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Mr.Childrenのアルバムを全作聴いてみた!

どうも。

今日は久しぶりにやりましょう。邦楽ビッグ・アーティストの「全アルバム聴いてみた!」企画。

過去にこれまでユーミン、ラルク、サザンとやってきて、「次、誰でやろうかなあ」と思ってたんですけど、やっと「これ行こう!」というのが見つかったのでやってみました。

この人たちです!

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はい。Mr.Children。ミスチルですね。彼らのアルバムを全部聴いた感想を言って行こうかと思います。

きっかけは去年の年末ですね。彼らの最新作の「Soundtracks」。あれが出るタイミングでブラジル、それまでの全アルバムが国際配信体制に切り替わったことで、これまでの全音源が聞けるようになったんですね。

 で、それで、12月に一度全部聴いてみたんですよ。ただ、そのときに「Soundtracks」だけ配信解禁されなくて。それがつい先日、日本と同じタイミングで解禁されまして、それで改めて全部聞けるようになった。で、この記事もそこでやろうということになりました。

僕、一部のミスチル・ファンから反感買ってたようでして。それは

すごく読まれたこの「邦楽オールタイム」の際、「ミスチル、アジカン、バンプ、B'Zが100位に入らなかった」と書いたら、「嬉しそうにかきやがって」とか「たまたま入れなそうな人が集まった結果だろ」みたいなニュアンスの陰口書いてた人がいたようでして。偶然にも見つけちゃったんですけど(笑)。そういう人たちのアンサーも込めながら、書いていこうかと思ってます。

僕とミスチルなんですが、聞く前にどう思ってたか、というと、特に嫌ってた、ということはなかったですね。ただ、ラルクのときほどそうではなかったんですけど、たまに「いい曲あるな」という感じだったかな。でも、積極的に聞こうとはしてはなかったです。

それはなぜか。それを

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このファースト、そしてセカンドを聴いたときに思い出しました。この頃の印象が正直よくないんですよねえ。この頃って彼ら、「後発の渋谷系」みたいな押され方してたんですけど、まあ、そう聞こうと思えばできないことはないんですけど、時は1992年。まだ、世の空気はバリバリにバブルのときです。これ聴いて、方やL⇆Rみたいなギター・バンド、かたやKATSUMIとか楠瀬誠志郎みたいな、あの当時のいかにもバブリーな男性SSWの中間みたいな印象だったんですよね。なんか、片足を「男版ユーミン」みたいなものに突っ込みながら渋谷系やろうとしてるみたいな、そんな印象でした。

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で、この2枚ですね。3枚目と4枚目。これ聴いて、特に3枚目の「Versus」の方が特にかな。「あっ、ここでだいぶよくなったんだな」という感想ですね。少なくとも、バブル男性SSWには聞こえなくなりました。で、4枚目のタイミング、94年で彼らは「Cross Road」「Innocent World」で大人気バンドになるわけです。あの当時ってまだ、ミリオン狙えるバンドってX JAPANとかB'Zのイメージだったから、「インディっぽい雰囲気のバンドではじめてメガ・ヒットのバンドが出た!」という、世のもてはやし方は実際にありましたね。当時、僕もNHKでラジオの仕事してましたけど、そういう印象ではありましたね。だから「Atomic Heart」はもらって聞きましたね、当時。

ただ、同じ時期にソロになった奥田民生も出てたからそっちばっかり聴いてしまいはしたんですけどね。ユニコーンのときから大好きだったんで。で、翌95年にスピッツが「ロビンソン」で同じくらい売れてミスチルと両雄扱いになって。で、スピッツとの比較になった際も、やっぱ印象として、スピッツは売れない頃から「マニアックないいバンドがいる」ってことは有名でしたからね。だから比較されると、やっぱりミスチル、不利だったことは否めなかったんですよ。

で、そのタイミングで

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「深海」、「ボレロ」と来るわけです。このあたりを一般的に最高傑作する声、ありますよね。特に「深海」

たしかに、音楽性も、歌詞も、ここからガラリと変わりますよね。やっぱり、さっき僕がいみじみくも言ったように、音楽的にはまだ上手の存在がいる中で、飛び抜けて当たってしまったことでなめられる感じがあったのが悔しいような、そんな感じが当人たちにあったのかな。そんな感じはします。

が!

正直なところ、僕はここが最高傑作だとは思いません。

僕がここで思ったことは

「やっとロックに聞こえる作品、つくったな」。

ズバリ、それですね。

ただ、これ以降に目立つようになる政治的な歌詞にしても、やれ「ドロップキック」だの「マシンガン」だの、使い方がまだ唐突で不器用な感じがするんですよね。この辺りって多分、桑田佳祐の「孤独の太陽」を聴いて感化された感じがするんですけどね。あの時期、交遊もありましたしね。ただ、憧れている感じで勢いで作って、まだこなれてない感じはしましたね。

あと曲調も、かなり洗練はされるんですけど、まだちょっと前までのJポップな瞬間が顔のぞかせたりするのも、ちょっともどかしいんですよね。

そこのところが

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この4枚、「Discovery」(99)「Q」(00)「It's A Wonderful World」(02)「シフクノオト」(04)では見事に解消され、バンドとして大きくステップアップしてると思います。この4枚が彼らの本当のベストの時期だと思いました。

とりわけ

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この「Discovery」、僕ならこれをミスチルの最高傑作にします!

これは、「どういうもの作りたいか」の意図がすごくわかりやすい上に、曲調のバラけ方も、「深海」で訴え始めたメッセージ色の強い曲のまとめかた、さらにシングルになった「ニシヘヒガシヘ」「終わりなき旅」「光の差す方へ」とシングルになった曲の完成度の高さ。これらのバランスが彼らのアルバム史上、一番取れてる感じがするんですよね。一曲目がいきなりレディオヘッドの「OKコンピューター」の「Airbag」そっくりで笑ってはしまうんですけど(笑)、でも、そこに負けないようにアルバム作ったのはわかるし、あの当時の流行りだったデジロックのビート入れたり、これまでなんとなくの雰囲気だったビートルズっぽさも、具体的に「どの時期」というのを具体的に感じさせるマニア性も出てきたし。「音楽に凝りだしたな」というのをこれが一番感じさせます。

次の「Q」を「深海」に並んで最高傑作にする向きがありますが、僕は反対です。こっちは詰め込むものを詰め込みすぎて、ちょっとケイオスになってる感じがして。サイケデリック、フォーク、ちょっとハードロック、バラード、マーチといろいろあるんですが、ちょっととっちらかってるかな。「Not Found」とか「ロードムービー」はすごくいい曲ですけど。レベルは確実に以前よりは上がってるんですけどね。

 ただ、むしろ「It's A Wonderful World」「シフクノオト」の方が軸がしっくりした感じがあって好みではありますね。前者はフォークとソウルのテイストが強まって桜井氏のソングライティングの調子良さを感じるし、後者はこれまでで一番ソリッドで渋いタイプのロック・アルバムかな。後期ビートルズ色が一番濃いですね。

この4枚であれば、邦楽オールタイムの企画で名前あってもおかしくないとは思いましたね。

が!!

そのあと、どうしちゃったの?

ってくらい、内容よくないですね、これ以降が・・・。

 なんか急にストリングス・バンドみたいになっちゃって。どの曲でもすぐストリングス入ってしまうというか。しかも、曲そのもののマニア性みたいなものも、せっかく先にあげた4枚でついたのに、それを感じさせる曲がなんか見つからなくなってしまったというか。

そうしたら、そう思ってるのはどうやら僕だけではなかったみたいで。検索かけても「シクフノオトまでは」「シクフノオト以来」という表現が検索したらすごく多いんですよ!どうやらミスチル、ファンは結構客観性があって厳しいタイプの人が少なくないんだな、というのが今回わかりました。

とくに

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この2012年のアルバム、「(An Imitation )Blood Orange」の評価がすこぶる悪いんですね。「I Love You」(05)以降、僕のイメージだと「印象に残らない」という方が近い感じなのでそこまで気にならなかったんですけど、なんか甘ったるい曲が続くなあ、というのがちょっと10数年続いてたんだなあという印象はたしかにありました。

で、前作の「重力と呼吸」で小林武史がプロデュースから外れて、そこから少し変わったかな?でも、そこまではっきりとはわからないな、というイメージだったんですが

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この「Soundtracks」となったわけです。このアルバム、僕のツイッターのTLがこれで盛り上がってたんですね。そのときにたしかに「シフクノオト以来の傑作」という言葉を聞いたんですけど、

「Discovery」〜「シフクノオト」の4枚のレベルに戻ったアルバムだと思います

1曲目からいきなり、その時期を思わせる曲ではじまってますしね。ダークかつヘヴィな感じでね。あと、曲全体にロックっぽさが戻ってるというか。僕の好みでいえば、「ストリングスはもう少し減らしてもいいんだけどな」とは思ったんですけど、アレンジャーのセンスが上がってるからなのか、「Documentary Film」「others」といったあたりのストリングス・アレンジがすごく考えられたものになっててセンスいいんですよ。ただのムード演出になってなくて、複雑に入り組んでる感じがして。これはたしかに、待ってた人、いたと思います。

これ、プロデューサーにスティーヴ・フィッツモーリスを迎えたのが成功したと思います。エンジニア畑の人なんですけど、サム・スミスやU2といった、大きな仕事こなしてきてる人で。今までが小林武史べったりだったところから刺激求めだしたことの結果なのかな、という感じですね。国際的なプロデューサーと組む、ということでソングライティングの意識も自然と高い意識になったのではないか。そんな印象を受けましたけどね。

なので僕が順番つけるとするならば

①Discovery②It's A Wonderful World③シフクノオト④Soundtracks⑤Q⑥深海⑦Atomic Heart⑧Versus⑨ボレロ

かな。あとのアルバムは、ちょっと順位つけられないですけどね。

あと、オールタイムに話を戻すとしましょう。今回ミスチルを聞いて考え変わったかというと

前向きな気分にはなりました

特に上の順位づけでトップ5に入ったアルバムまでは素直にいいと思います。

が!

邦楽オールタイム100に入れたいか?」と問われると、そこはまだ難しいとこです。

というのは、「ミスチルがどうの」でなく、他のアーティストのレベルが高いから。

たとえば、上の邦楽オールタイムの実施と近い時期に、ユーチューバーのみのさんのみのミュージックでもオールタイムやってて、だいたい同じようなメンツで、それにプラスしてミスチル、バンプ、アジカンの3つは100位に入ってたんですよね。

ただ、上のJMXさんのは投票者に30位まで選ばせるかなり高いハードルを課したのに、みのさんのところは5枚までだったんですね。だからみのさんのとこの方が参加者、圧倒的に多かったんです。でも、その分、投票者のマニア度は薄まってる。それで、他が似たような感じだったのに外れたものがどうしてその3つのバンドだったのか。そこの理由はもっと考えられていいと思います。

どちらでも上位に入ったバンドって90s以降だとゆらゆら帝国、フィッシュマンズ、スピッツ、ナンバーガール、ミッシェル、キリンジ、くるり、スーパーカー、サニーデイ・サービスとかでしょ?全部、洋楽ファンからのウケのいいバンドばっかりですよ。大部分は外国のリスナーのウケもいい。そこに比肩しうるレベルなのか、というと、まだちょっと考えてしまうんですよね。

前、グレイプバインがオールタイムで大健闘したよ、という話を記事にしたんですけど、バイン聞いたときの方がやっぱり衝撃的な再評価したい気分には実際になりましたからね。今回ミスチルを聞きながら思ったのは「ギタリストが西川弘剛くらいの名人級の人だったらもしかして・・」というのは思いましたけどね。

たとえば別ベクトルでラルクと比べた場合でも、アルバムの平均点でラルクの方がいい時とそうでないときの差が少ない。ミスチルの場合、そのアップダウンがちょっと激しいというか、目立つんですよね。

 ただ、ミスチルにチャンスがあるとすれば、

今後「Soundtracks」並みのアルバムを連発する

ここにかかってると思います。これができたら評価の逆転、まだ可能だと思います。できないことではないと思うので、今後僕も気をつけて聞いてみようかなと思ってます。












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