの、おすすめしたいですね。

 これ、もう公開の映画なのでストーリーに関しては詳しくは書きません。要は、独裁政権の南米の島にある、ナチスが建設したまま残っているという化学工場を、アメリカの情報機関が、囚人たちによる討伐部隊「フォースX」を派遣する、という話です。

で、最初に派遣されたハーレイ・クイーン(マーゴット・ロビー)の一団が闇討ちにあって負けてしまったので、デュボワ(イドリス・エルバ)率いる第2部隊が助けに行き、ナチスの由来の工場の作戦をつぶしにいく、というものです。

ただ、もう、この部隊というのがいきなり可笑しくてですね。

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もう、このキャラクターからしていきなり笑ってしまいました(笑)。もう、これが戦闘部隊にいるという時点でいきなりギャグかましてます(笑)。しかも声の吹き替え、シルヴェスター・スタローンですからね、これ(笑)。

 このあたりのユーモアのセンスが

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さすがにジェイムス・ガンたるゆえんです。

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このあたりの感覚は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の際にラクーンを出してきてブラッドリー・クーパーに声優やらせたのをまんま踏襲してますよね。

 あと、今回、なにがいいか。

倫理的な突き詰めを、ほとんどしてない


ここがすごく良いです。

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2016年のときはですね、とにかく重かったんですよ。スーサイド・スクアッドを組まされるまでのいきさつを、「犯罪者が人生最後のチャンスとばかりにこの軍団を組まされることの心理的葛藤」みたいなものが長すぎて、ヒーローものに肝心なクライマックスのバトルのシーンよりも比重が大きいんじゃないかってくらいに。で、結果、バトルシーンがすごく陳腐で迫力がなかった。なんかかなり本末転倒してたんですよね。

 あのときもウィル・スミスにジャレッド・レト、そして今回も出てるマーゴット・ロビーにヴァイオラ・デイヴィスと、それこそ「オスカーのノミネート役者、そこまで揃えてやるような作品か、これ??」みたいな違和感を与えてしまったんですよね。

 そこが今回は、

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イドリス・エルバ。この人も本当に名優で僕も大好きな俳優ですけど、彼を交えてもシリアスにならずに、ひたすらコミカルな活劇に徹しているのがすごく痛快です。

 ちょうど、この数ヶ月前にネットフリックスで「ヴィンチェンツォ」見て、「極悪を倒せるのは悪しかいない」のコンセプトを体験したばかりだったのですんなり見やすかったというのもあることはあるんですけど、「要は悪党倒せば、俺らの罪、軽減されるんでしょ?」くらいの割り切りで話が進んでいるのがいいし、見てる側もなにもそこに倫理的な疑問とか特に抱かずにすんなり見れている。それよりも、「悪党どうやって倒すか」、その一番大事な部分がしっかり描かれているのがいいです。

 で、そこを

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このマーゴット・ロビーが、またしてもやってくれてます。ま〜あ、このバイオレンス・アクション・シーンが、これ、教育に良くない、良くない(笑)。この、お行儀のよくなさ加減で言ったら「デッドプール」に匹敵しましたね(笑)。

 で、とりわけマーゴットの戦闘シーン、絵的にも素晴らしいんですよ。とりわけ

これがヒントですけど、これにまつわるシーンがとりわけ名シーンでしたね。ジェイムス・ガン、僕の年齢4つ上ですけど、「ああ、元ネタ、調べた世代だよね、やっぱ(笑)」という感じでした。

 あと、これに限らず、ジェイムス・ガン、かなりの音楽フリークですね。すごくMTVジェネレーション的というか。場面に対しての音楽の選び方が絶妙かつマニアックでね。

 そしてそして、なにが一番良いかって言ったら

  ヴィレンのラスボス!

もう、これしかありません。

だって、そこにまさか

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そう来るとは(笑)。人じゃないっていうね(笑)。

こういうところも

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こういう感じでね(笑)。

いわゆる、ティム・バートンが「エド・ウッド」出して以降、1950年代に製作された低予算のBムービーのカルトな再評価って90sから進んでいて、マニアな人になると日本の東宝とか大映的なものにぶちあたるんですけど、この映画はそうしたマニア心もすごくくすぐるんですよね。こういう造詣がゆえに、バカ全開なんだけどしっかり知的なところをさりげなく披露もして。こういうところはタランティーノと同じ世代の作り手っぽいなと感じましたね。

 で、これ、総じて言えることなんですが

いい意味で、理想的な中2映画

ということが言えると思います。

どういうことか。これ、日本でいう「中2」と若干ニュアンスが異なりはするんですけど、これ、ブラジルだと「16歳以上」と、かなりレーティング厳しいんですよね。まあ、人の頭切ったり首切ったりしてますから。でも、ちょうど中学生くらいが一番そういうの、実は見たがって、それこそフェイクIDでも使って見に行きたくなるような感じがある。この好奇心の持たせ方がすごく中学生向け的です。

 加えて、クールな音楽の選び方して、スカッと痛快で笑えて、さらに最後の敵でドッヒャーでしょ(笑)。しかも、この敵がやたら強いから、なかなか終わらないのも更に良しで(笑)。こういうジェネレーションのキッズが見に行くのには最適な映画です。これ、前作なんてラスボス、演技ド下手なカラ・デレヴィンの巨大化像でしたからね(苦笑)。これと、あの今回のラスボス比べるだけでも、もう、雲泥の差ですよ。

 やっぱりですね、僕、こないだも書きましたけど

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「ブラック・ウィドウ」が必要以上に人間ドラマっぽく作られていたのにすごく違和感を覚えてたんですよね。「スーパーヒーロー映画だって文学的か価値を持ちうる」というスタン・リーの生前の主張もわかるんですけど、でも、だからってそれは、オスカー狙える役者たちがコスチューム着ながらやることなのか。そういう映画なら、僕はなにもスーパーヒーロー映画じゃない他のジャンルの映画でしっかり見たい。そう思うから、「なんだ、気取りやがって」みたいな気持ちが湧き上がってしまって楽しめなくなっちゃったんですよね。

 そこに対して、今回の「スーサイド・スクワッド」は、「スーパーヒーロー映画が本来向けるべきターゲット」を忘れてなく、かつ、徹底した娯楽作に徹している。

 そこがいいんです!もう、そういう「高尚で文学的でさえあるスーパーヒーロー映画」なんてものは、もう「ダークナイト」やら「ブラックパンサー」でいったんマックスに達した。そう思うんですよね。だったら、もう、そろそろ、本来の子供が楽しめるものとしての機能に戻るべきなんじゃないのかな。「たかがスーパーヒーロー映画に、なんでそんなに・・」と思ってた違和感がこの映画でスカッと解消されましたね。でも、その「たかが」のチープな部分こそが大事なんだということが今回証明されたというか。

 あと、最後に、今回の「1からやり直し」を可能にしたのは

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ひとえに、2016年版から、去年のスピンオフ、そして今回と、3作連続で抜群の演技を披露したマーゴット・ロビーあってのものだと思ってます。やっぱ、彼女はすごいですね。





 





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